特権ID管理ツールおすすめ8選比較| 機能や特徴を紹介!選び方も解説

特権ID管理ツール

特権ID管理ツールは、近年のサイバー攻撃で多発しているインシデントに対応するためのツールとして注目を集めています。

本稿では、特権IDとはそもそも何か、特権IDの必要性を整理し、おすすめの特権ID管理ツールを紹介しつつ、その特徴を比較します。特権ID管理ツールの導入メリットや選び方もまとめているのでぜひ参考にしてください。

特権ID管理ツールとは

    特権ID管理

特権ID管理ツールとは、特権IDを利用する際厳格な管理を行うためのツールです。なぜ特権IDを管理するべきなのか、特権IDの特性とリスク、対策方法についても簡単に説明します。

1、特権IDが関連するインシデントが多発

WebサーバーやDBサーバーなど、管理するべき特権IDは多数存在します。しかし権限が強い割に適切な管理ができておらず、特権IDが関連するインシデントは多発しています。

IPAが毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」の 2020年組織編では、特権IDが絡む外部脅威・内部脅威が上位にランクインされています。1位「標的型攻撃」と4位「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」は外部脅威、2位「内部不正による情報漏洩・不正行為」は内部脅威で特権IDが関係するインシデントです。

出典:独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2020」

2、特権IDと一般IDの違い

特権IDとは、システムのメンテナンスなどで使用する高権限のIDです。特権IDの例としては、WindowsのAdministratorや、Linuxのroot、AWSのIAMユーザーなどが挙げられます。ソフトウェアにおける全ての権限が与えられ、システム管理者が必要に応じて一時的に使用します。

一般IDは、システムを利用するユーザー1人につき1つ与えられるIDで、権限は必要最小限に設定されています。一般IDと比較して、高権限の特権IDは悪用されるとより大きな被害が出るリスクがあります。

3、特権IDを扱うリスクと対策方法

特権IDは、システムのメンテナンスには不可欠です。しかし適切に管理していないと、悪意のある第三者によるID乗っ取りやウイルスによる情報漏洩を許してしまうリスクがあります。

これらのリスクを回避するためには、「認証された管理者」が「必要なときに」「必要な権限」で特権IDを利用するような管理が必要です。特権ID管理ツールは、特権ID管理をサポートし、セキュリティを強化するためのツールです。

特権ID管理ツールのおすすめ8製品徹底比較!

ここからは、おすすめの特権IDツールをご紹介します。各製品の特徴を比較して、自社に導入する製品を探してください。

「iDoperation」
NTTテクノクロス株式会社

POINT
  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:パッケージソフト、オンプレミス、クラウド、アプライアンス
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、動画による操作内容取得
  • 無料トライアル:別途問い合わせ

特権ID管理に必要な機能を標準提供している「iDoperation」。オンプレミス・クラウド両方の特権IDを管理できるだけでなく、特権IDの申請承認・貸し出し・利用状況の点検全てを本製品1つでカバーできます。 監査対応も整備しており、豊富な監査レポートと監査人向けの説明マニュアルを提供している点も大きな特徴です。

導入に手間のかからない、アプライアンスサーバーとしての提供 もあります。オプションで、特権ID操作の動画記録も提供。利用点検レポートから利用申請のない操作に絞り、動画によって操作を目視で確認可能です。


「CyberArk Privileged Access Manager」
CyberArk

POINT

  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:オンプレミス、パッケージソフト
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、動画による操作内容取得
  • 無料トライアル:別途問い合わせ

特権ID管理をワンストップで提供するソリューションサービス。1製品で特権ID管理を全て行いたい場合に候補の1つとなる 製品です。

基本コンポーネントのEPVでは、特許技術によるアカウント情報の強力な保護・パスワード自動変更や、ユーザーにパスワードを見せない機能、申請・承認ワークフローによる権限付与が可能です。

管理できる特権IDの種類は多種多様で、サーバー以外にもネットワーク機器やデータベース、SaaS(クラウドサービス)などの特権IDも管理できます。また、オプションによって SSH鍵、スクリプト内の特権ID管理や、操作内容の録画も可能です。


「ESS AdminONE」
エンカレッジ・テクノロジ株式会社

POINT

  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:アプライアンス、オンプレミス、クラウド、パッケージソフト
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、動画による操作内容取得
  • 無料トライアル:あり

特権ID管理に求められる機能を網羅しているだけでなく、ゼロトラストを前提にしたアクセス制御も可能 とする特権ID管理ツールです。オンプレミス・クラウドなど多彩な種類の特権IDを管理でき、 本製品1つで特権IDの一元管理を可能にします

ゼロトラストとは、全ての通信を「信用しない」ことを前提に、ユーザー認証の強化などセキュリティ対策を行うこと。本製品では、パスワードを開示しない パスワードレスアクセスや多要素認証などにより、特権IDのセキュリティ強化を図っています


「Aegis Wall」
NHN テコラス株式会社

POINT

  • 参考価格:【Log Auditor】基本ソフトウェア(ライセンス)800,000円(年間保守費)160,000円/月より、その他Access Controllerプラン・Web Assist Proあり
  • 提供形態:オンプレミス、クラウド、パッケージソフト
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、動画による操作内容取得(Server Agent構成のみ)
  • 無料トライアル:別途問い合わせ

「Aegis Wall」は、特権ID管理の段階に応じて3つのプランを用意 し、予算や自社の状況に応じた特権ID管理を提供するツールです。本製品は、まずは機能を最小限に絞ったプランから導入して、 スモールスタートで特権ID管理を始めたいという場合に適しています

管理できる特権IDの種類は多く、各種OS・データベース・クラウドサービスに対応しています。またネットワーク構成によって 3種類の構成が用意されているため、自社に合った構成を選択しましょう。


「SecureCube Access Check」
NRIセキュアテクノロジーズ株式会社

POINT

  • 参考価格:別途問い合わせ
  • 提供形態:パッケージソフト、SaaS
  • 従業員規模:100名以上
  • 対応機能:申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ、動画による操作内容取得
  • 無料トライアル:あり

特権ID管理に求められるID管理・利用申請・点検に関する機能を網羅し、各種監査対応の支援機能もある 特権ID管理ツールです。ゲートウェイ型あるいはSaaS型 として提供され、ID・パスワード管理、アクセス制御、ログ取得・保管を行います。

特権ID管理の監査は「申請承認・ログ取得・事後確認」の流れで行われます。手作業では大変な 監査対応も、本製品なら申請内容とログの突き合わせなどを自動化しているためスムーズです。


「SeciossLink」
株式会社セシオス

POINT

  • 参考価格:【Standardライセンス】1ユーザー1,800円/年【Enterpriseライセンス 1ユーザー 6,000円/年】
  • 提供形態:SaaS
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:有効期間設定、アクセス制限、作業ログ
  • 無料トライアル:あり

クラウドサービスをメインに、Windows/LinuxサーバーのIDを統合的に管理できる「SeciossLink」。シングルサインオン と 統合ID管理を提供するSaaS型のサービスで、特権ID管理機能も備えています。

特権IDは事前に管理者へ申請して利用期間など設定依頼する仕組みです。特権IDのパスワードは、認証時に自動生成されてそのまま自動的に認証まで進むため、ユーザーも目にすることはありません。 特権IDの申請・承認ワークフロー機能はないため、ワークフローや操作ログと申請内容の突き合わせは別途必要です。


「Secioss Identity Manager Enterprise」
株式会社セシオス

POINT

  • 参考価格:最大ユーザー数500名まで480,000 円/年~
  • 提供形態:パッケージソフト
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:ー
  • 無料トライアル:別途問い合わせ

本製品は、IDを一元管理するためのツールです。連携先のディレクトリサーバーやクラウドサービスに対して、ユーザー・グループ・連絡先などの 変更情報を伝播することで、IDの一元管理を実現しています。

単体では特権ID管理に求められる機能はなく、シングルサインオン・アクセス管理ツールの「Secioss Access Manager Enterprise」との連携が必要です。 IDのプロビジョニング(割り当て・設定)から認証までのシステム基盤を構築により、特権ID管理の効率化に役立ちます。


「Secioss Access Manager Enterprise」
株式会社セシオス

POINT

  • 参考価格:最大ユーザー数500名まで720,000 円/年~
  • 提供形態:パッケージソフト、オンプレミス
  • 従業員規模:全ての規模に対応
  • 対応機能:申請承認、有効期間設定、アクセス制限、作業ログ
  • 無料トライアル:別途問い合わせ

シングルサインオン・アクセス制御 機能により特権ID管理を行えるツール。複数の認証方式を選べ、ユーザー・グループだけでなく 時間帯や接続元IPアドレスなどでのアクセス制御も可能です。「Secioss Identity Manager Enterprise」との連携で、特権IDの変更内容を自動的に連携システムへ反映できるようになります。

特権ID管理ツールの基本的な3機能

特権ID管理ツールにはどのような機能によって管理を実現しているのでしょうか。基本的な3機能について解説します。

1、管理:ID管理

特権IDを管理する機能です。特権IDを利用したいという申請を元に特権IDを作成し有効期限やアクセス制限を設定します。利用期間が過ぎると自動的に特権IDは使えなくなり安全です。

2、利用:申請承認

特権IDを利用する際に利用申請および、必要な権限を持つ人の承認を得て特権IDを一時的に提供するためのワークフロー機能です。利用者と承認者は別人で、承認者は利用期間と目的を確認して承認するかどうかを判断します。利用者個人の判断で特権IDを利用できないようにすることで、不正使用を防止する仕組みです。

3、点検:作業ログ

特権アクセス・特権操作など、特権IDにより行われる作業のログを収集し、問題のない使い方かどうかをチェックする機能です。ログが記録されていることを従業員に明示することで特権IDの不正利用を防止し、内部統制での監査報告にも利用できます。

特権ID管理ツールの導入メリット3つ

特権ID管理ツールの導入メリットは以下の3点です。

1、セキュリティの強化

特権ID管理ツールを使用して特権IDを正しく管理することで、セキュリティの強化になる点は、もっとも大きなメリットです。

管理内部不正や標的型サイバー攻撃では特権IDを奪取することで効率よく目的を達成できるため、特権IDは狙われやすい情報です。システムで初期IDとして提供された特権IDは特に狙われやすく、初期設定の特権IDをそのまま利用していると、適切な管理ができているとは言えません。

特権IDを不正に奪取されないようにするために、特権ID管理ツールは、適切にID管理を行います。特権ID管理は、特権ID自体の適切な管理・特権IDの貸し出し・特権IDの利用状況監視の3段階で、特権IDの奪取を防止します。

2、コンプライアンス対応

内部統制、J-SOX 監査などの統制強化、各種法令ガイドラインに対応するには、特権IDの適切な管理・運用が不可欠です。特権IDを誰が使えるべきなのか、誰が使えないべきなのかを明確にし、必要な権限のIDを一時的に貸し出すとともに、そのIDでのアクセスや操作をモニタリングする仕組みが求められます。

特権ID管理ツールにより特権ID管理を効率よく自動的に行い、スムーズなコンプライアンス対応ができるようになります。

3、情報システム部門のコスト削減

特権IDの厳格な運用を情報システム部門の担当者が手動で行うと、手間がかかる上に人的ミスが発生する可能性もゼロではありません。特権ID管理ツールにより、特権ID管理を効率よく自動的に行うことで、情報システム部門のコスト削減になります。

特権ID管理ツールの選び方3つ

特権ID管理ツールの製品を比較検討する際、確認したいポイントは以下の3点です。

1、操作内容をIDごとに記録できるか

操作ログは、一般的には1ファイルの中に全IDの記録が混在して入っているため、通常は特定IDの操作を追う場合は何らかの特別な操作が必要です。特定のIDがどのような操作を行ったかを連続して確認できる仕組みがあると、不審な操作の調査がやりやすくなります。

製品によっては、IDごとに動画ベースの操作ログを採取できるものや、ログ検索を高速に行えるものもあります。厳格な管理・記録が必要な場合は、操作内容をIDごとに記録できる製品を選択することも検討しましょう。

2、IDの管理をどこまで詳細に設定可能か

特権IDはシステム全体を自由に操作できるため、本来の作業範囲以外の操作もできてしまいます。悪意がなくても、操作ミスでシステムに深刻な被害を及ぼすケースもあり得ます。また、同じ特権IDをずっと使える状態にしていると、万が一その特権IDの情報が流出してしまった場合に、第三者に悪用されることもあるでしょう。

特権ID管理ツールは、上記の問題を防ぐ機能を提供します。貸し出す特権IDは申請された期間しか使えないようにする「有効期限」の設定や、申請内容以外の操作の制限はその例です。どこまで詳細にIDの管理が可能かも、製品比較時に確認しましょう。

3、特権IDの管理・利用・点検をカバーしているか

特権ID管理をスムーズに行うには、ID管理・利用申請・利用状況の点検の3業務をカバーしているかどうかが重要です。利用申請のワークフロー機能がない場合は、他のワークフロー製品との連携も検討する必要があります。

特権ID管理ツール導入時のポイント

特権ID管理ツールを導入する際に注意したいポイントは以下の2点です。

1、クラウドサービスの特権IDにも対応しているか

自社システム群の特権IDは、全て1製品で管理できれば効率的です。近年では、オンプレミスとクラウドサービスの両方を使って業務を進めている企業が増えています。オンプレミスとクラウドサービスのどちらも利用している場合は、クラウドサービスの特権IDも管理できるかどうかを確認しましょう。

2、事前に特権IDの利用実態調査が必要

特権ID管理ツールを比較検討する前には、自社の特権IDがどのように運用されているかの実態を把握する必要があります。

通常自社システムごとに特権IDがあり、管理者が利用している場合もあれば、システムのバッチ処理などで利用している場合もあるでしょう。調査には時間がかかるため、計画的に予算を取って特権IDの利用実態調査を進めてください。

製品によっては、特権ID管理の状況を調査するツールや導入支援サービスで特権IDの利用実態調査をサポートしているため、積極的に利用するのも1つの方法です。

まとめ

特権ID管理ツールは、特権IDの効率的かつ安全な管理を実現するツールです。特権IDを正しく管理することで、セキュリティ強化やコンプライアンス対応などをより効率的に進められます。自社では現状どのように特権IDを管理しているかを精査し、必要な機能を備えた特権ID管理ツールを選びましょう。

ご紹介した特権ID管理ツールの中で気になる製品があれば、資料を入手して比較検討してみてください。

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