Google Homeの要は「Google Assistant」

考えられる大きな要因の1つは、「Google Assistant」の存在である。先にも触れた通り、Google Assistantは今回のGoogle I/Oにおける大きな目玉の1つとして位置付けられていた。Google Assistantについて簡単に説明すると、従来のGoogle Nowとは異なり、話した言葉を単に検索するのではなく、AIの技術を活用することで、相手が話しかけてきた言葉の文脈を理解し、それに適切な答えを返してくれる音声アシスタントサービスだ。アップルのSiriに近い存在といえるが、特定の場面に限らず、シーンを問わずに質問を投げかけても臨機応変に回答してくれるのが、Google Assistantの強みとなっている。

同じくGoogle I/Oで発表された「Google Assitant」は、会話しながら必要な情報を探してくれる音声アシスタントだ

そしてGoogle Homeは、Google Assistantを活用するために作られたデバイスといってもいい。それだけに、Google Assistantの登場がGoogle Homeの発表に大きく影響していることは確かであり、Google Assistantの提供の目途が立つのを待って、Google Homeは発表されたともいえるだろう。

ちなみにグーグルは、Google Assistantの発表に合わせて、Google Homeの他にもう1つ、Google Assistantを活用したメッセンジャーアプリ「Allo」も発表している。Alloは単に友達とチャットを楽しむだけでなく、会話の途中で必要に応じてGoogle Assistantを呼び出すことで、航空券を探したり、レストランの予約をしたりと、Webブラウザやアプリなどに切り替えることなく、必要な情報を得たり、操作をしたりできるのが特徴。Alloは他にも、相手が投稿した写真の内容から、自動的に返信の候補をいくつか作成してくれるなど、AIの技術をフル活用した機能が備わっている。

Google Assistantを活用したメッセンジャーアプリ「Allo」。友人との会話中にGoogle Assistantを呼び出し、Alloの中でレストランの検索や予約などができる

Google Assistantが、単にGoogle Nowを置き換えるだけの存在であれば、ある意味“Siriの対抗馬”としてしか注目されなかったかったかもしれない。だがGoogle HomeとAlloの発表によって、Google Assistantがスマートフォン以外でも利活用できることを明確に示したことが、Google Assistantの注目を高めたことも、また確かであろう。