米Warner Music Groupと米Sony BMG Music Entertainmentは28日、米Access Industriesとともにオンライン音楽配信プラットフォームを提供するベンチャー企業「Digital Access」を設立する計画を発表した。オンライン事業者が容易に音楽ダウンロードサービスを展開できるようにすることで、違法音楽ダウンロードや海賊版売買などの不正行為に歯止めをかける狙いだ。

Digital Accessは、楽曲、着メロ、動画クリップ、画像などの音楽関連コンテンツを合法的に提供するための配信プラットフォームを提供していく。事業者はDigital Accessのプラットフォームを利用して、自社ブランドで音楽ダウンロードサービスを展開できる。Digital Accessは、著作権所有者、コンテンツプロバイダ、モバイルオペレータ、ECサイトと協業することで、合法的に楽曲をインターネットで提供する。

今回、Warner MusicとSony BMGは、米国を拠点とするロシア関連の投資会社Acess Industriesと手を組んだ。このAcess Industriesはロシア系米国人Len Blavatnik氏が立ち上げたコングロマリットで、メディア、資源、不動産などさまざまな事業を展開している。Blavatnik氏は石油で富をなしたことで知られており、Warner Musicの取締役も勤めている。今回のDigital Accessの設立に関して、金額面での情報は公開していない。

設立にはこのほか、ロシアのレコードレーベルとしてSoyuzとNikitin Recordsも参加しており、Warner MusicとSony BMGの音楽カタログに加え、地元の楽曲も提供するとしている。Digital Accessではカタログ数、価格体系などの詳細は明らかにしていない。

本拠地はモスクワに置き、ロシア、および旧ソ連の12カ国で形成する独立国家共同体で事業を展開する計画。本年(2007年)秋にも運営を開始する予定という。

ロシアでは不正コピーなどの違法行為が多く発生しているという。知的所有権に関する業界団体であるInternational Intellectual Property Alliance(IIPA)によると、昨年の音楽、書籍、ソフトウェアなどの損失金額は合計で20億ドルを上回ったという。レコード会社2社らはDigital Accessを立ち上げることで、違法行為に歯止めをかける狙いだ。