ソニーとホンダの“異業種タッグ”で注目を集めたソニー・ホンダモビリティが、市場投入第1弾となる電気自動車「AFEELA1」(アフィーラ1)の量産に向けた試作を開始した。かなりプレミアムなEVとなりそうだが、成功の見込みは?
ソニーとホンダが目指すクルマの姿は?
ソニー・ホンダモビリティは生産を委託するホンダのオハイオ州イーストリバティ工場でアフィーラ1の試作を開始した。
アフィーラ1は8万9,900ドル(約1,330万円)からの「オリジン」と10万2,900ドル(約1,522万円)からの「シグネチャー」の2種類。カリフォルニア州で2025年中に先行発売し、2026年半ばに納車を開始する。日本でも2026年内の納車開始を予定している。
ソニーとホンダ。共に「世界のソニー」「世界のホンダ」として、電機とクルマで一世を風靡した日本発グローバルメーカーによる異業種タッグだ。両社の知見、技術を結集して“次世代モビリティ”に挑むということで、世間の注目を集めた。
2022年9月にソニーグループとホンダが折半出資で「ソニー・ホンダモビリティ」を設立。いよいよ第1弾EV「アフィーラ1」の量産開始に向けた試作が始まった。はたして、異業種タッグによる次世代モビリティへの挑戦は成功するのか。
ソニー・ホンダモビリティは、高付加価値のEVとそのモビリティサービスの提供を行うことを事業内容とし、2023年1月に米国・ラスベガスで開催された家電見本市「CES」で初のEVブランド「AFEELA」を発表、プロトタイプを公開した。
この経過について川西泉ソニー・ホンダモビリティ社長兼COOは、「2018年にソニーは、次の10年の変革はモビリティがもたらすとしてモビリティ領域への探索を進めた。知力(インテリジェンス)と体力(メカトロニクス)が自動車における進化の方向性ということでホンダさんと一致して、2022年9月に合弁会社を設立し、『多様な知で革新を追求し、人を動かす』ことで、2社の知見・技術を結集させる」ことになったと話す。
「ソニー・ホンダモビリティは安心・安全と感動体験を追求し、モビリティ(移動)の価値を提供することを狙う。数を追わない、工場を持たないことが特徴」というのが川西社長の説明だ。
逆風下のEV、トランプ政権のアメリカで売れる?
第1弾のアフィーラ1については、「人とモビリティの関係性を再定義」し、「お客様の“ワクワク”はどこにあるのか」を追求、「自動運転・ADAS(先進運転支援システム)とエンターテインメントスペースでプレミアムにふさわしいハードウェアを提供する」ことを前面に打ち出している。
川西社長はソニー・ホンダが目指す次世代モビリティの価値について、「従来の運動性能に加えて、人工知能(AI)などのインテリジェンスと新しいモビリティの創造」であることを強調する。AIについては、自動運転やADASに活用するものと「エンターテインメント空間」としてのモビリティのためのものの2つの軸で開発を進めている。クルマが自動で走るようになった時に、車内をいかに心地よく楽しく過ごせる空間とするか。ソニー・ホンダが追求するテーマだ。
このため、ソニー・ホンダは「アフィーラ共創プログラム」として、アフィーラを単なるクルマではなく、新しいモビリティの可能性を探索するためのプラットフォームと捉えて社会に開き、モビリティ開発環境のオープン化を進めていく考えだ。
ソニー・ホンダモビリティが両社の折半出資でスタートしてから4年が経過する中で、前期2025年3月期(2024年度)の営業赤字は、前の期(205億円の赤字)の約2.5倍の520億円に増えた。親会社のホンダも、2026年3月期(2025年度)第1四半期は、トランプ関税の影響を受けて四輪事業が赤字となった
ソニー・ホンダのEVが市場投入に向けて秒読みに入ったわけだが、世界的にEVの普及が急減速する中で、このプレミアムEVがどれだけ受け入れられるのか。特に米国のEV市場は、トランプ政権で厳しくなっているだけに難しい情勢だ。




