エイチ・アイ・エス(H.I.S)グループでロボット事業を手がける「hapi-robo st」が昨年7月の準備会社設立を経て2017年より本格的に活動を開始した。H.I.Sといえば旅行会社。そのグループ企業とはいえ、畑違いにしか見えない事業になぜ取り組んでいるのか。

写真左:澤田秀雄hapi-robo st会長、写真右:富田直美hapi-robo st社長

旅行会社とロボットをつなぐもの

H.I.Sグループとロボットをつなぐもの。それはH.I.Sの子会社となるハウステンボスが運営する「変なホテル」だ。変なホテルは、ロボットにできるうることをすべてロボットに任せ、人間の応対を極力減らしたホテルだ。フロントのチェックイン・チェックアウト手続き、宿泊者の荷物運び、施設内の窓拭きや芝刈りなどもロボットが対応する。

変なホテルフロントイメージ(写真提供:ハウステンボス)

変なホテルは現在、ハウステンボス内の1棟のみだが、今年3月には千葉県舞浜に2棟目がサービスインの予定で、その後も続々と出店が計画されている。

そもそも、テーマパーク運営のハウステンボスでのロボット活用は、H.I.S会長兼社長であり、ハウステンボス社長の澤田秀雄氏の着想から始まっている。そして、そのアイデアは、ロボット事業を担うhapi-robo stの設立にもつながっているのだ。

さかのぼること5年ほど前。ハウステンボスの事業再生にあたり、澤田氏は園内のホテルヨーロッパに宿泊・滞在していたことがあった。そこで同氏が注目したのは、ホテル運営における人件費の高さだった。ロボットを導入すれば、人件費が減るのではないかと考え、その発想を生かしたわけである。その目論見は当たった。2015年7月に30人のスタッフで変なホテルの運営を始めつつ、順次ロボットを導入していき、今では8人でホテルの運営が可能になっている。

変なホテルの従業員数の推移

結果として、「ロボットに任せられる仕事はロボットに」という方針を実践したことで、運営コストを大幅にカットした。コスト削減はホテル運営だけではなく、他の業界・業種にも転用可能であり、長期目線でみれば、日本は少子高齢化により働き手が減少する。そうした課題を解消する一手段としてロボットは有効になると見込んだ。