マイナビニュースマイナビ マイナビニュースマイナビ
Index square
( Watch )
25 時計の沼にハマりたい!

小径化は続く? 機械式は価格が二極化? 2026年の腕時計トレンド予想

JAN. 09, 2026 11:30
Text : 室井大和
Share

2025年は周年を祝うブランドや復刻モデルの登場が多かった腕時計業界ですが、多くの業界がそうであったように、トランプ関税に振り回された1年でもありました。2026年はどんな1年になるのでしょうか? 今後のトレンドを独自視点で予想してみました。

小径化のブームは続くのか

2000年代前半ごろから始まった(諸説あり)腕時計の「デカ厚」(ケース径が40mm以上の腕時計)ブームでは、44mm、46mmなどが人気となりました。火付け役といわれるのが、1860年にイタリアのフィレンツェで創業(現在はスイスで製造)した高級時計ブランド「パネライ」です。潜水艇に乗る隊員のため、防水性と視認性を高めた“デカ厚”ミリタリーウォッチを数多く手がけています。デカ厚ブームに乗って、他のブランドも大きくて分厚い腕時計を次々と市場に投入しました。

デカ厚は圧倒的な存在感が魅力ですが、「重い」「付けていて疲れる」「目立ちすぎる」といった見方もあり、ブームはひと段落した格好です。ここ数年は、小径化が再びトレンドに。多くのブランドからケース径40mm以下(主に38mmや36mm)の小振りな腕時計が登場しています。

例を挙げればロレックスの「エクスプローラー」(36mm)、ベル&ロスの「BR-05」(36mm)、ブライトリングの「スーパーオーシャンヘリテージ」(36mm)、タグ・ホイヤーの「カレラ デイト」(36mm)、IWCの「インヂュニア」(35mm)、カルティエの「タンク」(ミニモデル)など、枚挙にいとまがありません。

  • ブライトリング「スーパーオーシャン ヘリテージ」

    ブライトリングのダイバーズウォッチ「スーパーオーシャン ヘリテージ」は好みに応じて44mm、42mm、40mm、36mmから選べます。36mmの小径モデルは愛好家の間でも話題になりました

かつて、35mm前後の腕時計は「レディースサイズ」といわれていましたが、小径化はさまざまなジャンルに波及したジェンダーレスデザインの潮流に乗ったトレンドだろうと分析しているメディアもあります。ユニセックスで使用できるというメリットもありますが、実際に35mm前後の腕時計を装着して思うのが、手首への負担が極めて少ないということです。付けていない感覚、とまではいいませんが、忙しく動いていても、腕時計を付けているのを忘れるくらいストレスフリーなのです。この軽快さはデカ厚ウォッチでは得られない利点だと思います。

ただ、大きくて分厚い腕時計には、防水性や堅牢性が高いなどの特質があります。道具として考えると、デカ厚が必ずしも悪いとはいえません。また、小径化全盛のいま、あえて新作のデカ厚ウォッチを登場させているブランドもあり、しかもそれがかなりの勢いで売れているという話も販売員から聞きました。

  • ティソ「PRX」

    ティソの大人気ラグスポウォッチ「PRX」。35mmという小径モデルの登場で人気が爆発

もちろん今後、デカ厚ブームが再び到来するという可能性もありますが、多くのブランドが小振りな新作腕時計を発表していることを踏まえて個人的な肌感覚で予想すると、しばらくは小径化の波が続くと思います。ケース径40mmが標準的といわれますが、これからは、むしろ35mm前後が“標準”サイズになっていくのかもしれません。

機械式腕時計は価格の二極化が加速?

スイス時計協会の年次レポートによると、2024年のスイス時計輸出額は2023年の267億スイスフランから2.8%減少しており、2022年、2023年の記録的な成長後、はじめて減少に転じました。経済の世界的な不確実性や地政学的要因に加えて、スイスの物価高騰による通貨の購買力低下(インフレ)などが積み重なり、100万円弱から150万円程度の腕時計がかなり苦戦しているという話も耳にしました。

このプライスレンジの有名メーカーの腕時計を挙げると、ロレックスの「オイスターパーペチュアル」、オメガの「シーマスター」、タグ・ホイヤーの「モナコ」などがあります。

  • オメガ「シーマスター ダイバー300M」

    オメガの定番ダイバーズウォッチ「シーマスター ダイバー300M」。現時点でギリギリ100万円を超えない97万9,000円で購入できるハイスペック高級機械式腕時計といえます

コストを抑えて腕時計を作ることはできても、精密な部品を多く使う高級機械式腕時計の場合、どうしても人の手を加えないと高品質に仕上がりにくいという特性もあり、コストを抑えることにも限界があります。

その一方、機械工作技術が飛躍的に向上していることもあり、5万円から20万円程度の(腕時計としては)低価格帯モデルが評価を高めてきています。

例えば、日本の時計メーカーであるシチズンが海外で「TSUYOSA」(ツヨサ)ブランドとして販売している機械式腕時計は、その人気の高まりから日本でも正式にリリースされ、一部のモデルは発売当初から品薄になるほどでした。価格は6万円前後です。

  • シチズン「ツヨサ」

    日本でも人気のシチズンの海外向けモデル「ツヨサ」コレクション。量販店なら4万円台で購入できます

そのほかにもクォーツ式なら5万円、機械式なら10万円前後で買えるティソも売り上げを伸ばしています。セイコーやタイメックスも低価格帯モデルを市場に投入。安価で高品質な腕時計が勢力を拡大しているといっていいでしょう。

その対極にある、300万円を超えるような高価格帯の機械式腕時計も好調といわれています。世界3大腕時計ブランドに名を連ねるパテックフィリップやオーデマ ピゲ、ドイツ時計の頂点といわれるA.ランゲ&ゾーネなどには、入荷したそばから飛ぶように売れるモデルがいくつもあり、常に品薄状態です。これらのブランドは、安くても300万円以上(中には億を超えるモデルも)する高価格帯の機械式腕時計が中心となっています。

こうしたことから、機械式腕時計の世界では今後、比較的誰でも買える数万円の低価格モデルと、一部の富裕層や熱狂的な愛好家が買うような高価格モデルの二極化がこれまで以上に加速していくのではないでしょうか。

「多様化」は時計の文字盤にも普及?

かつて腕時計の文字盤といえば、シルバーやホワイト、あるいはブラックなどのモノトーンがほとんどでしたが、近年ではブルーやグリーンなどもかなり定番化してきました。

近年、特に目立つのが、淡いブルーやピンク、イエロー、ベージュなどの中間色の文字盤を採用した腕時計です。中間色に加え、文字盤表面にテクスチャーを施し、光の当たり加減で見え方が変わる文字盤もよく見かけます。

  • IWC「パイロットウォッチ」

    IWC「パイロットウォッチ」は西モハーヴェ砂漠のチャイナレイク周辺の風景にインスピレーションを得たという文字盤カラー「モハーヴェ・デザート」を採用。セラミックケースとの組み合わせが他にはないユニークなデザインです

中間色はコーディネートが難しくなる傾向にあるといわれますが、ファッションも多様化し、腕時計を単なる道具ではなく、自分を表現するアイコンとして、個性を際立たせるために着用する人も増えています。そういった声に応えるべく、メーカー各社がカラフルな文字盤の拡充を図っているという背景もありそうです。

  • オリス「ビッグクラウン キャリバー113」

    オリス「ビッグクラウン キャリバー113」は、ミントグリーンとピンクという鮮やかなカラーリングを採用した文字盤がかなり斬新。今後、こういった組み合わせの腕時計が増えていくかもしれません

時計の市場としては、トランプ関税のような突発的な出来事がなかったとしても、世界第2位の市場である中国、4位の香港での需要が大きく低迷しており、さらには世界的な物価高もあるので、市場規模がわずかに縮小していく傾向にあると予想できます。

2026年は小振りでカラフル、数万円で購入できるのに質感が高い腕時計が昨年以上にたくさん登場する、そんな1年になるかもしれません。買いやすくて良質な腕時計が増えてくれれば、いち消費者としてはありがたい限りです。


Share

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

  • Pick Up
    Index.iapp
    PR
    飾りはいらない。大人が選ぶべき「機能美」という答えーータフネスとハイエンドを両立する一台「arrows Alpha」