BPMの導入事例に見るBPMのメリット|業務改善成功のポイント4つ

BPM

BPM導入を具体的に検討する前に、導入事例を確認することは重要です。確認しておくことで、BPMの導入メリットがどのような形で効果として現れるか具体的にイメージでき、業務改善を成功に導くポイントも見えてきます。

この記事では、BPMの導入メリットと成功のポイントを整理した後、具体的な導入事例を2例紹介します。BPMの適用範囲や導入する手順について検討する際、ぜひお役立てください。

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BPMの導入メリット

BPMの主な導入メリットは次の3点です。

1 業務プロセスの可視化

現状の業務プロセスがはっきり把握できていない場合は、業務プロセスを整理・分類・体系化・数値化することが重要です。業務プロセスがどのような作業で構成されているかといった点や、各業務のインプット・アウトプットを明確にすることで、現状の業務が抱える問題点を見つけやすくなります。

業務プロセスの可視化により、業務の進捗状況も同様に可視化できる点もメリットです。BPMシステムを導入してリアルタイムに業務の進捗を確認することで、ネックとなっている作業を早期に発見できます。

2 可視化した業務プロセスの分析による改善

可視化した業務プロセスを分析することで、これまで気づかなかった業務の無理や無駄が見え、業務改善がしやすくなる点もBPM導入のメリットです。問題点を整理し、改善により高い効果が見込める課題から優先順位をつけて実施する、といった進め方も可能になります。

3 継続的に業務改善をしやすくする

BPMの導入メリットの中でも、業務改善が継続的に行えるという点はBPMならではの特徴です。何度も業務プロセスを実施してその結果を分析し、改善案を次の業務プロセスに組み込むことで、最終的には業務プロセス全体の最適化を目指します。

BPM導入成功のポイント

    BPM導入の成功ポイント

BPM導入を成功させるには、いくつかのポイントがあります。これらのポイントを確認して、業務プロセス改善を成功させましょう。

1 BPM導入の目的を明確化する

BPM導入の目的を明確にしましょう。BPMで業務プロセスの改善を続けて、最終的にどのような状態を目指したいかを数値化し、業務プロセス実行時にどこまで達成できているかを確認しやすくすることが重要です。

BPM導入の目的が曖昧だと、業務プロセスの改善効果がどの程度出ているのか確認できません。結果、BPM導入が成功か失敗かという判断もできなくなります。

2 BPMを継続的に実施する強いリーダーシップ

BPMで業務プロセス改善を継続的に進めていくためには、関係部署あるいは全社の従業員に明確な目的を示して指揮するリーダーシップが必要な場合もあります。BPMの意義と利用する目標について関係者と共有し、業務プロセス改善に適したリーダーシップを発揮することで、プロジェクトは成功に近づきます。

3 もっとも改善が必要な部署から段階的に進める

将来的に全社にBPMを適用する場合も、まずはもっとも改善が必要な部署から段階的に適用することを検討しましょう。BPMの適用範囲が狭いほどPDCAサイクルを回しやすく、業務プロセスの改善や問題部分の発見と対処がより迅速に行えます。

4 業務プロセスの分析や改善には現場部門の協力が不可欠

BPMは情報システム部門やベンダーだけが頑張って導入するものではありません。実際に業務を進めている人の意見を取り入れることで、より精度の高い業務プロセスの改善が可能となります。

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BPMの導入事例1:段階的な業務プロセス可視化で業務効率大幅改善

1つ目の導入事例として、業務プロセスの可視化によって業務効率を改善できた例を紹介します。

1 課題:業務のブラックボックス化で非効率&横展開が難しい

課題は、事業が急成長して業務量もそれに従い増加しているのに、担当者しか知らない業務が多くなかなか横への展開ができない点です。

業務は担当者個人しか知らない部分があり、その多くがブラックボックス化しているため、業務プロセス全体の見直しができない状態です。

その上、業績が好調なため、雇用を増やしてボトルネックとなっている業務に多くの人員を投入しても、業務を教えられる人は業務のキーマン1人のみ。キーマンが教えている間は業務も止まるため、横への展開がなかなか進みません。

2 導入と進め方:業務の可視化から開始してBPMシステムを導入

課題解決のために行ったBPMシステムの導入と進め方は以下の通りです。

  1. もっとも改善の必要がある1部門から業務の可視化を行う
  2. 現場に使いやすい業務可視化手法と業務プロセス図作成ツールを導入
  3. システム部門と現場の業務責任者が協力して現状の業務を業務プロセス図に書き起こす
  4. 1部門での業務プロセス図のノウハウがたまったら他部門にも展開
  5. BPMシステムを導入して業務プロセス図をインプットにする
  6. システム開発&運用

この手順での注目ポイントは、ITシステムをいきなり導入するのではなく、最初に業務プロセス自体の可視化と改善検討をし、作成した業務プロセス図をBPMシステムの要件定義のインプットとした点です。

業務プロセスの可視化に当たっては、共通の業務可視化手法とツールを使用します。このツールはシンプルで現場作業者にも使いやすく読みやすいため、業務プロセスの共通認識化に大きく役立ちます。

また、一度に全社で業務プロセス図の作成を行うと、作成ルールの改変に伴うコストが大きくなります。そのため、最優先で対応したい1部門を選んで業務プロセス図を作成し、作成ルールも細かく修正して作り上げます。

1つの部門で業務プロセスの可視化が終わったら、関係部署にも展開をして、同じように業務プロセスの可視化を進めます。関係部門も同じ業務可視化手法とツールを使うことで、これまでは見えにくかった部門間のやり取りも見通しがよくなります。

3 成果:業務効率の劇的な向上により事業拡大に貢献

段階的にBPMを導入した結果として、業務効率は劇的に向上して、事業拡大に大きく貢献する結果となっています。

業務プロセスを可視化した結果作成される業務プロセス図は、そのままITシステムの要件定義に使えます。

このことによりBPMシステムを導入の時点では、すでに要件定義が出来上がっているため短期間でシステム運用開始が可能になっています。業務プロセスの作業量や目標の数値化で、システムから自動的に効果測定でき、PDCAサイクルがスムーズに回せます。

BPMの導入事例2:基幹システムにBPM追加で開発も業務もスピードアップ

次の導入事例は、業務スピードの劇的な改善が必要となり、これまでの社内システムを根本的に見直し業務改善につなげた例です。

1 課題:業務スピードの劇的な短縮と業務アプリ開発コスト低減

こちらの事例における課題は、これまで数日かかっていた問い合わせに対する対応では他社との競争に勝てなくなり、大幅なレスポンス改善が必要になったことです。現状の業務プロセス改善では難しいため、社内システムを根本的に見直さなくてはならない状況です。

さらに業務アプリ開発コストはあまりかけたくないということがあり、簡単に業務用プログラムを組める仕組み作りも課題のひとつです。

2 導入と進め方:BPMシステムを導入し基幹システムと統合

課題解決のために行ったBPMシステムの導入と進め方は以下の通りです。

  1. BPMシステムを追加で導入して新しい問い合わせ業務のモデリングを行う
  2. 現状使用している基幹システムとBPMシステムを自動的に連携させる
  3. 問い合わせ業務のプログラムはBPMシステムで開発
  4. 基幹システムを直接改修しなくてすむため開発コスト低減

改善が必要な問い合わせ業務は、新たに導入したBPMシステムで業務プロセス図を作成してそのままITシステム化。これまで社内システムとして稼働していた基幹システムとBPMシステムも自動的に連携するようにしました。

3 成果:業務スピードの大幅改善と開発コスト軽減に成功

結果として、問い合わせ業務の業務スピードは大幅改善し、受注活動拡大に成功。懸案だった開発コストは、従来のように基幹システムを回収するのに比べて、開発期間も経費も大幅軽減という結果になりました。

BPMの導入事例を参考に自社への適用を検討しよう

導入事例として、問題のある部門から順番にボトムアップ式に展開していった例と、トップダウンで新しいシステムを導入した例を紹介しました。

ボトムアップ式は、BPMの基本的な導入方法と言えるやり方です。しっかりと時間をかけながら業務プロセスの可視化・数値化を進めることで、業務そのものの効率を改善するだけでなく、業務プロセス全体の最適化が可能になります。

また、BPMの導入とBPMシステムの導入を同時に行うかについても検討ポイントです。現状の業務プロセスを全て可視化するにはかなりの時間がかかります。業務プロセスの可視化に使用するツールはレベル1の記述レベルとなるため、分かりやすい業務プロセス設計専用のツールを使うと効率が良いケースもあります。

短期間で業務上の問題を解決しなければならない場合は、ITシステムを導入して早急な問題解決を図るのもひとつの方法です。どの方法を採用するにしてもまずはBPMの導入する目的をはっきりとさせましょう。また、強いリーダーシップを発揮して、BPMの適用部門に対するPM導入の意義や業務プロセス設計の研修を推進することも重要です。

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