三菱自動車工業は新型電気自動車(EV)「エクリプス スポーツバック」をアメリカ、カナダで発売する。日産自動車の「リーフ」をベースとする車両で、発売は2026年後半の予定だ。三菱自が北米にEVを投入するのは、2017年まで販売していた「アイ・ミーブ」以来となる。なぜ今、アメリカでEV発売なのか。

  • 三菱自動車「エクリプス スポーツバック」

    三菱自動車が「エクリプス」の名前を復活させる理由とは?

三菱自動車にとってエクリプスとは?

「エクリプス」といえば、かつては北米を中心に三菱車の代名詞的な存在だった。

今回の新型車「エクリプス スポーツバック」は、スポーティーなデザインと優れた環境性能を兼ね備えた電動サブコンパクト車だ。日産のリーフがベースで、エクステリアデザインはフロントおよびリヤバンパー、フロントグリル、ヘッドライト、リヤコンビランプ、リヤゲート、サイドではDピラーとホイールなどに三菱自動車独自の変更を施し、三菱車らしい個性を実現した。

  • 三菱自動車の「エクリプス スポーツバック」

    三菱自動車の「エクリプス スポーツバック」

  • 日産「リーフ」

    こちらが日産「リーフ」

  • 日産「リーフ」

    日産「リーフ」

かつての「エクリプス」は、三菱自動車の米国生産「アメリカンスポーツ車」として一世を風靡した。三菱自は1989年、米クライスラーとの合弁製造会社「ダイアモンド・スター・モーターズ」(DSM)で初代エクリプスの現地生産を開始。以来、4代目エクリプスまで現地生産を行い、北米市場を中心に販売して人気を博した。左ハンドルのエクリプスを逆輸入して日本市場で販売したこともあった。三菱の米国戦略車「スタリオン」の後継として米現地生産モデルのエクリプスが誕生したころ、筆者も米国イリノイ州にあったDSM工場を取材した経験がある。

  • 三菱自動車の初代「エクリプス」

    三菱自動車の初代「エクリプス」

  • 三菱自動車の初代「エクリプス」

    三菱自動車の初代「エクリプス」

4代目エクリプスは2012年12月に生産終了となり、北米での販売も同年で終わっている。だが、エクリプスの名称自体は、2017年にクロスオーバーSUV「エクリプス クロス」として復活していた。それでも、このエクリプス クロスは、プラグインハイブリッド車(PHEV)モデルが2025年8月に生産終了しており、ガソリンモデルも2026年7月までに生産を終える予定となっている。

  • 三菱自動車「エクリプス クロス」

    三菱自動車「エクリプス クロス」

関税政策で厳しい米国事業の強化が目的?

クライスラーとの合弁を解消したイリノイ州の工場は、三菱自が単独で運営を続けたが赤字が続き、2015年11月をもって閉鎖。三菱自動車は米国での現地生産から撤退した。だが、三菱自にとって北米市場は、アセアン市場に次ぐ販売ボリュームがある。北米戦略を重要視し、全面輸出で米国事業を行っている三菱自からすると、トランプ政権の高関税政策は大きな痛手だ。

このため、アライアンスパートナーである日産との協業に活路を求めている。北米市場での新型ピックアップ協業プロジェクト、日産の北米向け「ローグ プラグインハイブリッド」供給など、双方向での商品補完を通じ、両社の事業強化を積極的に推進していく構えだ。日産からのOEM供給による「エクリプス スポーツバック」の北米投入も、両社の協業の一環だ。

三菱自動車は先日、2030年代に向けた新しい中長期ビジョンを発表した。その中で、三菱自動車を体現する「パジェロ」を今年度中に投入するとともに、将来に向けたシリーズ展開を図ると表明した。

  • 新型「パジェロ」のティザー画像

    新型「パジェロ」のティザー画像

かつてはパジェロも子会社の「パジェロ製造」(岐阜工場)で生産していたが、2012年に惜しまれながら生産を終了し、パジェロ製造も清算した。

パジェロとエクリプスの復活は、三菱自動車の新たな方向を示す象徴として注目すべき動きだといえよう。