「3密の回避」や「ソーシャルディスタンス」などが叫ばれたコロナ禍で人気となったのが「オートキャンプ」だ。クルマで楽しむキャンプのことだが、今も人気は続いているのだろうか。どんなクルマが人気? オートキャンプの現状を見ていこう。
コロナ禍を経て人気に変化は?
オートキャンプとは、自動車でキャンプ場に乗り入れてキャンプを楽しむスタイルのこと。欧米では長期バカンスの楽しみ方としてキャンピングカーによるオートキャンプが定着しているが、日本ではキャンピングカーによるキャンプとともに、テントサイト近くにクルマを駐車してキャンプするなど、独自のオートキャンプ文化が醸成されている。
日本オートキャンプ協会が発表した「オートキャンプ白書2025」によれば、コロナ禍において密を避けられるレジャーとして人気が高まったオートキャンプは、2024年には猛暑と物価高のマイナス要因に直面したものの、コロナ前よりも高い水準を維持して根強い支持が続いているそうだ。
近年はペットと共に過ごすライフスタイルが定着している中で、オートキャンプ場でもペットと一緒にキャンプを楽しめる環境が整いつつある。2024年時点で「ペットOK」のオートキャンプ場は81%にのぼる。「ペットOKのコテージ」「ペット専用サイト」「ドッグラン」など、ペット専用設備を備えたオートキャンプ場も増加中。人とペットが共に楽しめるオートキャンプ場は今なお発展の過程にあり、その魅力を広げ続けている。
同白書ではオートキャンプに使うクルマについての分析も行っている。
オートキャンプ場を訪れるクルマで最も多いのは「ミニバン」で全体の31.2%を占める。これに「オフロード型4WD・SUV」「ステーションワゴン」が続く。「キャンピングカー」の割合は5.3%にとどまっている。
このように、日本のオートキャンプはコロナ禍でも根強い人気を見せたが、この10年で「グランピング」(ロッジや大型テントに泊まりながら高級ホテル並みのサービスが受けられる)が流行する一方で、「ひとりキャンプ」もひそかに増え、さらに、ペットと共にオートキャンプを楽しむファミリー層が拡大するなど、オートキャンプを楽しむ人の多様化が進んでいる。
オートキャンプを楽しむクルマについては、軽自動車をキャンピングカー仕様とする「軽キャンパー」がトレンドになるなどいかにも日本的な傾向もあるが、やはり、テントやキャンプ用品を積めるミニバンやSUVが日本のオートキャンプを支えているのは変わらない。
RVブーム以降の人気の変遷
実は筆者は、日本オートキャンプ協会の創立(1969年)直後から取材し、自ら家族と共にオートキャンプを実践してきたキャリアがある。日本オートキャンプ協会を創設し“日本のオートキャンプの父”とされる故・岡本昌光氏とは公私で深く付き合った。
日本のモータリゼーションが進展する中で、日本独自のオートキャンプの育成・定着に情熱を傾けた岡本氏だが、日本で「アウトドアブーム」が花開いたのは1990年代半ばだった。
当時、RV(レクレーショナル・ヴィークル)ブームが沸き起こって国内新車市場の構造変化につながった。ステーションワゴン、スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル(SUV)、ミニバン(当時はワンボックス型)などをひっくるめた「RV」は和製英語だが、言い出しっぺは岡本日本オートキャンプ協会専務理事だったのだ。
アウトドアブーム・RVブームに乗って日本でオートキャンプが盛んになったのが1990年代半ばのこと。1996年には日本のオートキャンプ参加人口は1,580万人にのぼった。だが、これをピークに2000年代以降はジリ貧となり、リーマンショック後には700万人前後と半減した。
それがコロナ禍となり、密を避けられるということもあって、オートキャンプが再び脚光を浴びることとなった。現在では多様なオートキャンプの形態が注目を集めるようになっている。中でも、日本独自の自動車規格から生まれた軽キャンパーの人気ぶりには目を見張るものがある。
2025年秋の「ジャパンモビリティショー2025」には「キャンピングカーゾーン」を設置するそうだ。また、フォルクスワーゲンジャパンは先日、「ID.Buzz」(アイディーバズ)を発表・発売したが、この7人乗り電動ミニバンのコンセプトのオリジンは「ワーゲンバス」の復活だ。
かつて、日本のオートキャンプ場でもこのワーゲンバスの存在が際立っていたし、故・岡本昌光日本オートキャン協会専務理事がこのワーゲンバスの愛用者であり、各地のオートキャンプ場に乗り入れていたことを想うと、「ワーゲンバス」の復活が日本のオートキャンプの次のステップにつながるかもと楽しみになってくる。



