日本BEAシステムズは18日、BEA AquaLogicファミリーに加わる3つの新製品「BEA AquaLogic Pages 1.0」「BEA AquaLogic Ensemble 1.0」「BEA AquaLogic Pathways 1.0」の販売を開始した。これらの新製品は、ビジネスユーザに対してWeb 2.0の思想に基づいた"参加型"の作業環境を提供するソーシャル・コンピューティング・ソフトウェアに位置付けられる。BEAは、これによってビジネスユーザがビジネスプロセスに対してシームレスにアクセスできる環境を構築できるとしている。

米BEA Systems プロダクトマーケティング シニア・ディレクターのジェイ・サイモンズ氏

米BEA Systemsにおいてプロダクトマーケティングのシニア・ディレクターを務めるジェイ・サイモンズ氏は、現状のビジネスシステムは組織に合わせて垂直型に構築されており、人とプロセス、そしてデータの水平型の関係との間にギャップが生まれていると指摘する。そして、そのギャップを解消するためのポイントとして次の3つを挙げている。

  • 人、プロセス、データを統合する
  • SOAやBPMなど生産性高めるテクノロジーをベースとしたアーキテクチャを構築する
  • エンタープライズ・ソーシャル・コンピューティングにより、アーキテクチャの中心にエンドユーザを置く

これに対してBEAでは、「Liquid Enterprise」と呼ばれるアプローチを提唱している。Liquid EnterpriseはSOAとBPM、そしてソーシャル・コンピューティングを統合することによって、垂直型システムにおける人、プロセス、情報のギャップを解消しようというもの。SOAとBPMに関しては、現在ではすでにビジネスシステムにおける重要性が認知されているが、ここにエンタープライズ・ソーシャル・コンピューティングを導入し、エンドユーザ中心のアーキテクチャとすることが重要だとサイモンズ氏は言う。

例えば、あるビジネスプロセスに人の手によるタスクが含まれているとする。このとき、システム側から見れば単にタスクが終了するのを待つだけだが、現実には人間の作業は複雑でありアーキテクチャとして統一されていないことが多い。この問題を解消するためのエンタープライズ・ソーシャル・コンピューティングというわけだ。

BEAが今回販売を開始した3つの新製品は、このエンタープライズ・ソーシャル・コンピューティングを実現するためのものである。エンタープライズ・ソーシャル・コンピューティングは、消費者の間ですでに広く使われているソーシャル・コンピューティング技術に対して、企業活動に合わせたユースケースを導入したものとなる。

まず「BEA AquaLogic Pages」は、ユーザがWebアプリケーションを容易に構築することができる、Webページオーサリングおよびアプリケーション構築システムである。Web 2.0のアプローチを採用しており、共同編集可能なページオーサリングやデータ駆動型のマッシュアップなどをサポートしている。

「BEA AquaLogic Ensemble」は、Web上の各種リソースをマッシュアップしてWebアプリケーション上で再利用することを助けるマッシュアップ・エンジンだ。これによってIT部門が管理するアプリケーションやコンポーネント、ウィジェットなどを、開発者がWebアプリケーション用リソースとして再利用することが可能になるという。また、既存のWebアプリケーションに対して認証やシングルサインオン(SSO)、監査、アクティビティレポートなどといったアプリケーション導入サービスを容易に適用することも可能になる。

「BEA AquaLogic Pathways」は、企業内でのコンテンツ管理をサポートするコラボレーション型の検索システム。Webベースや企業リポジトリ内に保存されている情報を検索して分類することが可能となる。システム内のコンテンツや人物情報に対して、タグ付けやビューの作成などによるユーザ駆動型の分類が可能な上、過去の情報の利用方法などによる検索もできるため、目的の情報を効率的に見つけることができるという。

BEA AquaLogic PagesによるWebアプリケーション作成のデモ

BEA AquaLogic Pathwaysによる情報検索のデモ

上記3製品はWindowsおよびSolaris上でそれぞれ使用することができる。ライセンス料金は日本BEAの推奨リテール価格表に基づいてユーザ数またはサーバマシンのCPU数単位で設定されている。推奨価格は1ユーザ当たり1万円(最小ユーザ数100)、1CPU当たり620万円となっている。また、無料評価版をこのサイトよりダウンロードすることが可能。

またBEAはこの日の記者発表において、「BEA AquaLogic BPM Suite 6.0」を7月30日にリリースすると発表している。同製品は"ビジネスユーザへの価値"と"プロセスを形成するIT機能"の2つにフォーカスを置いているとのことである。前者では、エンドユーザによるより直観的なプロセスへの関与、過去のアクティビティを基にしたスマートな意思決定、Web経由での動的なビジネスルールの変更などを可能にする。後者は、プラットフォームとしてのBPMと、サービスバスやサービスレジストリなどのSOA技術との連携を強化することを指すという。同製品に関するより詳細な情報は、正式リリースまでに明らかにされるとのことである。