日本車メーカー各社が2026年上半期(1~6月)の販売台数を発表した。トップはトヨタ自動車でいつも通りだったのだが、初の2位に入ったのがスズキだ。スズキが好調な理由は?
日本車各社の販売台数を確認
トップのトヨタは、ダイハツ工業と日野自動車を加えたグループ世界販売が539万484台。前年同期比2.8%減と2年ぶりの前年割れとなったものの、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)の412万6,000台を大きく上回り7年連続で世界首位を堅持した。
スズキは179万9,736台で前年同期比10%増となり、上半期として初めてホンダを上回り、日本車の2位となった。「トヨタ1強」は相変わらず続いているが、スズキは日本国内販売でトヨタに次ぐ2位を確保し、世界販売でも日本車2位に浮上した。
2026年上半期の日本車各社の世界販売は1位:トヨタ539万台(3%減)、2位:スズキ179万台(10%増)、3位:ホンダ166万台(7%減)、4位:日産自動車150万台(7%減)、5位:マツダ60万台(5%減)、6位:スバル43万台(7%減)、7位:三菱自動車工業38万台(6%減)となった。中東情勢の不安定化と中国市場での落ち込みから日本車各社が総じて販売を減らす中、スズキは唯一、前年同期比で販売台数を増やしている。
インドに集中が奏功
スズキの好調は、やはり主力とするインドの旺盛な需要が大きな要因となっている。インドでは減税策や低金利が追い風になっており、インド子会社マルチスズキが前期に過去最高となる純利益約2480億円を計上したことを受けて、スズキの鈴木俊宏社長は「インド販売シェア50%奪還に向け、EV生産・販売・輸出で第1位を目指す」と宣言した。
スズキは、トランプ政権の高関税に揺れる米国から早い時期に撤退しており、また難しい中国ビジネスからも撤退して、インドに経営資源を集中させている。インドはスズキの世界販売の6割を占める重要な市場だ。同社はインドでの圧倒的な販売シェアを50%に再び引き上げることを狙うとともに、同国を世界戦略車の輸出基地とする体制づくりを急いでいる。
スズキはインドで生産設備の増強を積極的に進めており、7月30日にはハンサルプールD工場の生産開始を発表した。現在、スズキはグルガオン工場、マネサール工場、カルコダ工場、ハンサルプール工場で生産しており、今回のハンサルプールD工場の稼働開始により、インド国内の生産能力は年間290万台となる。
スズキは引き続きインドでの生産能力増強を進め、2030年代に年間400万台体制の確立を目指すとしている。すでにインドからの輸出も好調で、SUV「ビクトリス」は100カ国・地域以上への輸出を計画しているし、スズキ初の電気自動車(EV「eビターラ」の日本市場投入を含めた世界展開も始まっている。
世界の新車需要は、中東情勢の不確実性やトランプ高関税の影響に加えて、中国でのガソリン車需要の減少などで全体的に減退傾向にある。その中で、中国勢が東南アジアや欧州などで攻勢をかけてきている。
日本車の世界販売は、トヨタが減少したとはいえ、ライバルのVWの減退もあり世界首位を堅持しているものの、ここへきてホンダ・日産が中国での大幅な落ち込みを示して“自滅”している感がある。そこに、インドを核とする戦略を描いたスズキが間隙をぬって2位に浮上してきたといえる。
インドにはスズキの資本提携先であるトヨタも注目しており、第3工場の新設を進めている。「スズキ・トヨタ連合」として、アフリカ・中南米などのグローバルサウス(新興・途上国)進出に照準を当てた戦略も進むことになりそうだ。


