建設業の働き方改革とは?働き方改革加速化プログラムや課題・対策について解説!

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日本国内において、現在あらゆる産業・企業で働き方改革が求められています。多くの企業では生産性の向上と業務効率化を実現するため、さまざまな施策を打ち出しており、建設業も例外ではありません。

数ある産業の中でも建設業は特に働き方改革の実現が求められているといいますが、その理由はいったい何なのでしょうか。今回の記事では、建設業界の課題や働き方改革を実現するためのツールやシステムをご紹介します。

建設業界に働き方改革が求められる理由~建設業界の課題~

そもそも、なぜ建設業界に働き方改革が求められているのでしょうか。考えられる理由として2つのポイントを挙げてみます。

1、慢性的な長時間労働を強いられている

1つ目のポイントとして、建設業界全体に長時間労働が蔓延し、作業員への負担が増大していることが挙げられます。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」によると、令和2年12月分の結果では建設業に従事している一般労働者の労働時間は1ヶ月あたり171.3時間となっていることがわかりました。全産業の平均が162.7時間であることを比較すると、業界全体において慢性的な長時間労働を強いられていることがうかがえます。

建設業は危険を伴う作業も多く、長時間労働による疲労が蓄積すると命の危険にさらされることもあります。作業員の安全を守るためにも、働き方改革を推進していかなければなりません。

引用:「毎月勤労統計調査 令和2年12月分結果確報」厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r02/0212r/dl/pdf2012r.pdf

2、深刻な人手不足

2つ目のポイントとして、建設業界全体が抱える慢性的な人手不足が挙げられます。

国土交通省の「建設産業の現状と課題」によると、建設業界では1997年をピークに就業者数が年々減少していることがわかりました。特に2011年以降は、民間・公共事業ともに建設投資が増えているにもかかわらず、建設業の従事者が減り慢性的な人手不足に陥っていることがうかがえます。

このような課題が浮き彫りになる背景には、危険な作業に従事するにもかかわらず、長時間労働が蔓延しているという大きな要因があることが考えられるでしょう。これによって求職者に対しネガティブなイメージを与え、結果として建設業界に入る人材が減少していると見られます。

引用:「建設産業の現状と課題」国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001149561.pdf

国土交通省が策定した「建設業働き方改革加速化プログラム」とは

建設業界が抱える長時間労働および人手不足を解消するために、国土交通省では2018年度から「建設業働き方改革加速化プログラム」を開始しました。これは政府が推進する働き方改革をベースに、建設業界に特化したプログラムとして国土交通省が策定したものです。

具体的にどのような内容が盛り込まれているのか、プログラムの詳細について見てきましょう。

1、長時間労働の是正

公共工事において週休2日制を導入するとともに、適正な工期設定を推進し長時間労働を是正します。また、それにともない、労務費や共通仮設費、現場管理費などの補正も行い、公共工事を請け負う建設業者の負担軽減を実現します。

公共工事では「適正な工期設定等のためのガイドライン」に沿って工事の発注を行いますが、上記の是正に合わせてガイドラインも改訂することが盛り込まれました。

2、待遇の是正

「給与・社会保険に関する取り組み」として、作業員のスキルや経験に見合った給与を実現するために、建設技能者の能力評価制度を策定します。

また、社会保険へ未加入の業者に対しては原則として建設業許可および更新を認めない仕組みを構築し、給与と合わせて作業員の待遇改善に向けて取り組むとしています。

3、生産性の向上

「生産性向上に関する取り組み」として、ICTの活用によって仕事の効率化を促進します。具体的にはIoTをはじめとした最新技術の導入により、作業員の負担軽減および施工品質の向上を図るとしています。

また、建設業界における深刻な人手不足の問題を解消するとともに、今後も減少していくと予想される技術者の配置について、合理化を進めていくことも策定されました。

働き方改革への対策で活用したいITツール5選

建設業界の働き方改革においては、単に労働時間を削減しただけでは真の目的が達成されるとはいえません。限られた人員、時間および予算内で、いかに作業効率と生産性を高めていけるかが重要なカギとなります。

そこで重要な存在となるのが、働き方改革を加速させるITツールです。今回は建設業界において特に活用すべきITツールを5つ紹介します。

1、工事管理システム

工事管理とはその名の通り、現場の工程管理や作業日報管理、取引先への請求および入金管理など、工事に関するデータを一元的に管理できるシステムのことを指します。現場の管理者や営業部門、経理部門などあらゆる担当者が利用することで、生産性が向上し連携ミスもなくなると期待されます。

建設業においては、複数の現場の工事を同時に進めるケースも少なくありません。そのような場合において、リアルタイムに工程や予算管理ができる工事管理のシステムは、極めて高い効果を発揮することでしょう。メニューや機能ごとに閲覧権限を付与するなど、セキュリティ面での対策が万全なシステムも多くなっています。

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2、勤怠管理システム

勤怠管理とは、現場作業員の出退勤の打刻をシステム上で管理するツールです。勤怠管理システムを活用することによって、従来のようなタイムカードによる打刻ではなく、スマートフォンやタブレット、携帯電話などで手軽に打刻できます。これにより、現場に向かう前に勤怠打刻のために出社する必要もなく、働き方改革につながるでしょう。

現在多くの勤怠管理システムはクラウド上で提供されているため、管理者や人事担当者にとっても、現場に出向くことなくリアルタイムで出勤状況が把握できます。また、部署やチーム、個人別に残業時間や遅刻・欠勤などの情報も管理できるため、勤怠管理の工数削減というメリットも得られるでしょう。

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3、労務管理システム

労務管理とは、給与計算や社会保険、福利厚生制度の管理など、労務に関するあらゆる業務を効率化するシステムです。

特に給与計算は従業員ごとに勤怠実績をもとに集計する必要があり、人事や総務部門にとって膨大な工数がかかります。しかし、労務管理システムを導入すれば、勤怠情報をもとに複雑な給与計算を自動化でき、バックオフィス部門の負担を軽減し生産性の向上につながるでしょう。

勤怠管理システムとセットで提供されているものや、外部システムとの連携が可能な労務管理システムも多いため、システム構築においては柔軟な対応が可能です。

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4、会計ソフト

会計ソフトは売り上げや経費の計算など、企業の会計に関するあらゆる業務に対応するシステムです。

会計ソフトを導入することで、紙による伝票管理からシステム上で効率的な会計管理に移行でき、企業の決算書作成を支援します。仕訳項目が特徴的な建設業会計に対応した会計ソフトも多いため、財務や会計に関する専門知識が必要なく、会計ソフトを活用することで業務がスムーズに進むことでしょう。

会計ソフトもクラウドに対応したシステムが多く、伝票管理のペーパーレス化とデータ管理がいつでもどこでも可能になります。

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5、Web請求書システム

請求書を紙に印字するのではなく、PDFファイルなどのデータで作成できるのがWeb請求書システムです。

請求金額や明細を書類に印字する必要がなく、ペーパーレス化にも貢献し経費削減が実現できます。また、取引先や顧客によっては請求書を郵送する必要もなくなるため、通信費や人件費の節約にもつながるでしょう。

会計ソフトの一機能として提供されているサービスもあれば、会計ソフトとの連携が可能なWeb請求書システムも多数存在します。

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ITツールの活用で建設業界の働き方改革加速を!

慢性的な人手不足が続く日本企業の中でも、特に建設業界は深刻な状況が続いています。長時間労働の是正および生産性の向上は重要なポイントであり、それを実現するための第一歩としてITツールの導入が求められていることは事実です。

ITツールの導入にハードルを感じる企業の方もいるかもしれませんが、そういった場合には候補に挙げたツールの提供会社にアドバイスをもらうとよいでしょう。特に業界特化型の製品や、同業界での導入実績が豊富な会社だとより良いアドバイスがもらえるかもしれません。ぜひこの機会に、ITツールを導入して働き方改革を行ってみてはいかがでしょうか。

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