働き方改革の浸透や物価高の影響もあり、副業を持つ人が年々増加しています。会社員としての本業に加えて、フリーランスとして執筆・デザイン業をしたり、週末限定でアルバイトをしたりするケースも珍しくありません。
そんな中で「住宅ローンの審査に、副業収入も含めて判断してもらえるのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。結論から言えば、「条件を満たせば副業収入も審査対象に含まれる可能性はある」が、「すべての収入がそのまま反映されるわけではない」という点に注意が必要です。
副業収入も"継続性"と"安定性"が重視される
ローン審査では、収入の「金額」だけでなく「継続性」と「安定性」が重視されます。副業収入についても、過去1~2年以上継続して得ていること、かつ今後も継続して得られる見込みがあることが求められます。
たとえば、直近半年間だけ副業でまとまった報酬を得た場合でも、それが一時的と判断されれば、収入として認められない可能性が高くなります。
確定申告がカギになる
副業収入を審査に含めたい場合、もっとも重要なのは「確定申告していること」です。たとえばフリマアプリやアルバイトなどで得た収入を申告していない場合、それは「収入」として扱われません。
一方、確定申告書に記載されており、源泉徴収票や支払調書などの裏付け資料が整っていれば、収入として認められる可能性が高まります。ただし、経費を計上することで確定申告上の所得が下がった場合、融資額も下がる可能性がある点は注意が必要です。
副業の種類や規模によって評価は異なる
副業収入の評価は、業種や収入の規模によっても異なります。たとえば、スキマバイトやクラウドソーシングサービスを通じた仕事などは、収入の波が大きく、事業としての継続性が不透明と見られる場合があります。
一方で、長期的に顧客を抱えているフリーランス業務や、不動産収入のような比較的安定した副業であれば、より審査に通りやすい傾向にあります。
また、副業収入が月に数千円~数万円程度であれば、審査に大きな影響を与えることは少ないかもしれません。ですが、年間で100万円以上の副業所得が安定して得られているのであれば、融資可能額の引き上げにつながる可能性があります。
金融機関ごとの方針にも違いがある
副業収入の扱いは、金融機関によっても対応が分かれる部分です。大手メガバンクでは本業収入を重視する傾向が強く、副業の合算には慎重です。一方で、ネット銀行や一部の地方銀行、フラット35などは、一定の条件を満たせば副業収入を積極的に評価する姿勢を見せることもあります。
審査を申し込む際は、事前に「副業収入の取り扱いについて相談できるか」を確認し、可能であれば確定申告書や収入証明書を提出する準備を整えておくとスムーズです。
審査対象に含めるには"見せ方"も大切
副業収入を有利に審査へ反映させたい場合、「説明資料」を活用するのも有効です。たとえば、収入が安定していることを示す帳簿や、今後の契約予定・仕事の継続見込みなどを整理して提出すれば、金融機関側の不安を払拭できる可能性があります。
また、副業によって本業に支障が出ていないこと(たとえば就業規則違反がないこと)も重要です。ローン審査はあくまで「返済能力」と「信用力」の審査。副業があることでマイナス評価をされないよう、誠実な情報提供を心がけましょう。
まとめ
副業収入も、条件を満たせば合算してもらえる可能性は十分にあります。鍵となるのは「継続性」「安定性」「確定申告済みかどうか」の3点。副業収入が家計の一部を担っている場合でも、収入を"見える化"することで、借入の可能性が高まります。
制度や金融機関の対応も少しずつ柔軟になってきている今こそ、自分の働き方を正しく伝え、有利なローン借入を目指しましょう。

