運用はシステムを常に使用できる状態に保つ作業

運用の仕事は、システムを使用できる状態に保つ作業です。ただし、作業内容は通常の業務とトラブル発生時とで大きく異なります。トラブルが起きていない普段の業務は、担当システムの監視状況の報告書をまとめたり、作業手順書を作成したりといった事務的な作業が多く、のんびりしています。経験を積んでくると、新しいシステムの運用設計に借り出されることもあります。

しかし、ひとたびトラブルが起きると担当者の目の色が変わります。企業のビジネスを支えているシステムの停止は即損害につながります。復旧にかけられる時間も限られたものとなり、システムによっては、「障害は1時間以内に復旧しなければならない」といったようなルールが課せられ、運用する業者に対して罰金が設定されるようなこともあります。重要なシステムのトラブル対応ほど、他の作業では絶対に味わえない「時間との戦い」が待っているのです。

運用の現場には、切羽詰った状況になると急に生き生きしてくるベテランがいます。そのような人たちは、時間との戦いの緊張感と、それを切り抜けた際の達成感がたまらないといいます。加えて、企業のビジネスを自分たちの管理が支えているんだというプライドがあるので、手を抜くようなことは決してありません。システムの運用は、とてもやりがいのある仕事であり、向いている人はきっと病みつきになりますよ。

準備が大切

ここまで説明したように、保守・運用の仕事は、幅広い範囲に臨機応変に対応することが求められ、時間との戦いであることも多いです。ベテランが現場で対応する姿は神業のようにも見えます。

でも、よくよく観察してみると、それらの作業は綿密にシミュレーションした結果「準備」されたものであることがわかります。保守・運用では、この「準備」がとても大切なのです。保守・運用を仕事にしている人の中には、すばらしいスキルの持ち主がたくさんおり、まさに「プロ」と呼べるような人たちです(もっと目立ってもよいと思うのですが、そういう人はたいてい控え目です)。そのような人が担当するシステムは、細かな保守作業がスムーズに進み、トラブル対応もとてもスムーズです。これは、細かな変更やトラブルを想定した準備をしっかりしてあることで実現されています。

また、そもそもトラブルが発生しづらいような設定がされています。これもトラブルに対する準備の1つです。たとえ技術力があっても、行き当たりばったりでは破綻するのが、保守・運用という仕事です。

一見、神業で作業を消化し、トラブルを解消しているように見えるベテランは、実は大きな作業がない平穏なときに、様々なことを想定した準備をしっかりやっているのです。もしそのような人と一緒に仕事をする機会があれば、その準備内容は書籍などには書いていない、学ぶに値するものです。

保守・運用はあまり表に出てこない、どちらかというと裏方作業ですが、企業の根幹となるシステムを支えるとても重要な仕事です。われこそは、という方はぜひ!

執筆者紹介

小堀真義(KOBORI MASAYOSHI)
- ウルシステムズ コンサルティング第1事業部 シニアコンサルタント


Webアプリケーションやセキュリティ基盤の開発を経験し、2006年より現職。技術的な支援を本業としつつ、ときにはプロジェクト管理まで踏み込みながら、システム開発をサポートする毎日を過ごしている。