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1 自動車業界 ニュースの見方

なぜ日野自動車と三菱ふそうは統合するのか - “商用車再編”が進む理由

JUN. 18, 2025 08:00
Text : 佃義夫
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懸案だった日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合がようやく最終合意にこぎつけた。両社が統合するに至った理由とは何なのか。なぜ今、“商用車再編”が進んでいるのか。背景を考える。

  • トヨタ、日野、三菱ふそう、ダイムラートラックのトップ

    トヨタ子会社の日野自動車とダイムラートラック子会社の三菱ふそうトラック・バスが経営統合へ…背景は?

統合の話が始まったのは?

6月10日には日野自動車の親会社であるトヨタ自動車、三菱ふそうの親会社であるダイムラートラックからもトップが出席し、記者会見を開催した。

日野自・三菱ふそうの統合は、両社を100%子会社とする持ち株会社に、それぞれの親会社であるトヨタとダイムラートラックが25%ずつを出資する形となる。議決権ベースではトヨタの比率が19.9%、ダイムラーの比率が26.7%でダイムラーが主導する格好だ。日野自はこれでトヨタの持分法適用外となる。2026年4月1日の上場を目指し、新統合持ち株会社のCEOにはカール・デッペン三菱ふそう社長が就任することになった。

  • トヨタの佐藤社長

    6月10日の記者会見には4社のトップが登壇。トヨタ代表取締役・CEOの佐藤恒治氏もプレゼンテーションを行った

ここからは、なぜ日野自とふそうが統合するのか、大型車(トラックメーカー)再編とは何なのかを解き明かしていきたい。

日野自はトヨタが50.1%を出資する連結子会社で、ダイハツ工業と共にトヨタが世界販売に組み入れたトヨタグループOEM(完成車メーカー)だ。一方の三菱ふそうトラック・バスは、2003年に独ダイムラーAGの子会社(89.29%出資)として、三菱自動車工業から分離独立したダイムラーグループOEMである。

日野自・ふそう統合の動きは、豊田章男トヨタ会長が2年半前の社長時代に、当時のダイムラートラックのマーティン・ダウムCEOから持ちかけられて始まった。

日野自動車では2022年3月にエンジン不正が発覚。過去から長期にわたって続いてきた認証不正で日野のブランドは失墜した。そこから、ダイムラートラック傘下の三菱ふそうと統合して、日野ブランドをいかす方向で検討が始まった。

経営統合にはそれぞれの事情がある?

2023年5月末には、日野自・三菱ふそう統合の基本合意締結で4社が発表会見を実施したが、その後、米国などでの日野の訴訟解決に時間がかかり、最終合意が延期されていた。だが、2025年1月に米当局と和解し、5月には民事裁判の承認も下りて、ようやく最終合意への段階に至っていたのだ。

日野自は一時、ダイムラートラックのライバル関係にある独トレイトン(フォルクスワーゲンの商用車専業メーカーで世界第3位)との協業を模索したが、親会社のトヨタがダイムラートラックとの連携を判断した。ダイムラートラックも2019年にダイムラーの商用車事業会社として独立しており、「商用車事業は環境規制の強化などで歴史的な変革期にある」(ラドストラム・ダイムラートラックCEO)と生き残りへの危機感を強くする。

中・大型トラックの販売規模でダイムラートラックは世界2位だが、脱炭素対応やドライバー不足対応に向けて、自動運転など商用車の「CASE技術」分野で競争力強化が求められている。日野自としても、認証不正問題で業績を大きく悪化させる中で、トヨタとしては商用車事業として日野自を支えるのは限界として、ふそうとの統合を決断した状況でもある。

乗用車は「消費財」だがトラック・バスは「生産財」であり、同じクルマであってもその性質を異にする。トヨタも「餅は餅屋」の判断から、商用車事業のうち日本分類の普通トラック(4トンクラスの中型トラックと10トンクラスの大型トラック)を分離・独立させたということでもある。

ダイムラートラックは商用車のEV化に加え水素燃料電池(FC)、水素エンジンなどの活用を通じた環境対応や自動運転技術にも力を入れている。今回の統合には、CASE技術の開発投資へのスケールメリットを期待している側面がある。

トヨタとしても、統合で日野ブランドをいかしつつ、ダイムラートラックとの協業には利があると決断したのだろう。トヨタグループの総帥である豊田章男トヨタ会長は、両社の統合最終合意を「トラックメーカー大編成が民間主導でできた」とその意義を強調した。

日本の商用車メーカーは長らく大型車4社体制が続いていたが、これでいすゞ自動車・UDトラックス(旧日産ディーゼルで21年にいすゞが買収)と日野自・三菱ふそうの2陣営に集約される。日野自・ふそうはダイムラートラックグループ、いすゞ・UDトラックスはスウェーデンのボルボ・グループとして、アジア・日本での競合と協調の中で生き残りを目指す。


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