ダイハツ工業は10月30日に開幕する「ジャパンモビリティショー2025」(JMS2025)でマイクロモビリティ四輪車「ミゼットX」を初披露する。この時代に伝説の名車「ミゼット」を復活させるダイハツの狙いとは?
28年ぶりにレジェンドが復活
「ミゼット」はダイハツが1957年に発売した「オート三輪」だ。コマーシャルでも話題になり、一世を風靡した名車である。映画『ALWAYS 三丁目の夕日』でミゼットが走る姿を見て、昭和の時代を懐かしく思い出した人も多いはずだ。
ダイハツにとって「ミゼット」は、現在の「軽自動車・小型車のダイハツ」に至る原点であり、“レジェンド”だ。今回のJMS2025では「ミゼットX」というコンセプトカーを発表する。「28年ぶりのミゼット復活」と早くも話題だ。
ダイハツが「ミゼットX」のコンセプトカー出展を発表したのが、10月15日の「ジャパンモビリティショー(JMS)2025開幕直前説明会」だった。JMSの主催者である日本自動車工業会(自工会)が開催したもので、この説明会では貝原典也モビリティショー委員長(ホンダ副社長)が開催概要を説明した後、自工会会員企業が出展内容の説明を行った。ダイハツは単独ではなく、トヨタ自動車と共同で説明を実施した。
トヨタのブランド戦略とダイハツの関係
これに先立つ10月13日には、トヨタがオウンドメディア「トヨタイムス」で動画を公開。豊田章男トヨタ会長が登場して新型車プロジェクトを発表した。この中で豊田会長は、「センチュリー」「レクサス」「トヨタ」「GR」「ダイハツ」をブランドとして新たに位置付けるとした。
「センチュリー」ブランドがトヨタの新たな上級ブランドになることで注目を集めたが、一方で、「ダイハツ」ブランドがトヨタの「エントリーカーブランド」としての立ち位置を明確化したことも、大きなニュースだった。
ダイハツがJMS2025での出展テーマを「わたしにダイハツメイ。小さいからこそできること。小さいことからひとつずつ。」とし、原点であるミゼットを基点に展示・演出を行うことは、この新たな立ち位置と関係していそうだ。「ダイハツらしいハツメイ」は、レジェンドのミゼットが象徴している。このミゼットを四輪車として復活させることで、「ダイハツの真の復活」に結びつけることを狙っているのだ。
もともとダイハツは、1907年創業と日本の自動車メーカーの中で最古の歴史を持ち、関西圏に本社を持つ唯一の国産車メーカーとして軽自動車・小型車を得意としてきたが、2016年にはトヨタの完全子会社となっていた。2023年4月には排ガスや燃費不正などの認証不正問題が発覚し、その後の大規模不正に至って内外への出荷停止に至った。
トヨタはダイハツの立て直しに向けて、2024年3月にトヨタ中南米本部長だった井上雅宏氏を社長に送り込み、同年5月には全工場で稼働を再開した。2025年6月には軽主力車「ムーヴ」のフルモデルチェンジ新型車(7代目)を市場投入し、復活再生への狼煙を上げている。
今回、JMS2025で伝説の名車「ミゼット」をモビリティ新時代の「ミゼットX」として復活させることで、ダイハツ自体の復活に結びつけていくことは大きなステップアップとなるはずだ。
トヨタとしても、先に豊田章男会長がダイハツの「マスタードライバー」の名刺を作ったことが話題となったが、それだけダイハツブランドを軽自動車・小型車の領域で重視していきたいということなのだろう。





