急速に変化する通信環境の変化に伴い、法律にも変化が必要となってきた。そこで韓国政府の情報通信部は28日、「情報通信網利用促進および情報保護等に関する法律」(以下、情報通信網法)に関する公聴会を開催した。
今回の公聴会において中心的な話題となったのは、情報通信網法の分離だ。同法律はインターネットを始めとした情報通信網上における、情報保護に関する規定である。この法律を分離するというのは、情報通信網法を「放送・通信システム保護および侵害事故対応に関する法律」(以下、放送・通信システム保護法)、「情報通信網等での個人情報保護に関する法律」(以下、個人情報保護法)、「情報通信網利用者保護等に関する法律」(以下、情報通信利用者保護法)の3つに分け、その内容を時代に合わせて拡大するということである。
1986年に制定された情報通信網法だが、その後20回以上にわたる改定が行われることで、規律の対象領域が拡大されている。その結果、内容が一貫性に欠けるものとなってしまっただけでなく、通信と放送の融合など、通信環境が大きく変っている現状を踏まえて、分野ごとに分離する意見が出てきたものだ。
3つに分離した法律の内容について、公聴会では以下のような方向で論議が行われた。
「放送・通信システム保護法」は、ハッキングなどのサイバー攻撃に備えた国家的な保安能力の向上を目標としている。通信と放送の融合や、社会のユビキタス化といった変化に対応しうる保安能力の強化が必要という観点から、主要な施設やシステムを対象として、サイバー侵害事故を未然に防ぐための対策も必要ということで意見が一致した。
「個人情報保護法」では、個人情報の流出事件が多い現状を踏まえて、個人情報を侵害した場合における過怠料を高くするなど、処罰が強化されることになりそうだ。そもそも個人情報流出の可能性を高めているWebサイト上での本人確認作業を最小化し、全韓国国民に与えられている住民登録番号の入力に代わる本人確認手段を普及させるなど、情報流出を防ぐための論議が行われた。
「情報通信利用者保護法」は、不法・有害情報の根絶することを目的としている。不法・有害情報の流出源の1つとなっているポータルサイトやP2P事業者の社会的責任を明確にし、万一、不法・有害情報がこれらを通じて流出した際には課徴金を課すといった処罰を用意することも検討された。
ここで論議された内容は、2007年末までに専門家などの意見を集めて、より具体化させる方針だ。そして2008年上半期にはこれを基礎とした法律案を用意。本格的な法制定を推進する。
新しい技術が次々と出てきて常に変改している情報通信分野。これに関する法律にも改定や追加が必要というのは必然的なことだろう。3つの法律がどのような内容になるのか、まずは2008年に登場予定の法律案に注目が集まる。