日産再建の担い手として、メキシコ出身のイヴァン・エスピノーサ社長が2025年4月に就任してから8カ月が経過しようとしている。工場削減、人員削減などのリストラ策に加え、横浜本社売却にも踏み込んで「一定の効果が現れてきている」と強調するエスピノーザ社長だが、肝心の「商品」(クルマ)投入策はどうなっているのか。

  • 日産の新型「パトロール」

    日産が日本市場に投入予定の新型車は期待大?

日産の販売台数、推移は?

日産の販売回復に向けた実態には厳しいものがある。

同社の世界販売は、600万台に迫ったカルロス・ゴーン時代の2017年度をピークに減少を続けている。2025年3月期には、ピーク時に比べ約4割減となる約330万台まで縮小した。商品企画畑を歩んできたエスピノーサ社長は商品力の強化で世界販売の反転を目指すが、その道は険しい。

先ごろの「ジャパンモビリティショー2025」(JMS)では、プレミアムツーリングミニバン「エルグランド」(新型、4代目)と超大型SUV「パトロール」を展示した日産ブースに人気が集中していた。エルグランドは2026年夏の発売を予定。パトロールはかつての「サファリ」以来、実に20年の時を経て2027年度前半に日本市場に「再デビュー」を果たす。

エルグランドは、いわゆる「ラグジュアリーミニバン」のパイオニアだ。新型車は実に威風堂々たる姿で、高級感が漂っていた。内外装には、日本の伝統工芸「組子」を現代的に解釈した模様があしらわれている。パワートレインは第3世代の「e-POWER」(ハイブリッドシステム)で、新開発の1.5L 3気筒ターボエンジンを発電専用として活用する。50km/h以下でのハンズオフ走行が可能なプロパイロットも搭載し、全方位で大きな進化を遂げている。

  • 日産の新型「エルグランド」

    日産の新型「エルグランド」

パトロールは中東で大人気の超大型SUVだ。7代目となる新型は2024年9月にアラブ首長国連邦のアブダビでデビューしている。3列シート8人乗りの迫力あるボディサイズは全長5,350mm、全幅2,030mm、全高1,945mm。仕様や価格などの詳細は後日の発表となる。日本では1980年から2007年まで「サファリ」として販売されていたクルマだが、「日本でも要望が大きかった」ことを受け、日本市場に「パトロール」として導入、復活させ、日産のフラッグシップモデルとしての役割を担わせる。

  • 日産の新型「パトロール」

    日産の新型「パトロール」

このエルグランドとパトロールは、SNSでも「やっちゃえ、日産」の姿勢を体現するモデルだとしてバズっているという。

だが、現実の市場での日産車販売は、相変わらず厳しいものがある。先の2026年3月期上期連結決算でも、日産の2025年4~9月の世界販売は148万台で前年同期比7.3%の減少となった。日本市場では同16.5%減で従来想定を下回った。

反転を期す下期は、新車攻勢に動く。電気自動車(EV)の新型「リーフ」に加え、軽自動車の新型「ルークス」の投入による押し上げを期待する。

  • 日産の新型「リーフ」

    日産の新型「リーフ」

  • 日産の新型「ルークス」

    日産の新型「ルークス」

だが、EV減速が世界的に進む中で、日本でもEV市場は微々たるもの。軽のルークスも三菱自動車工業との共同開発車で、生産は三菱の水島工場が担当しており、日産の国内生産には寄与しない。日産のディーラーからは「本当の売れるクルマが少ない」との声が上がる。

かつての高度成長期には、トヨタと日産が日本の自動車市場を引っ張る両大手と言われた時期が続いたが、ゴーン時代に日本市場を軽視したことのツケが回り、母国・日本で5位の座に安住するに至ったという経緯がある。

「日産らしい商品力復活」をうたうエスピノーザ日産が、JMSにおける「パトロール」「エルグランド」人気の高まりという追い風に乗って、実際の販売増に結びつけられることを願っている。

【フォトギャラリー】新型エルグランド

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