クルマでキャンプに出掛ける「オートキャンプ」の世界で多様化が進んでいる。近年のトレンドは「ソロキャンパー」の増加だったが、足元では「デュオ」が増えている様子。日本オートキャンプ協会の「オートキャンプ白書2026」で実態を探る。

  • キャンピングカー

    オートキャンプの実態を探る

オートキャンプの新潮流

日本オートキャンプ協会が「オートキャンプ白書2026」を発表した。

「オートキャンプ白書」は全国のオートキャンパーやオートキャンプ場、キャンプ用品メーカー・販売店などを対象とした各種調査や公的統計をもとに、日本のオートキャンプ市場の動向を分析して取りまとめた年次報告書だ。

この白書から日本におけるオートキャンプの現状と今後を考察した。

白書のサブタイトルは「『デュオ』からつながる新潮流」だ。平日に出掛けるオートキャンプが増える中で、2人連れの「デュオ」が増加しているという。

ここ数年は「ソロキャンパー」の増加が目立っていた。かつてはファミリー(家族連れ)が多かったオートキャンプだが、近年はソロキャンパーも含め、参加人数に変化が見られる。

日本オートキャンプ協会によると、年間のオートキャンプ回数・泊数はコロナ以降、高水準を維持している。昨年2025年は5年ぶりにビギナーが増加した。キャンプ人口は560万人で総人口の4.6%。オートキャンプ場は1,575施設でコロナ前(2019年)の1,269施設から増加し、平均稼働率は16.3%と高水準をキープしているとする。

オートキャンプの利用スタイルは「テント+タープ」が37.2%と最も多く、「テントツールーム(リビング+寝室)」が14.4%、「キャンピングカー」が3.5%となっている。

  • キャンピングカー

「車中泊」は4.2%でじわじわと増加中だ。最近は「道の駅」に加えて、コンビニの駐車場でも車中泊利用ができるところが増えている。日本のオートキャンプスタイルは多様化しているのだ。

オートキャンプに使うクルマは?

日本における「キャンピングカー」の登録台数は2025年に12万8,727台となった。人口から考えると「100人に1台」の時代に入った格好だ。

オートキャンプ利用のクルマとしては「ミニバン」が30.4%、「オフロード型SUV」が16.3%、「ステーションワゴン」が12.6%、「軽自動車」が10.7%、「コンパクトカー」が8.0%、「キャンピングカー」が6.3%の順となっている。欧米型のオートキャンプはキャンピングカーが主体だが、日本ではテントを積んだクルマでのオートキャンプが多いのが特徴だ。

それでも最近は、軽自動車のキャンピングカー仕様への改造が増えている。日本特有の自動車市場の動向と道路事情を反映したトレンドだ。

2010年代後半から話題となったのが「グランピング」だ。これは「グラマラス」と「キャンピング」を掛け合わせた造語。ロッジや大型テントに泊まりながら、高級ホテル並みのサービスが受けられるのが特徴だ。グランピング施設はコロナ前に一気に増えた。オートキャンプの高級化という意味で、こちらも多様化の例のひとつだ。

筆者は1970年代初頭の日本オートキャンプ協会創設まもない頃から取材を開始し、自らも家族ともどもオートキャンプを実践してきた経緯がある。「日本のオートキャンプの父」と言われる故・岡本昌光元日本オートキャンプ協会専務とは長い付き合いで「日本のオートキャンプの普及」に情熱を傾けてきたのを身近に取材してきた。

日本のオートキャンプが花開いたのは1990年代に入ってからだった。皮肉にも、日本のバブル経済が終焉し、人々が物の豊かさより心の豊かさを重視するようになった時代だ。その流れの中で「アウトドアブーム」が到来したのだ。

日本の自動車市場はRV(レクリエーショナル・ヴィークル)が需要構造の変革を促し、従来のセダン主流からRV主流に大きく変化した。ミニバン・ステーションワゴン・SUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)、ジープタイプなどがRVの範疇に入る。

RVの新車販売は1997年に200万台を超え、1990年代後半には新車市場の5割以上がRVとなった。RVを使ったオートキャンプも注目を集め、爆発的なオートキャンプブームが花開いた。ちなみにRVという言葉を最初に使ったのは、当時の岡本日本オートキャンプ協会専務理事だった。

だが、オートキャンプ人口は1996年の1,580万人をピークに減少し、アウトドアブームは去っていく。

日本のオートキャンプを盛り上げたのは子育て中の家族だった。自然と触れ合うため、クルマでキャンプに出掛けるのがメインだった。一方、欧米では幅広い世代がオートキャンプを楽しみ、家族のレジャーとして長い歴史の中で定着している。

日本では子供の自立と共に団塊世代がオートキャンプから遠ざかっていった。これが、オートキャンプ人口減少の要因のひとつでもあった。

日本のオートキャンプはリーマンショック時に底を打ち、現在では自然と文明社会との接点として再認識されてきている。「日本の人口減少傾向や国内クルマ市場減少トレンドから、今後の大幅な拡大は望めないが、緩やかな上昇は期待している」(田代嘉宏日本オートキャンプ協会会長)というのが協会の見方だ。