リバティ・アライアンス日本SIG(日本分科会)は14日、都内で説明会を行い、同アライアンスの今年度の活動方針や最新の技術動向、採用事例などを紹介した。リバティ・アライアンスはデジタル・アイデンティティ管理に関する技術およびビジネス上の課題に取り組む世界規模のコンソーシアムである。日本SIGでは、国内固有の課題に対する議論や提案活動を行ってきたが、アイデンティティ管理の普及を促進するために、今後はよりオープンな場での活動を積極的に行っていくとしている。

リバティ・アライアンス 日本SIG 共同議長 高橋健司氏

日本SIG共同議長を務める高橋健司氏によると、今年度は以下の3つを重点目標として活動していくという。

  • リバティ・アライアンスのさらなる普及促進
  • オープン化
  • 協調路線の促進

まず普及促進という面では、Web 2.0環境におけるアイデンティティ管理への対応や、各種仕様の策定、相互運用性試験のオンライン化などを進めていく。リバティ・アライアンスでは各種仕様の策定作業を、技術面、法律面、ビジネス面の3つに分け、それぞれを「テクノロジー」「パブリックポリシー」「ビジネスマーケティング」の各エキスパートグループによって進めている。これらエキスパートグループを中心として、現場のニーズに則った仕様の策定を行っていくという。

オープン化という面では、まずオープンソース・コミュニティサイト「openLiberty.org」を立ち上げ、リバティ・アライアンス仕様を実装するオープンソース・ソフトウェアの開発を促進していく。最初のターゲットは「ID-WFS(Web Services Framework)」仕様に則ったクライアント・アプリケーションの開発だという。

またSIGの活動をオープン化し、広く一般からも参加できるように会員制度を変更する。これは説明会が行われた14日付けで実施され、アライアンスの非会員であっても日本SIGを含む各SIGの活動に参加できるようになった。具体的には、メーリングリストや会合に参加できるようになったほか、エキスパートグループのメーリングリストのアーカイブも公開された。また、従来は、会員になれるのは企業のみだったが、新制度では個人も会員として活動できるようになっている。

3つ目の目標である協調路線とは、他技術との相互運用性に関する諸問題の解決を指す。具体的には、インターネットにおけるアイデンティティ管理仕様全般の相互運用を目指した「Concordiaプロジェクト」の推進などを行っている。アイデンティティ管理はビジネスの根幹に関わるというだけでなく、プライバシー保護の点などでも極めてデリケートな問題と言える。Concordiaプロジェクトではこれらを考慮したアイデンティティ管理体系の開発を目指す。

国内での活動としては、日本SIGにおいてアイデンティティ管理に関する幅広い議論や情報提供の場を積極的に提供していくという。例えばセミナーや討論会の開催、Wikiを利用した情報発信、日本の商習慣や法規制に即した白書の作成/公開、リバティ・アライアンス仕様や白書等の翻訳、公開メーリングリストでの議論などを行っていくとしている。