日産自動車が「プリメーラ」を約20年ぶりに復活させる。今度は電気自動車で、ベースとなっているのは中国生まれの人気モデルだ。日産がプリメーラを復活させる狙いとは。

  • 日産「プリメーラEV」

    日産プリメーラが復活! なぜ?

プリメーラEVの正体は?

日産は6月4日、第10回「フィリピン国際モーターショー」(PIMS)において、新型セダンの「プリメーラEV」と新型ピックアップトラックの「ナバラ プロ プラグインハイブリッド」を公開した。

  • 第10回「フィリピン国際モーターショー」の日産ブース

    第10回「フィリピン国際モーターショー」の日産ブース

  • 日産「プリメーラEV」

    「プリメーラEV」

  • 日産

    「ナバラ プロ プラグインハイブリッド」

ここで注目されたのは、「プリメーラ」という車名の復活だ。

プリメーラといえば、1990年代から2000年代初めにかけての日産スポーツセダンの代表車種。日本で生産して国内で販売するとともに、英国のサンダーランド工場で生産した車両を欧州市場に投入し、高い評価を受けた。筆者もかつて、初代プリメーラを愛車としていたことがある。懐かしい“日産ブランド車”だ。

日産が、そのプリメーラを約20年ぶりに復活させる狙いはどこにあるのか。

PIMSで公開となった新型「プリメーラEV」は、その名の通りEV(電気自動車。バッテリーEV=BEV)として復活することになった。ズバリ、日産が中国で開発・生産して販売しているミドルクラスセダンBEVの「N7」がベースなのだ。

  • 日産「N7」

    日産「N7」

「N7」は日産と東風汽車との中国合弁会社である東風日産が開発したセダンBEVで、2025年4月末に中国で発売した。販売開始から1カ月で1万7千台超を受注する人気ぶりで、その高いコストパフォーマンスと上質な走り、デザインが話題を集めた。

N7のボディサイズは全長4,930mm×全幅1,895mm、ホイールベースは2,915mm。バッテリー容量は58kWhと73kWhの2種類で、航続距離は最大635km(CLTモード)だ。「Vモーション」デザインをフロントに取り入れた流麗なクーペ風シルエットは、Cd値0.208と高い空力特性を誇る。

日産こだわりのシートは、エアバッグやセンサーを内蔵し、乗る人の体形をセンシングして最高の座り心地を提供。モメンタ車と共同開発した「ナビゲート・オン・オートパイロット」を搭載した先進運転技術(ADAS)も特徴だ。

それでも、価格は11万9,900元~14万9,900元(日本円で約240万円~300万円)と格安な設定となっている。

イヴァン・エスピノーサ社長が率いる日産としては、日産復活への切り札のひとつとして、このN7をグローバルに展開していくことを掲げている。日産のチーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)であるギョーム・カルティエ氏は、「今回の発表は、中国からグローバルへの輸出戦略の始まりを示すものです」とコメントしている。

中国発BEVモデル「N7」をベースとする新型車で「プリメーラ」の名称を再登板させるのは、母国・日本およびグローバルで日産復活の象徴としたいという意向の表れだ。

かつての愛車プリメーラとはどんなクルマだったか

プリメーラは日産が欧州車を意識して、欧州車を超えるハンドリングと走りを実現したスポーツセダンという触れ込みで発売したクルマだった。初代プリメーラの発売は1990年。先進的なパッケージング(空間設計)と卓越した走行性能で一世を風靡した。

  • 日産初代「プリメーラ」

    初代「プリメーラ」

  • 日産初代「プリメーラ」

    初代「プリメーラ」

初代プリメーラ(P10型)のキャッチコピーは「コンフォート・パッケージセダン」だ。英国で生産した車両は「英国生まれの5ドア」として日本市場にも投入。欧州で高く評価された走りとデザインを兼ね備えた逆輸入車「プリメーラUK」として話題を呼んだこともある。

その後、3代目までモデルチェンジを続けたプリメーラだが、日本国内向けは2005年12月をもって生産終了。英国工場では2008年に欧州向けの生産を終了している。

今回の復活で、日本では約20年ぶりに「プリメーラ」の車名を聞くことになる。プリメーラEVは日産のグローバル戦略車だ。日本市場への投入も期待される。そうなれば、日産復活のイメージにもつながることになろう。