「アメ車」が日本で乗りにくい理由として「デカすぎる!」との声を聞くことがある。確かに大きなクルマが多いアメ車の世界だが、日本車のSUVと大して変わらないサイズ感のモデルもあるにはある。キャデラック最小のSUV「XT4」だ。

  • キャデラック「XT4」

    キャデラック最小のSUV「XT4」に試乗。見た目はコンパクトで取り回しもよさそうだ

RAV4に近いサイズ感

キャデラックは自動車黎明期の1902年に設立された歴史あるメーカーだ。現在はゼネラルモーターズが展開する高級車ブランドとして、アメリカの大統領専用車を手がけるなど高級車としてのブランドイメージを確立している。アメリカ本国ではメルセデス・ベンツ「Sクラス」の競合車にあたるフラッグシップサルーン「CT6」などもラインアップしているが、日本国内で新車購入できるのは電気自動車SUV「リリック」、フルサイズSUV「エスカレード」など全5モデルで、いずれもSUVのみ。セダンがラインアップにないのは少しさみしい。

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    試乗した「XT4」のボディカラーは「ステラーブラック メタリック」。このほかに「クリスタルホワイトトライコート」「ラディアントレッド ティントコート」が選べる

XT4の日本導入は2021年。キャデラック「にしては」取り回しのいいサイズ感で話題となった。ボディサイズは全長4,605mm、全幅1,875mm、全高1,625mm。日本車で比較するとトヨタ自動車「RAV 4」やホンダ「CR-V」などと近いサイズ感で、アメ車としては小さい部類に入るだろう。

XT4は2.0Lの直列4気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は230PS、最大トルクは350Nmを発生する。そこに9速オートマチックトランスミッションが組み合わされ、俊敏な加速と低燃費を実現している。

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    内装はシンプルながら高級感があり、うまくまとめられている

エクステリアは2024年末のマイナーチェンジでモダンにアップデート。特にフロントフェイスは、縦型配置のLEDヘッドライトと横型配置のウインカーがアクセントになっている。フロントからリアにかけては丸みを帯びた造形で、シルエットはシンプル。リアは縦型のリフレクター(反射部分)で後車への視認性を高めつつ、大きなロゴで高級ブランドのクルマであることを主張している。

AKG搭載で重厚なサウンドが楽しめる

乗り込んでみると、車内は質感の高さが際立っていた。高級車といえば一般的に木材や金属素材(あるいはメッキ)を多用するが、このXT4にはそういった設えは見当たらない。インパネの大部分には、ブルーのステッチがあしらわれている。エアコンなどの操作部材は新素材のメタルインサートだ。ツヤがあり輝いていて、感触もいい。

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    ラグジュアリーSUVというだけはある車内の質感。特に、人が触れる機会が多いシフトレバーなどのパーツは上質で好印象だ

33インチのワイドLEDディスプレイは9Kの解像度を誇る。非常に見やすくて操作性も高い。

オーストリア ウィーンの音響メーカー「AKG」の車載サウンドシステムを採用しているところからは、音質に対する深いこだわりを感じる。筆者もAKGのヘッドホンを使用しているが、車内でラジオを流してみたところ、AKGらしい重低音を堪能できた。

走行性能はかなり優秀。アクセルレスポンスは非常に軽く、走りは軽快だ。電気自動車とまでは言わないが、それに近いような俊敏な加速力が体感できた。シートもしっとりとした手触りで上質だし、SUVではなくセダンのような乗り心地という印象を受けた。

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    後席の居住性も悪くない。身長178cmの筆者が乗っても後席の足元は広かった

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    ラゲッジスペースも必要にして十分な容量(637L、最大1,384L)を確保している

日本の道路事情にもマッチ

XT4のサイズ感と走行性能なら、細い路地でも車庫入れでも問題なくこなせるはずだ。日本車と比較しても遜色ない使い勝手がある。質感が高く、人と被らない個性的なSUVに乗りたいと思っている方たちに教えてあげたくなる(知名度は低そうなので)1台だ。

  • キャデラック「XT4」
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    個人的に好きなのがリアからの眺め。日本車にも欧州車にもない迫力がある。縦に伸びたヘッドライトも近年のキャデラックらしい部分だろう

XT4のように、日本の道路事情に適したアメ車もないわけではない。ただ、実際に乗ってみないと細かい部分まではわからないので、少しでも気になるモデルがある場合は、やはり実際に試乗してみることが重要だ。

とはいえ、XT4を生産するアメリカの工場は今後、シボレーの電気自動車「ボルトEV」を生産する予定になっているそうで、いま新車で買えるXT4は日本市場で最終モデルとなる。マイナーチェンジモデルが出てすぐに終了というのは悲しいが、仕方がない。新車が買えるうちに試乗してみるのが吉だろう。

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    今後は新車で買えなくなってしまうかもしれない。狙うなら今だ!