日本人に向けた味の一つの答え“甘さを抑える”

日本国内でこの2商品を販売するが、これが10周年記念で、同社の伝統を引継ぎ、新たな魅力を引き出す味との位置づけとしている。

看板商品オリジナル・グレーズドの日本市場での強みと弱みについての同社の分析とは

同社は、日本人が好む味の1つは「カリっ、ふわっ、とろーり」と分析。看板商品オリジナル・グレーズドの魅力である、生地のふわふわした食感はまさに、日本人にあっている。一方で、先にも述べたように商品の“甘さ”の印象が強すぎて、強みである生地の“やわらかさ”が伝わりきれていないと分析している。

そこで、日本人の味覚にあわせて、開発したのが、上記の2商品なのだ。伝統のオリジナル・グレーズドはそのままに、表面を焦がすことで、甘さを抑える。それと同時に日本人が好むカリッとした食感を実現。ふわっとした生地の中には、とろーりとしたカスタードなどが入っている商品に行き着いたというわけだ。

サクっ、ふわっ、とろーりを実現

“行列ができる店”というイメージからの脱却

同社としてはこの2商品をオリジナル・グレーズドに次ぐ定番商品にして、10年、20年、30年と日本で愛される柱の1つに育てたい考えだ。今後は、中に入れるペーストのバリエーションを増やすなどの展開も視野に入れているという。

「海外の似たようなスイーツブランドで、10年続けてこられるのはまれです。当社は10年やってこられました。これからは、話題の店から脱却して、日常的に利用する店に、と考えています」。こう話すのは同社の若月貴子副社長。

同社といえば、日本上陸時に、新宿の店の前で何時間も待つ人の群れができていたイメージが強いが、店舗拡大もあり、行列は見かけなくなった。若月氏は日本のスイーツの流行、廃りは早いとみており、話題の店からの脱却がカギだとしている。

そのために、近年店舗を相次いで閉め、店舗戦略を見直したり、日本独自のメニュー開発の強化、そしてドーナツ以外の商品展開なども進められているという。すべては、“日本人の日常に受け入れられる”ことのためだ。そんな中、甘くない2商品は、同社にどんな効果をもたらすだろうか。日本人の舌に受け入れられるかどうか、その試金石になるだろう。