不動産を売却するとなると、「本当に高く売れるのか」「手続きでトラブルはないのか」といった不安がつきまといます。さらに、売却のきっかけや査定額と実際の価格差、満足度は人によって大きく異なるものです。では、実際に不動産売却を経験した人たちは、どのように感じているのでしょうか。
今回、マイナビニュース編集部では、不動産査定・売却の経験者189人にアンケートを実施しました。性別や年代、居住エリアといった基本情報から、一括査定サイトの利用状況、売却で不安に感じたこと、売却後の満足度まで幅広く質問したところ、その結果から、利用者が感じた「リアルな声」が見えてきました。
本記事では、そのアンケート結果をグラフとともに紹介しながら、不動産売却の実態や利用者の本音を解説していきます。これから売却を検討している人にとって、同じ経験をした人の意見は参考になるはずです。
不動産査定・売却の意識調査結果まとめ
- 性別は「男性55.6%」「女性43.9%」とほぼ半々で、幅広い層が利用
- 売却理由は「住み替え」が最多、次いで「転勤・相続・離婚」など生活環境の変化が影響
- 一括査定サイトの利用率は「57.8%」と過半数が経験済み
- 売却開始から「1ヶ月以内」に問い合わせがあった人が7割を超える
- 査定結果と実際の売却額の差は±50万円以内が過半数
- 実際のトラブルは少数派で、「物件の欠陥指摘」が最も多かった
アンケートの調査概要
| 調査名 | 不動産査定・売却に関する意識調査 |
| 調査方法 | クラウドワークス |
| 調査期間 | 2025年08月28日〜9月11日 |
| アンケート回答者総数 | 189人 |
※調査結果データの引用、転載に際しては必ず「不動産査定・売却に関する意識調査|マイナビニュース不動産査定ガイド運営調べ」と記載してください。
利用者の性別はほぼ男女半々!幅広い層にニーズが広がる

回答者の性別は、男性が55.6%、女性が43.9%、その他・未回答が0.5%でした。ほぼ男女半々に意見が分かれており、不動産に関する検討は性別に関わらずされていることがわかります。
かつては住宅の購入や売却となると「家長である男性が決める」というイメージも強かったかもしれませんが、現代では共働き世帯や資産分与、相続などを背景に、女性が主体となって動くケースも増えています。今回の調査結果からも、不動産の査定や売却は男女問わず幅広い層に関心を持たれていることが裏付けられます。
不動産売却の中心世代は30~40代!ライフイベントが決断の契機に

年代別では、30代が37%と最多で、次いで40代が27.5%、50代が16.9%という結果でした。20代は10.6%にとどまり、60代以上は1割未満と少数派です。30〜40代が全体の6割を超えており、子育てやライフスタイルの変化、住宅ローンの返済計画などから「売却や住み替えを考える世代」が主な利用者層であることが浮き彫りになりました。
一方で、20代の回答も一定数あり、投資用不動産の売却や、親から譲り受けた物件の処分といった事情が背景にあると考えられます。年代によって不動産に向き合う理由は異なりますが、いずれも大きなライフイベントや資産形成の転機が関わっている点が共通しています。
関東エリアが4割超!首都圏に売却ニーズが集中

居住地は関東地方が42.3%と圧倒的に多く、近畿地方(19.6%)、中部地方(11.6%)が続きました。関東に集中しているのは、人口や不動産取引件数の多さを反映していると考えられます。特に首都圏では住宅価格が高額なため、資産価値を意識して売却や査定に踏み切る人が多いことも背景にあるでしょう。
一方で、地方圏は回答割合が一桁台と少なく、四国地方は2.1%にとどまりました。とはいえ、地方特有の「空き家問題」や「相続物件の処分」といった課題もあり、今後は地方からのニーズが顕在化していく可能性があります。今回の結果は、地域によって不動産売却の関心度や事情が大きく異なることを示しているといえるでしょう。
売却を決断した理由は「住み替え」が最多!転勤や相続も大きな要因に

最も多かったのは「住み替えを決めた」(36.5%)で、ライフスタイルの変化が売却を後押しする大きな要因になっています。次いで「転勤・相続・離婚など」(30.7%)が多く、生活環境の変化や家族構成の事情が背景にあることがうかがえます。「ローン返済や老後資金のため」(8.5%)、「不動産価格の高騰時」(7.9%)といった経済的な理由も一定数ありました。
この結果から、不動産売却は「資産運用の判断」よりも「ライフイベントによる必然性」によって決断されるケースが多いことがわかります。利用者にとっては、売却をきっかけに生活の再スタートを切るという意識が強いといえるでしょう。
売却先は一般個人が54%!一方で不動産会社の買取も4割近く

売却先は「一般個人」が54%と最多で、過半数を占めました。次いで「不動産会社の買取」が37.6%と高い割合を示しており、仲介等を通じて売却先を探すか、専門の買取業者を活用して確実に売っている人が大半の印象です。一方で「投資家」(3.7%)や「法人」(2.1%)、「親族や知人」(2.1%)は少数派でした。
一般個人への売却は価格が相場に近づきやすい反面、時間がかかることもあります。対して不動産会社の買取はスピードが重視されるケースに多く、早期売却や現金化を求める利用者に支持されていると考えられます。今回の結果からは、利用者が「できるだけ高く売る」か「早く確実に売る」かを状況に応じて選び分けている姿が浮かび上がりました。
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一括査定サイトの利用率は57.8%!価格や情報の比較が当たり前に

回答者の57.8%が「利用した」と答えており、過半数が実際に一括査定サイトを活用していることがわかりました。一方で「利用していない」が33.9%、「存在を知らなかった」が8.3%でした。
利用者の多さは、複数社の査定額を効率的に比較できる利便性が広く認知されている証といえます。ただし、まだ3割以上が利用を避けており、その背景には「営業連絡が煩雑そう」「直接不動産会社に相談したい」といった心理的ハードルが考えられます。また、存在を知らなかった層も一定数おり、情報発信が届いていない現状も浮き彫りになりました。
仕組みの解説や利用者の口コミなどの情報をもとに、一括査定サイトがさらに普及していくことで、利用者の利便性も向上しそうです。
不動産一括査定サイトについて知りたい人や、おすすめを知りたい人は次の記事も参考にしてください。



売却開始から1ヶ月以内に問い合わせが7割!早期売却がしやすい市場環境

最も多かったのは「2週間~1ヶ月」(38.1%)で、次いで「1週間以内」(30.7%)が続きました。「1~3ヶ月」は21.2%、「3ヶ月以上」は7.9%にとどまり、多くのケースで1ヶ月以内に問い合わせが入っていることがわかります。「問い合わせは来なかった」という回答はわずか2.1%でした。
この結果から、不動産市場では売却活動を始めてから比較的早い段階で反応があるケースが多いといえます。特に需要の高いエリアでの売却や適正な価格設定をしている場合は、数週間以内に動きが出ることが期待できます。一方で時間がかかる場合もあるため、余裕を持ったスケジュールを立てておくことが重要です。
売却時の不安は「法的手続き」が最多!税務やリスクへの懸念が高め

最も多かったのは「契約・登記など法的な手続き」(38.6%)で、続いて「税金や確定申告」(29.1%)となり、専門的で複雑な手続きを不安視する声が全体の約7割を占めています。
また、「引き渡し後のトラブルリスク」(16.4%)も大きな懸念材料となっているようです。一方、「買主とのやりとり」(12.7%)や「その他」(3.2%)は比較的少数派でした。
不動産売却の利用者にとって最大の不安は、相手との交渉よりも「法律・制度に関わる専門的な部分」であることがわかります。利用者が安心して取引するためには、売却プロセスを専門家がサポートし、必要な手続きを整理して提示するしてくれるようなサービス選びが重要だといえるでしょう。
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売却時のトラブルは少数派!「物件の欠陥指摘」が最も多い

「特になし」と回答した人が144件と圧倒的多数を占め、不動産売却における大きなトラブルは少なかったことがわかります。実際にトラブルを経験したケースとしては「物件の欠陥に関する指摘」(21件)が最も多く、次いで「価格交渉が過剰だった」(12件)、「買主からのキャンセル」(9件)などが挙げられました。契約条件のすれ違いはわずか7件と少数でした。
全体としては、不動産売却のプロセスは比較的スムーズに進むことが多いと考えられます。ただし物件の状態に関する指摘は避けにくいため、売却前に修繕や情報開示を行うことが安心材料につながるでしょう。
査定額と売却額の差は小さい!半数以上が±50万円以内に収束

最も多かったのは「ほぼ同じ(±50万円以内)」(56.1%)で、査定額と実際の売却額が大きく乖離しなかったことがわかります。次いで「査定より高く売れた」(18.5%)、「査定より50〜100万円安かった」(15.3%)が続きました。300万円以上安くなったケースは少数で、全体の5%未満にとどまっています。
査定と実際の差が大きくないという結果は、査定精度が高まっている証ともいえます。利用者にとっては「査定はあくまで目安」というイメージがある中で、実際には大きく外れないことが安心感につながっていると考えられます。一方で、より高く売れたケースも一定数あることから、交渉や売却タイミングによって結果を伸ばせる可能性も見えてきます。
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売却にかかった経費は「10~50万円」が最多!高額負担は少数にとどまる

最も多かったのは「10~50万円」(45%)で、次いで「50~100万円」(30.2%)が続きました。「10万円未満」も14.3%おり、半数以上が比較的低コストで売却を終えていることがわかります。100万円を超えるケースは10%程度で、「300万円以上」はわずか2.1%にとどまりました。
売却時の経費には仲介手数料や登記費用、場合によってはリフォームや測量の費用が含まれますが、今回の調査結果からは「想定外の高額出費になるケースは少ない」といえるでしょう。多くの利用者にとって、不動産売却に伴うコストは予算内に収まる範囲で処理できている実態が浮かび上がりました。
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「精神的に安心できた」が最多!売却で得られる大きな安心感

最も多かったのは「精神的に安心できた」(84件)で、不動産売却が心理的な負担から解放される大きなきっかけとなっていることがわかります。続いて「意外と早く売れて安心した」(63件)、「住み替えがスムーズに進んだ」(51件)と、手続きや取引が思った以上に順調に進んだことを評価する声も多く見られました。「資金計画が立てやすくなった」(37件)といった経済的メリットも一定数挙がっています。
不動産売却は「資金を得る」だけでなく、「安心感や生活の再設計につながる」という精神面での効果が大きいことが示されました。売却を検討する利用者にとっては、取引後の生活の安定感を想像できるかどうかが重要な要素といえるでしょう。
総合満足度は8割以上!多くの人が売却に納得感を得ている

「とても満足」(19.6%)と「やや満足」(66.7%)を合わせると、全体の8割以上が売却結果に満足していることがわかりました。「どちらともいえない」は11.6%、「やや不満」はわずか2.1%で、「とても不満」と答えた人はいませんでした。
不動産売却を経験した人の大多数が「思ったよりスムーズに進んだ」「納得のいく結果だった」と感じているといってよいでしょう。もちろん細かな不満や想定外の出来事はあるものの、総じて満足度が高いことから、不動産売却に対する心理的なハードルは以前より下がっていると考えられます。利用を迷う人にとって、この実績は安心材料になるでしょう。
売却後の後悔は「価格交渉」や「複数社比較」不安を減らすには事前準備が鍵

最も多かったのは「特にない」(73件)で、多くの人が結果におおむね満足していることがわかります。ただし、「価格交渉を強気ですればよかった」(56件)や「複数社に相談しておけばよかった」(35件)といった後悔も目立ちました。売却後に振り返ると「もっと条件を良くできたかもしれない」と感じる人が一定数いることがうかがえます。
また「もっと早く動くべきだった」(34件)、「もっと待つべきだった」(25件)と、タイミングに関する後悔も見られました。不動産売却は市場動向やライフイベントにも時期が大きく左右されるため、判断の難しさがうかがえます。より満足度の高い取引をするためには、売却前に十分な情報収集を行い、複数の選択肢を比較したうえで判断することが有効といえるでしょう。

まとめ

今回のアンケートからは、不動産売却を経験した人の多くが「精神的に安心できた」「想定よりスムーズに進んだ」と前向きに捉えており、総合的な満足度も8割以上に上ることがわかりました。査定額と売却額の差も大きくはなく、適正な価格での取引が実現しているケースが大半を占めています。
一方で、「もっと価格交渉を強気にすればよかった」「複数社に相談しておけばよかった」といった後悔の声も一定数見られました。売却は一度きりの大きな決断だからこそ、十分な情報収集と比較検討が欠かせません。
不動産売却に不安を抱えている人は、今回のデータを参考にしながら、査定サイトの活用や専門家への相談を検討してみてください。利用者の実体験を知ることで、より納得感のある売却につながるはずです。
また、マイナビ編集部では他にも不動産に関するアンケート調査を実施していますので、ぜひ次の記事も参考にしてください。


アンケート結果の利用について
調査結果データの引用、転載に際しては必ず「不動産査定・売却に関する意識調査|マイナビニュース不動産査定ガイド運営調べ」と記載してください。
調査結果は、本記事に記載されている内容をそのまま引用してください。結果の改変や歪曲はしないでください。
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▼出典記載例
| ※出典:「不動産査定・売却に関する意識調査」| マイナビニュース不動産査定ガイド運営調べ |
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