海での撮影はデジタルカメラに最悪の環境?

いよいよ梅雨が明ければ本格的に夏に突入! 今年こそ海に行くぞ! 写真もバッチリ撮りたい! できれば、シュノーケリングやダイビングに挑戦して水中撮影もしてみたいのだが、お金はあまりかけられないのも事実。しかし、いつも使っているデジタルカメラでは、水飛沫や潮風、砂埃が心配だし、そもそも防水機能を装備していないので、水中撮影は不可能だ。

海岸での撮影は、デジタルカメラにとって過酷な条件の場合が多い。潮風や海水でも大丈夫なカメラはないものだろうか?

ぜひ、挑戦してみたいマリンダイビング撮影! ダイビングは、年配の方にも人気があるスポーツで、一度体験すると病み付きになるらしい

デジタルカメラは電子機器だから、雨の日はもとより、海岸や海上での撮影ともなれば、細心の注意を払わないと潮風や水飛沫で大変なことになってしまう。実は昔、船上でビデオカメラを使って長時間の撮影をしていたら、濡らしたわけでもないのにカセットカバーが本体に貼り付いて開かなくなってしまったことがある。後で専門家の人に聞いたら、潮風の影響だったようで、場合によっては内部メカにテープが貼り付いて壊れてしまうことがあると言われた。それ以来、ビデオカメラに限らずスチルカメラを海に持って行くのも怖くなってしまった。

とにかくカメラというものは、危険にさらされることが多い。少し前にある鍾乳洞に入ったのだが、中は蒸し風呂のようになっていて、デジタルカメラが一瞬で水滴だらけ。「うわー」と思った時にはすでに遅く、レンズも曇って真っ白けで撮影どころではなかった。泣きそうになりながら、水滴を拭いてカバンにしまった覚えがある。他にも旅行に行って撮影していたら突然土砂降りになり、ビショビショになって動かなくなったり、北海道で真冬にデジタル一眼レフカメラで撮影していたら、寒さのせいか、中央以外は真っ暗な写真になったという経験もある。テーブルに置いたカメラをウェイトレスさんに落されてシャッター音が変になったこともあった。自分で撮影していると落とすことは少ないのだが、なぜか、机に置いていたり他人に貸したりするとよく落とされる。幼いお子さんがいる方は、さらにその危険度は増すはずだ。

左は鍾乳洞の入り口での撮影。湿度が高くてレンズが曇り全体が白くなっている。右は真冬の北海道での撮影。上下が暗くなっているがわざとではなく、どうやら寒さのせいでミラーかなにかのタイミングが狂ったのか、このような写真になってしまったと思われる

ということで、憧れの水中撮影もしてみたいということもあり、現在使っているデジタル一眼レフカメラのサブも兼ねたデジタルカメラを新たに探すことにした。条件は、「普段から気軽に持ち歩けるサイズ」「水中撮影が可能」「寒さに強い」「衝撃に強い」「価格が手頃」である。できれば、手ブレ補正機能やズーム、高感度撮影など、基本的な性能はすべて揃っているのがベストだ。でも、そんな製品って実際に存在するのだろうか?

防水カメラってあるの?

昔はニコンから全天候カメラ「NIKONOS」という完全防水のフィルムカメラが発売されていたが、かなり前に生産が終了したと聞いている。ニコンのホームページには、ハウジングが主流になったことが要因の一つだと書かれている。NIKONOSは、普段から気軽に持ち歩いて撮影するというカメラではないが、プロ / アマ向けの本格的な防水カメラであり、最後に登場した「NIKONOS RS AF」などは、一眼レフタイプで100mまで潜れたというからたいしたものだ。

全天候カメラの初代「NIKONOS(左)と最終モデル「NIKONOS RS AF」(右)。RS AFは、なんと一眼レフタイプでありながら100mまで潜ることができた

ハウジングというのは特殊な耐水圧ケースで、普段から使用しているカメラを水中で使用できるようにするための装置だ。数メートルから数十メートルまで潜れるらしく、かなり高度な撮影もできるらしいが、結構大きくてかさばるので、水中撮影以外に使うのは無理そうだ。しかもかなり高価で、そう簡単には手が出ない。では、NIKONOS亡き今、防水カメラというものは残っているのだろうか? 確か昔に何台か販売されていたような気はするのだが……。

今年開催された第15回マリンダイビングフェアでは、数多くのデジタル一眼レフカメラ用のハウジングが展示されていた。性能が高く、さまざまな工夫がなされており、現在のダイビング撮影における主流といえるが、価格はセットで20万円~40万円ぐらいになる

Googleで「防水カメラ」というキーワードで検索しみた。すると「【レビュー】夏だ水だ! 防水デジタルカメラを使ってみた」というタイトルが一番目に表示された。おお、あるじゃないか、とクリックしてみたら、なんと昨年のマイコミジャーナルのレビュー記事だった。手前味噌と受け取られると嫌なのだが本当の話。2番目が、日経BPの「バラして分かった! ペンタックス「Optio WP」防水のヒミツ」などが続いた。防水カメラというキーワードで検索した結果、現在はオリンパスの「μ725SW」「μ770SW」、富士フイルムの「FinePix BIGJOB HD-3W」、リコーの「Caplio 500SE model W / B」および「Caplio 500G wide」、ペンタックスの「OptioW20」、三洋の「DMX-CA65 Xacti」などが見つかった。G-SHOCKの技術を活かしたカシオの「G.BROS.GV-20」が2002年に発売されているが、すでに市場では見かけなくなっており、ソニーから「DSC-U60」という製品も発売されていたが、現在は生産を終了していた。

リコーのCaplio 500SEと500Gは、1mの高さからの耐衝撃性能とJIS保護等級7級の防水性能により水深1mまで撮影が可能で、ワイヤレス機能も備えており、価格は500SE model Wで11万5,500円。富士フイルムのFinePix BIGJOB HD-3Wは、70cmからの自然落下にも耐え、JIS保護等級7級の防水性能(水中撮影は不可)を実現しており、画像加工検出機能などを備えており、価格はオープンで実売予想価格は6万5,000円前後。ペンタックスのOptioW20は、JIS保護等級8級の防水性能を備え、価格はオープンで実売予想価格は2万8,000円前後。DMX-CA65 Xactiは、いわゆる動画デジカメだが、JIS保護等級8級により1.5mまでの水中撮影が可能で、価格はオープンで実売予想価格は6万円前後。オリンパスのμ770SWは、JIS保護等級8相当だが、10mの防水性能を備え、1.5mの耐衝撃性能と100kgの耐荷重性能を実現し、価格はオープンで実売予想価格は4万3,000円前後。μ725SWは、水深5mまで撮影可能で、実売予想価格は3万6,000円前後となっている。

Caplio 500SE

FinePix BIGJOB HD-3W

OptioW20

DMX-CA65 Xacti

μ770SW

μ725SW

Caplio 500SEと500G、FinePix BIGJOB HD-3Wは、どれもいわゆる工事現場向けカメラで、ボディの構造や機能も現場での使いやすさに力を入れており、「いつも持ち歩けて水中撮影ができる」という製品ではない。ペンタックスのOptioW20は、とても小さくて魅力的な製品だが、使用できる水深が1.5mで連続30分までとなっている。三洋のDMX-CA65 Xactiは、動画を主体としており、使用できる水深は1.5mまで。μ770SWは、水深10mで60分まで使用できるという。

そもそもコンパクトカメラは、種類が多く機能も豊富で選び方が非常に難しいが、「潜れる防水機能」というキーワードが加わると選択肢はほとんどなく、今回の目的であるシュノーケリングやダイビングといった1m以上潜る可能性が高い水中撮影では、μ770SWかμ725SWがもっとも適しているように思われる。しかし、防水機能に特化していると他の機能がおろそかになっていないか心配になる。スペックを調べたところ、ISO1600まで高感度撮影が可能な手ブレ軽減機能を備えており、3倍光学式ズーム、710万画素のCCD搭載など、基本性能も充実しているので、カタログを読んだ限りでは問題がなさそうだ。しかし、耐衝撃性能は高いらしいが、見かけは小さくて華奢な印象を受ける。そこで次回は、本当に水中撮影が可能なのか、実際にμ770SWを水に浸して撮影をしてみたいと思う。