アメリカの電気自動車(EV)メーカーであるテスラの日本法人テスラジャパンは4月3日、3列シート6人乗りのSUV「モデルYL」を日本で発売すると発表した。このクルマ、日本市場では競合が少ない多人数乗車が可能なEVだ。日本市場の「空白地」に乗り込むテスラの戦略とは。
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モデルYLでファミリー層を開拓?
東京・西新宿の「テスラ新宿」で新車発表会を開催したテスラジャパンの橋本理智社長は、「日本国内での販売・整備拠点の拡大、テスラアドバイザーの増員などで、更なる日本市場でのテスラ車拡販を目指す」とし、日本市場に合わせた営業拠点、営業マンの強化を推進していくことを強調した。
テスラの日本進出は2010年で、すでに15年以上が経過している。当初はオンライン販売を主体としたが、2024年9月に橋本社長が就任してからは、営業・整備拠点の全国展開策に転換。2025年は過去最高の販売台数を記録した。
世界的には、テスラのトップであるイーロン・マスク氏の動向で「不買運動」が起こり、販売で苦戦したテスラだが、「EV不毛」とまで言われる日本ではEV市場を牽引していく意欲を強めている。
「モデルYL」はミッドサイズSUV「モデルY」の派生車種で、3列シート6人乗りのEVだ。モデルYに比べて全長で約180㎜、ホイールベースで150㎜のボディ拡張を実施し、有効スペースを最大化することで、クラス最大級の室内空間を実現している。全席の快適性を追求しており、シートを完全に倒せば車中泊にも使える。航続距離は788kmで、テスラが日本で販売する車種では最長となる。
中国では2025年に発売済み。日本では注文の受け付けを開始しており、納車は大型連休前の4月末からとなる。価格は749万円だが、国のEV補助金127万円を受け取ることが可能。これに地方自治体の補助金も上乗せできる場合があり、例えば東京都なら40万円(最大80万円)が追加となる。つまり、200万円近くの補助金を受け取ることができるのだ。橋本社長は「モデルYLで日本のファミリー層の需要を獲得できる。EVマーケットリーダーのテスラが、さらにEV販売を牽引していく」と意欲を示した。
EV不毛の地・日本でテスラが躍進している理由
テスラの日本販売は2025年実績で前年比約9割増の約1万600台と初の1万台超えを記録した。これは、日本進出時のオンライン販売中心から、実店舗展開での接客・試乗重視にシフトした橋本社長就任以降の戦略が功を奏した結果だ。今後は地方販売拠点約30店舗、整備拠点50カ所以上を2026年中に達成し、車検・点検需要に対応していくことを重視すると明言した。
テスラの新車を4月1日以降に注文し、6月30日までに納車が完了したユーザーに対しては、急速充電器「スーパーチャージャー」の充電料金を3年間無料とするキャンペーンも開始した。この特典は、急速充電ネットワークを持つテスラの利便性を最大限に活用した取り組みとなり、ガソリン車の燃料代との比較で数十万円相当の節約効果が見込まれる。
世界ではEV覇権を巡ってテスラと中国BYDの争いが激化している。日本市場でもBYDが攻勢を強める中で、テスラが日本市場に合った戦略転換で販売実績を伸ばしていることに注目したい。




