日産自動車が長期ビジョンを発表した。イヴァン・エスピノーサ社長はモビリティの知能化に向けたAI活用と商品ラインアップの刷新を柱とする指針を明確化。全モデルの9割にAIを使った自動運転機能を搭載した「AIDV」(ディファインド・ビークル)を展開するという。つまり、日産はAIによる進化した商品展開を軸に成長回帰を目指す。

だが、日産の現状は厳しい。2025年度連結業績は世界販売の低迷が続き、大リストラ費用が膨らみ最終損益が6,500億円の赤字だった模様で、2期連続の巨額赤字を計上する。

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    日産の長期ビジョン発表会

日産の販売は年間40万台を割り込む

2025年4月に船出したエスピノーサ体制は、この1年で構造改革に取り組み、コスト削減に一定のめどが立ち、この長期ビジョンで反転攻勢を図る。ただ、2026年度にも黒字転換が達成できるかは不透明な情勢だ。この1年が勝負となる。

日産の再建策は、世界で2万人の人員や7工場を削減する大リストラだ。固定費と変動費を合わせて、2026年度までに2024年度比5,000億円減らす目標を掲げる。

構造改革における費用削減は前倒しで進んでいるというが、日産の世界販売は現状、ピーク時の6割程度に縮小している。

母国市場である日本での販売は、この2025年度実績を見ても39万8,813台と2024年度比で13.5%の減少となっている。40万台ラインを割り、メーカー別では5位の座に安住している状況だ。2025年度の新車投入は軽自動車「ルークス」や電気自動車(EV)「リーフ」など数が少なかった。

かつてはトヨタ自動車と国内トップ争いを続けていた日産の凋落は痛ましいほどだ。2026年度の国内での巻き返しに向けて、直近では軽EV「サクラ」のマイナーチェンジが決まっている。

  • 日産「サクラ」のマイナーチェンジモデル

    「サクラ」のマイナーチェンジモデル

今後の注目モデルは?

エスピノーサ体制の日産は、「これまでの商品ポートフォリオは市場の変化に追いつかず、コスト上昇を販売台数で補うことができなかった」とし、新型車をサイズに応じて3つの区分に分け、複数モデルを同時並行で開発し、タイムリーな新車投入を図るとしている。

長期ビジョン発表とともに、2030年度の販売目標を中国と米国で年間100万台とし、日本は55万台と野心的な計画を打ち出した。

AI活用と商品ラインアップ刷新に向けて、第1弾として2026年夏に発売するミニバン「エルグランド」には、市街地でも手放しで運転できる機能を2027年度末までに搭載する。当面の新型車としては、e-POWER搭載のSUV「エクストレイル」とEVの「ジューク」を2026年度内に発売する。

  • 新型「エルグランド」

    新型「エルグランド」(2025年のジャパンモビリティショーで撮影)

  • 新型「エクストレイル」

    長期ビジョン発表会で撮影した新型「エクストレイル」

  • 日産「ジュークEV」

    「ジュークEV」

構造改革計画「Re:Nissan」では2026年度に自動車事業の営業利益で黒字化を目指す、との目標を掲げている。今期に販売台数減少に歯止めをかけて、新型車投入とブランド価値の回復を成すことができるか。長期ビジョンを「机上の空論」にしないためにも、今年度は重要な1年となる。