日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合により誕生した商用車の「ARCHION」(アーチオン)が初の決算発表を行った。日本の商用車業界は今、2大陣営による競合が激しさを増している。ライバルのいすゞ/UDトラックス陣営とアーチオンの業績を比べてみよう。
アーチオン誕生の経緯は?
アーチオンは商用車メーカーの日野自動車(従来はトヨタ自動車の連結子会社)と三菱ふそうトラック・バス(独ダイムラートラックの完全子会社)が経営統合し、その持株会社として2026年4月に東京証券取引所のプライム市場に上場した。
日野自動車ではエンジン認証不正問題で内外の国内出荷が停止になる事態が発生。同社の再生に向け、親会社のトヨタと三菱ふそうの親会社であるダイムラートラックが両社の経営統合の協議を進め、2026年4月に経営統合が成立した。これがアーチオン誕生の経緯だ。2026年度からは日野ブランドと三菱ふそうブランドを統括する会社として始動した。
つまり、日野自のエンジン認証不正に端を発して、日本の商用車メーカーの再編が進んだ格好だ。
日本の商用車業界は長らく、日野、いすゞ自動車、三菱ふそう、UDトラックス(旧・日産ディーゼル)による大型4社体制が続いていた。いすゞがUDトラックスを子会社化したことに続き、日野と三菱ふそうが経営統合したことで、現在は2グループ体制の構図に変わっている。
アーチオンの業績は?
アーチオンが発表した2026年4~6月期の連結決算は売上高が5,978億円、営業利益が290億円、当期純利益が182億円となったが、経営統合に伴う負ののれん発生益を計上した純利益は2,514億円となった。同期の連結販売台数は6万台で、内訳は日野自とふそうがほぼ半々。日野自の国内向け出荷が再開し、フル操業による台数復活が報告された。
アーチオンの初の決算発表には、カール・デッペンCEOとヘタル・ラリギCFOの両トップ(ダイムラートラック出身)が出席。4月の日野自・三菱ふそう統合から「シナジー発揮に向けた基盤強化」を進めてきたと強調した。具体的には、第1回株主総会の開催、両社従業員との対話会、日野自とふそうの車両データ分野サービス統合(ロジータ)、サプライヤーデーの開催などを挙げた。また、トヨタを中心とする次世代商用車技術開発連合のCJPTにも参画した。
負ののれん発生益については、「複雑な部分があるが、日野グループの負債評価と羽村工場の精算分などが含まれる」(カール・デッペンCEO)と説明した。
商品展開については、小型トラックで「ふそうキャンター」、電動車で「ふそうキャンターe」「デュトロZEV」、大型トラックで「プロフィア」の投入を図ったとし、今後とも両ブランドをいかしてコストダウンを進めていくこととしている。
2027年3月期通期(2026年4月~2027年3月)のアーチオン連結純利益は、経営統合に伴う負ののれん発生益を計上し、従来予想から2,332億円上振れの3,032億円になる見通しだ。
ライバルの業績は?
アーチオン初の決算発表に先立ち、ライバルのいすゞが発表した2027年3月期第1四半期連結決算発表は、売上高8,325億円、営業利益748億円、当期純利益509億円の増収増益となった。原価低減、価格対応、為替差益などによる増益となったものの、グローバル販売はCV(商用車)が7万台(前年同期比11%減)、LCV(小型商用車)が13.2万台(同7%減)にとどまった。これについて「国内では、日野自の復活やモデルの切り替えによる減少」と説明し、ライバルである日野自が認証不正のダメージから復活したことを認めている。
いすゞは日野自・三菱ふそうグループに先行し、大型トラック市場に強いUDトラックスを買収して子会社化したが、2027年度中にはこのUDトラックスと統合することにしており、いすゞ・UDトラックス連合としての事業強化を進めることになる。
ともあれ、トラックメーカー再編を経た今後は、いすゞ・UDトラックス連合と日野自・三菱ふそう連合による生き残りをかけた競合がますます激化していくことになりそうだ。
その中で、大きな節目となるのが、日野自がトヨタグループから離脱したことだ。トヨタが日野自から小型トラック生産の羽村工場だけを引き取り、2001年以来の連結子会社から分離したことで、トヨタが先に発表した2027年3月期第1四半期連結決算でも、総販売台数から日野自の台数が除かれた。
アーチオンの決算発表でも独ダイムラー出身の両トップが応じたように、日野自・三菱ふそう連合は今後、ダイムラー主導で経営が展開されることになる。その動向が注目されよう。

