大手携帯電話会社の2016年度におけるスマートフォン販売台数が減少しそうだ。ソフトバンクは数値を公表していないが、NTTドコモ、KDDIは2015年度比での販売台数の減少を予測。大手携帯電話各社は、加入者増を目指したビジネスモデルからの転換に迫られている。

2016年度のスマートフォン販売台数の見通しは?

2016年度において、ドコモとKDDIのスマホ販売台数は減る見通しだ。ドコモは2016年度のスマホ販売台数が2015年度比142万台減の1402万台と予測。KDDIは2015年度比10万台減少の730万台になるとしている。

販売減と見込まれる直接的な原因は、総務省が行ってきた一連の施策にある。昨年、総務省のタスクフォースで、携帯料金の値下げについて議論され、それを踏まえて、「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」が策定、多額のキャッシュバックをつけて実質ゼロ円もしくはそれ以下でスマホを販売する手法が禁じ手となってしまったからだ。

スマホの販売減は業績にも影響するのだろうか。ソフトバンクグループの孫正義代表は、先日の決算会見において、現段階で受ける影響についてコメントを出すのは時期尚早としているが、「そもそも携帯キャリアは、端末の販売で利益を上げようと考えていない」「端末を買い換える回転率の話に過ぎず、その回転率が上がっても、利益は増えない。重要なのは、ユーザーの総数である」などと補足した。

ただし、重要とするユーザーの総数については、今後はあまり大きな変動が望めそうにない。これまでキャリアはスマホ購入においてキャッシュバックを手厚くし、新規ユーザーの獲得を行ってきたが、それが今では禁じ手になっている。そして、総務省は利用者の公平性の観点から、携帯電話会社に対して、長期利用者の優遇を求めており、この施策が進めば、携帯電話会社間のユーザーの移動も少なくなってしまう。

大手携帯電話会社はスマホの販売をもとに収益を稼ぐモデルから軸を別エリアに移している。写真はドコモの2016夏モデルとなる「Galaxy S7 edge SC-02H」

さらに、総務省ではMVNOを後押しする施策を講じており、大手携帯電話会社としては、従来の通信事業から上がる収益を少しでも維持しながらも、新たなエリアで稼ぎ出したい考えだ。携帯各社の主戦場は、スマホの端末販売を軸にユーザー総数の拡大を目指すところから、別エリアに移っているのだ。