定年後も働きたいというシニア世代に向けて、令和でも気持ちよく働くためのビジネスマナーや職場の新常識を紹介する『人には聞けない60歳からのビジネスマナー』(宝島社)。その中から一部を抜粋して紹介します。
今回は「再就職したときに必要なマインド」に関してです。
何よりも大切なのは謙虚さ
「プライド」が就職や人間関係の確立を妨げる
新社会人としての門出から定年までの長い年月にわたって仕事をしてきた人であれば、これまで自分がしてきたことや経歴、経験、スキルなどに対する「自信」や「自負」があるのは当然のことです。
しかし、そうしたプライドばかりが勝っていて「謙虚さ」に欠けている人は、せっかく再就職しても、長続きしないケースが多いです。
定年後に再就職を目指す人の多くは、定年前に働いていた職場など「今までの経験を活かせる仕事」を探そうとします。ところが、過去の経歴や実績などのプライドにとらわれていると、再就職へのハードルが上がってしまいます。
定年後のシニアに、リーダーやマネージャーといった管理職を任せたいという企業は多くありません。また、定年後も現役時代と同じように、そうした重い職責をまっとうできる体力や気力がある人は限られています。
そして当然ながら、定年後のシニアが、現役時代と「同じ水準の賃金」を維持することも極めて難しいです。
つまり、過去の仕事に対するプライドやこだわりをいったん脇に置き、「新しい仕事にチャレンジしよう」という気概のある人でないと、定年後に、新たな仕事に就くのは難しいというのが実状です。
就職だけでなく、職場における人間関係の早期確立のためにも、「謙虚さ」は極めて重要です。
本書を監修する高齢社では、派遣契約をしているシニアの方々に、次の4つの「就労時のお願い事項」を定めています。 です。
(1) 挨拶は自分から。派遣先企業の立場になり、新人社員のつもりで。
(2) たとえ上長がかつての部下でも、「さん」付けで。現役時代の職位・資格は言わない。
(3) 過去の成功談(自慢話)はいわない。派遣先社員には教えていただくという姿勢で。
(4) 過去の自分をいったんリセットする。
『人には聞けない60歳からのビジネスマナー』(株式会社高齢社 監修/宝島社 刊)
「60歳になれば定年を迎え、悠々自適な老後を」という考え方が変わりつつある現代、65歳までの定年の引き上げや、65歳までの継続雇用制度が確立され、60歳以降も働き続ける人が増えています。働き続けることによって、生活にメリハリがつき、人や社会とのつながりができることで孤立を防ぐことにもなります。年金と合わせた収入を考え、フルタイムで働く選択肢以外にも、自分に合った無理のない働き方を模索することで、老後の時間を有意義に過ごすことができるのです。そして、シニア世代が働くうえで大切なのがビジネスマナー。もしあなたが新しい職場で働くことになっても、新入社員のときのような研修はありません。定年前の組織では、年長者として、役職の付いた上司だった人も、役職定年後あるいは雇用延長後は、これまでのような肩書がなくなります。立場や雇用形態が変わっても、若い人や新しい年下の上司への態度が変わらなければ、職場でのコミュニケーションがうまくいきません。昔は当たり前だった言動が今はハラスメントになってしまうこともしばしば。職場で仕事をスムーズに、自分も周りも心地よく働くために、信頼関係を築くことは大切です。本書では、職場でのマナーをアップデートし、長く楽しく現役でいるためのノウハウをまとめました。身だしなみ、言葉遣い、健康管理、コミュニケーション、メール・チャットまで、いま一度自分の中でおさらい・習得できる一冊です。