ホンダ「プレリュード」の復活で再評価が進むかも(?)しれないスペシャルティカーの世界。過去には日本にもたくさんの名車がありました。写真のクルマはトヨタ自動車「セリカ」の向こうを張ったほど人気を博したモデルですが、さて、どのブランドの何というクルマでしょうか!
フォード「マスタング」の影響で誕生?
このクルマの誕生の背景には、アメリカで人気を呼んだフォード「マスタング」という名車がありました。
正解はこちら!
【答え】三菱自動車工業「ギャランGTO」
正解は三菱自動車工業の「ギャランGTO」です。
車名のGTOは「ジー・ティー・オー」とアルファベットの読み方をします。「Gran Tourismo Omorogare=グラン・ツーリスモ・オモロガーレ」というイタリア語の頭文字をとっていて、英語では「グランド・ツーリング・ホモロゲーション」となります。ホモロゲーションは、公認とか承認の意味です。
一般の乗用車はツーリングカーといい、より高性能で、高速での長距離移動に適した車種をGT、すなわちグランド・ツーリングカーといいます。その公認とは、自動車競技に出場可能な承認を得ていることを指します。実際にレースに出場するかはともかくも、レースに参加できる資格を持つ、あるいはそれほど高性能であることを車名で示そうとしたのでしょう。
三菱自動車はギャランGTOを1970年に発売しました。その1年前に「コルト・ギャラン」という4ドアセダンを発売しており、それを基に、より高性能かつ俊足ぶりを見た目に訴えるクーペの外観を与えたのがギャランGTOです。
米国では1964年にフォード「マスタング」が発売され、手ごろな価格で手に入るスポーティーなクルマとして爆発的な人気を呼び、日本でも大きな注目を集めました。当時、スティーブ・マックイーンが主演する『ブリット』という映画でマスタングが使われています。マスタングも、当時のフォード「ファルコン」という4ドアセダンを基にしていました。そうした人気に触発されるように誕生したのが、ギャランGTOといえます。
屋根から伸びやかに後ろへ延びるファストバックの外観は、マスタングを思わせます。車体後端はトランクリッドの端を跳ね上げた造形、いわゆる「ダックテール」(アヒルの尾)になっています。今日からすると、とても控えめな造形処理ですが、まだスポイラーやウイングといった空気の流れを意図的に制御する外観が一般的になる前の時代の、空力的な造形要素です。それがとても精悍かつ魅力的で、高性能車であることを強く印象付けました。車体のオレンジ色も、その時代には斬新な色遣いでした。ほかに、日産自動車「ブルーバード510」も似た車体色を使い、サファリ・ラリーでの活躍を背景に「サファリ・ブラウン」と色に名前を付けていました。
写真のクルマはギャランGTOの「MR」という最上級車種で、より高性能なDOHC(ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト)ガソリンエンジンを搭載しています。
フロントボンネットフードに取り付けられた黒いダクトは、積極的に吸気をエンジンに採り入れるための開口です。排気量1.6リッターのガソリンエンジンは、フランスのソレックス製キャブレターを2つ装備するツイン・キャブレター方式で、最高出力は125馬力です。その高性能を、見た目にも知らせる外観の造形要素のひとつが黒いエアダクトです。
ギャランGTOと同じ時代に、トヨタ自動車から「セリカ」が誕生します。丸みを帯びた斬新な造形のセリカと対照的なギャランGTOでしたが、ともにスペシャルティカーという価値を備え、優雅なセリカを選ぶか、精悍さを前面に打ち出したギャランGTOを選ぶか、好みはわかれました。誕生した1970年は、世界的に排出ガス規制が強化されはじめ、なかでも日本は積極的に対策を講じ、厳しい浄化策が不可欠となりました。そのため有鉛ガソリンを使用できなくなり、高性能エンジンを搭載したギャランGTOは、1978年の昭和53年度規制を達成するのが難しく、1世代限りで生産を終えることになります。
それでは、次回をお楽しみに!





