さて、小誌でもすでにレポートしたが、奇しくも4月21日に日本マクドナルドが新商品の発表を行ったばかり。両社の商品を見比べると、路線のちがいがみえてくる。 まずモスは、明らかに女性をターゲットにしたメニューづくりに軸を置いている。前述したアボカドを使った2商品のほかにも「アイスマンゴーティー」「玄米フレイクシェイク マンゴー」「やさしい豆乳スイーツ マンゴーロールケーキ」といった、やはり女性に人気の食材“マンゴー”を使用した飲料・スイーツを投入する。

左:アイスマンゴーティー、中:玄米フレイクシェイク マンゴー、右:やさしい豆乳スイーツ マンゴーロールケーキ

「弊社の顧客の65%が女性。そのため女性を強く意識したメニューを毎回考えている。だが、つくり上げたメニューは、結果的に男性にも受け容れてもらえる」(櫻田会長兼社長)という。

一方、日本マクドナルドの新商品「クラブハウスバーガー」は、「王道の商品と位置づけているので、広い層に向けたい。ハンバーガー好きな方すべてがターゲット」(日本マクドナルド マーケティング本部メニューマネジメント部上席部長 若菜重昭氏)と、広範囲の顧客をねらう戦略であることを強調する。4月に投入した期間限定の「グランドビッグマック」が久々の大ヒットとなり、この流れをクラブハウスバーガーでつなぎたい考えだ。

インバウンド客への対応は?

余談となるが両社のインバウンド対応についても触れたい。結果からいうと、両社とも対応は緒に就いたばかりという印象だ。日本マクドナルドは「(外国人客の増加について) 営業の数字に影響が出ているか、まだ統計は取れていない。外国人客へのサービスに関する対応については、外国人の多い店でメニューを英、中、韓で表記するなど、徐々にやっている」(コミュニケーション本部 PR部マネージャー 長谷川崇氏)と、店ごとの判断に拠った感じを受けた。

一方のモスは「外国人観光客のデータは取れていないので正確ではないが、以前は1%ぐらいだったのが4~5%ぐらいに伸びた感はある。いずれ顧客が外国人なのかPOSシステムに入力できるようにして分析したいが、中国人や韓国人の場合、見た目での判断は困難」(櫻田会長兼社長)と、外国人客への対応の難しさを語る。ただ、訪日外国人向けに4カ国語表記のメニューを用意したり、日本の通信事業者と契約していない端末でも接続できるWiFiを導入したりといった対応を進めており、マクドナルドよりも積極性がうかがえる。

マクドナルドは国際的なブランドなので、外国人が安心して入店できるというメリットがある。モスバーガーは東南アジアを中心に300店以上を展開しているが、やはり“日本のバーガー”として注目されやすく、マクドナルドとは別の意味で外国人の興味を喚起しやすい。いずれにせよ、青天井に増え続けるインバウンド客の取り込み策は急務といえる。