2026年上期(1~6月)の車名別国内新車販売は、ホンダの軽自動車「N-BOX」が10万2,419台で5年連続の首位となった。
マイチェンモデルも多数! ホンダ「N-BOX」の写真を一気に見る
2位はスズキの軽自動車「スペーシア」で8万3,229台、3位がトヨタ自動車の小型車「ヤリス」で7万2,236台となった。以下、4位はダイハツ工業の軽「ムーヴ」、5位はトヨタの小型車「シエンタ」、6位はトヨタの小型車「カローラ」、7位はダイハツの軽「タント」、8位はトヨタの小型車「ライズ」、9位は日産自動車の軽「ルークス」、10位はトヨタの小型車「ルーミー」と続く。ベスト10のうち、トヨタと同社の子会社であるダイハツが7車種を占め、「トヨタ1強」が鮮明となっている。
本来なら、凋落した日産に代わって、ホンダがトヨタに対抗していなければいけないはずなのだが、同社では軽「N-BOX」だけがベストセラーカーを獲得し続けているものの、ほかが奮わないというジレンマを抱えているのだ。
なぜホンダは「N-BOX」を看板車種に仕立てたのか。逆に、ホンダの国内販売で「N-BOX」だけしか売れない理由は? ホンダ四輪事業の国内営業の課題を考えた。
マイナーチェンジでどう変わった?
ホンダは7月16日に軽スーパーハイトワゴン「N-BOX」をマイナーチェンジし、翌17日に発売した。現行モデルの発売は2023年10月なので、約3年ぶりの改良だ。
今回のマイナーチェンジでは「N-BOX CUSTOM」(カスタム)のフロントフェイスを刷新。所有する誇りを感じさせる迫力のあるデザインに変更した。
「N-BOX JOY」には特別仕様車「BLACK STYLE」(ブラックスタイル)を設定。また、N-BOX ファッションスタイルの2トーンルーフ色を変更するなど、商品の魅力を高めた。外装塗料に使用するクリア材を変更したことで、ボディの艶感が向上している。
国内新車販売で5年連続のベストセラーとなっているN-BOXだが、この上期は販売台数10万台超えをキープしたものの前期比10%減となっている状況から、商品力強化を実施。N-BOXマイナーチェンジモデルは早くもSNSで話題を呼んでおり、根強い人気を証明している。
N-BOX誕生の背景
そもそも、このN-BOX誕生に関しては、ホンダ内部でいくつかのエピソードが語り継がれている。
現在の三部敏宏体制から2代前の伊東孝紳体制時代、当時は円高で、ホンダでは国内工場の生産・雇用確保に向け、軽自動車商品のテコ入れを推進。F1チームメンバーを開発に採用し、当時の軽自動車生産を手掛けていた八千代工業から鈴鹿製作所へと本田技術研究所の開発部門を移行して、開発と製造をすり合わせた。そこから生まれたのがN-BOXなのである。
N-BOXの「N」は、ホンダ初の本格的量産四輪車だった「N360」のNから来ている。「もう一度原点に立ち返って新時代の四輪車を造りたい」という思いを込めた車名だ。
2011年12月に登場した初代モデルは発売直後から高い評価を受け、数多くの賞を受賞。ホンダ四輪史上最速で累計販売100万台を達成するという大ヒットを記録し、ホンダの看板車種に一気に登り詰めた。2014年12月に2代目、2023年10月に3代目が発売となり、現在に至っている。
ホンダ四輪事業の国内販売は、かつてクリオ・ベルノ・プリオの3チャネル販売網を展開し、年間80万台の規模だった。国内生産・雇用の維持に向け、「国内100万台体制プロジェクト」に進んだ時期もあった。
だが、皮肉なことに、N-BOXがホンダの看板車種となり、国内新車販売でベストセラーカーを続ける中で、N-BOXを主体とする軽自動車の販売比率が高まっていった。逆に、小型車以上の登録車の販売が鈍り、「ホンダは軽自動車屋か」と揶揄されるほどになった。
三部社長が率いるホンダとしては、国内四輪車販売において年間70万台の確保を掲げているが、かつての3チャネルを一本化したホンダ販売店では、N-BOX中心の軽自動車販売に集中する流れを変えられない実態がある。
やはり、課題はN-BOXのベストセラーカーの位置づけを確保しつつ、収益性の高いホンダ車の販売比率を高めていくことにある。軽自動車しか売れないホンダから、軽自動車も売れているホンダへの脱却が求められる。




