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8 時計の沼にハマりたい!

腕時計メーカーを知る②ロレックス編 - 今さら聞けない人気の理由

MAY. 09, 2025 08:00
Text : 室井大和
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「ロレックス」といえば誰もが知る高級腕時計の代名詞です。なぜ、ここまで人気なのか。実際のところ、何がスゴイのか。今さら聞けないロレックスの基本を押さえつつ、代表的なモデルについても見ていきたいと思います。

  • ロレックス「オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ」

    「ロレックス」で圧倒的な人気を誇るモデルがこちら。通称「デイトナ白文字盤」です

計時の精度をとことん追求した黎明期

ロレックスの歴史は、1905年にハンス・ウイルスドルフ氏(当時24歳)がイギリス・ロンドンに時計専門商社を創立したことに始まります。そもそもロレックス(ROLEX)という社名は、1908年にウイルスドルフ氏がロンドンで乗合馬車に乗車中、天啓のように「ROLEX」という文字がひらめき、名付けたといいます。

  • ロレックス創立者のハンス・ウイルスドルフ

    ロレックスの創立者であるハンス・ウイルスドルフ氏

創立してすぐに、ロレックスはムーブメントの品質向上、つまり計時の精度を追求し始めました。1910年にはスイスクロノメーター歩度公認検定局から、腕時計として初めてクロノメーターの公式証明書を獲得。その4年後には、本来は航海用のクロノメーターのみに授与されるイギリス・キュー天文台のA級証明書を取得したそうです。

  • ロレックス「オイスター」

    1926年には世界初の防水・防塵腕時計「オイスター」を開発しました

1919年になると腕時計(当時は懐中時計が主流)の一大産地であるスイス・ジュネーブに本社を移転。1926年には完全密閉のケースによって防水性と防塵性を両立した世界初の腕時計「オイスター」を開発し、ムーブメントを完璧に保護することに成功しました。その後もロレックスは、実用に特化した腕時計の開発に邁進していくことになります。その中で誕生したのが、「オイスター」を含む腕時計業界における3大発明です。

3大発明によって実用時計の最高峰に

ロレックスは1926年に「オイスター」、1931年に自動巻き上げ機能「パーペチュアル」、1945年に日付表示「デイトジャスト」を開発します。この3つが腕時計業界の3大発明といわれています。

  • ロレックス「パーペチュアル」

    3大発明のひとつ「パーペチュアル」ムーブメント。360度全回転式ローターを採用しています

パーペチュアルは全回転式ローターを採用した自動巻きムーブメントのこと。ケース内のローターが時計を装着(腕を振る)することで360度回転し、ゼンマイを巻き上げます。それまで主流だった手巻き式に比べると、リュウズで巻く際に水やホコリが侵入してしまうことを防止できるという利点もありました。

  • ロレックス「オイスターパーペチュアル デイトジャスト」

    日付が瞬時に切り替わることから名付けられた「デイトジャスト」は、今でも人気モデルとして販売が続いています

デイトジャストは日付が午前0時に瞬時に切り替わる機構のことです。文字盤に小窓を設けて日付を表示すること自体、斬新で画期的といわれました。ただ、1945年当時は日付が瞬時に切り替わらず、午前0時に向かって徐々に切り替わっていく仕様だったそうで、午前0時にジャストで切り替わるようになったのは1955年頃からといわれています。

今では当たり前になった数々の機構を開発し、腕時計業界に多大な影響を与えたロレックスですが、同ブランドはどちらかというと、超複雑な技術を組み込んだものよりも、実用性をとことん追求した腕時計を得意としています。視認性や装着感、使い勝手をブラッシュアップしていくことで、知名度と人気を獲得したのです。

  • ロレックス「オイスターパーペチュアル GMTマスター II」

    世界中を飛び回る国際線パイロットのために開発した大人気モデル「GMTマスターⅡ」。ベゼルのカラバリによって「ペプシ」(青と赤)や「バットマン」(黒と青)といった愛称で呼ばれることも

  • ロレックス「オイスターパーペチュアル エクスプローラー 36」

    シンプルな3針モデル「エクスプローラー」は、その名の通り探検家のために開発した1本。現在ではゴールド素材を取り入れたラグジュアリーなエクスプローラーもラインアップしています

人気と知名度があまりにも高いことから、ロレックスには「派手」「金持ち」「成金」などといったイメージが付きまといますが、数ある機械式腕時計の中でも精度はトップクラスで、実用時計の最高峰とも称されます。腕時計が好きな人ほど、ロレックスに対しては好印象を持ちがち、といえるのかもしれません。

  • ロレックス「ロレックス本社」

    ロレックス本社はスイスのジュネーブにあり、製造におけるすべての工程とアフターサービスを一貫して担う体制が整っています

人気すぎて転売が横行?

ロレックスは財団法人のため、株式会社のように情報公開の義務がありません。そのため、生産本数などは不明(年間100万本以上とも)です。そんな謎めいた部分も、多くの人を魅了する一因でしょう。モルガン・スタンレーの調査(2023年)によると、ロレックスの売上高は100億ドル超、市場のシェアは約3分の1を占めているといいます。

中古品や並行店(非正規の新品)などの2次流通市場でも、その人気は圧倒的。一部のモデルは正規店で購入するよりも高値で売買されていて、転売する人も急増しています。正規店では一部モデルの販売を制限したため、売ってもらえるまで正規店に何度も通う「ロレックスマラソン」なる言葉も生まれました。

  • ロレックス「オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ」

    ロレックスで随一の人気を誇る「デイトナ」。2025年4月時点で定価は234万9,600円ですが、二次流通市場では500万円前後で売られています。おそらく買取価格は400万円前後でしょうか。つまり、転売すれば一瞬で150~200万円近い利益が出ることになります

正規店スタッフに話を聞いたところ、「何度通っても購入できないお客様がいらっしゃることは心苦しいのですが、需要に対する供給が追いついていない状況です。スイス本国ではさらに厳しい購入制限がかかっており、モデルによっては7~8年ほどお待ちいただいているお客様もいらっしゃいます」(2025年初頭談)とのこと。需要が大きく上回るとなれば、転売する人も続出するわけです。

流通の適正化を図るため、昨年末からは日本国内でもロレックス認定中古制度「Certified Pre-Owned」がスタートしましたが、転売などの不健全な流通をどこまで防止できるのかは現時点で不透明です。

  • ロレックス「認定中古時計 Certified Pre-Owned」

    ロレックスが始めた認定中古時計。「Certified Pre-Owned」のタグがその証です。現在購入できるのは「ロレックス ブティック 表参道」のみ。認定中古が今後、どこまで広がるかが注目されています

ロレックスがここまで人気な理由は、これまで培ってきた歴史と完成度の高さにあるといえるでしょう。計時の精度を追求し、シンプルで実用に振り切りつつもアイコニックなデザイン、極限の環境下でも使用できる堅牢性、こうした製品に対する信頼性の高さが、ロレックスを世界的な人気ブランドへと押し上げました。業界での地位は絶対的です。

気になるモデルがあるという人は一度、正規店へ足を運んでみてください。筆者は購入できませんでしたが、いくつかのモデルを試着することはできました。ちなみに、2次流通市場の価格もこなれてきていますので、こちらをチェックしてみるのもアリかもしれません。

  • ロレックス「オイスターパーペチュアル ランドドゥエラー」

    2025年の新作として発表された「ランドドゥエラー」は早くも争奪戦の様相を呈しています


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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