2026年5月に公開されるやいなや、世界の各方面でさまざまな“物議”を醸したフェラーリ初の電気自動車「LUCE」(ルーチェ)。「Ferrari Festival Tokyo 2026」(東京・六本木の東京ミッドタウンで10月4日まで開催中、ただしルーチェを見られるのは招待客のみ)のプレス向け内覧会で、ついに実物を見ることができた。ルーチェって実際、どうなの?

  • フェラーリ「ルーチェ」

    フェラーリ「ルーチェ」を肉眼で確認!

フェラーリ「ルーチェ」の写真を一気に見る

フェラーリにとってEVはどんな存在?

実車を目の前に解説してくれたのは、フェラーリのマーケティング部門を担当するエマヌエレ・カランド氏。ルーチェの開発におけるキーワードは「エモーション」「革新」「アディション」の3つで、単に電気自動車(EV)を作るのではなく、フェラーリらしい走行感覚、音、多様性を盛り込み、家族とも乗れる新しいクルマを目指したそうだ。

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    「ルーチェ」について説明するエマヌエレ・カランド氏

EVは既存のハイブリッド車などに代わるものではなく、ラインアップに「追加」するのだと強調したカランド氏。白紙の状態からEV専用に開発したルーチェは、専用シャシーによる低い車高・重心と操作性を狙ったという。使用する重要部品は全て自社内で開発し、長期的な部品供給と修理可能性を確保したとのことだ。

賛否両論! デザインをじっくり観察

日本に上陸した個体はマットシルバーのボディカラー。「ガラスハウス」と呼ばれる内側の構造と外側のシェルによる2層的なデザインだ。4つのモーターを車輪付近に配置することで得られる空間を活用した4ドア・5人乗りのレイアウト、四輪駆動、大容量トランクが特徴となる。

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外側のシェルは空力向上にも効いている。フロント・リアのフローティング形状による空気の流れは、走行機能を意図したデザインだ。エンジン車で同様の空間を実現するのは難しいという。

フロントウインドウは屋根近くまで連続する形状。その両サイドにあるワイパーは、空気抵抗を抑える目的で縦向きに配置した。

タイヤはフロント265/35ZR23、リア315/30ZR24のミシュラン「パイロットスポーツ」。巨大かつ極太で、ただものではない雰囲気を漂わせる。5本スポークホイールの隙間から見えるディスクブレーキやイエローのキャリパー、その奥にちらりと見える4モーター、4アクティブサス、4輪操舵を司る足回りが興味をそそる。

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Bピラーの根元にあるスイッチで開閉する「ウェルカムドア」は、いわゆる観音開き。システムとしては「プロサングエ」と同じだ。乗降性を高めつつ、ホイールベースを長くせずに済むため、俊敏性への影響を抑える狙いがあるのだという。

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運転席に座って驚き! さすがはフェラーリ

インテリアの素材としては本革とアルカンターラがある。今回の個体は、美しいキャメルカラーのレザーシート仕様だった。

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ドライバーズシートやリアシートに座ることが許されたので早速試してみたが、乗降性や操作性、快適性のどれもが優れていて、ペダル類の踏みやすさとリアシートの足元空間の広さには正直、驚かされた。センターディスプレイは運転席側と助手席側のいずれにも向けることができるユニークな仕様。操作時に手首をハンドル付近に置ける点も操作性向上のため、との説明だ。

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黄色のキーをソケットに置くと車両が始動し、キーが黒に変わって電装が作動する。電源が入っているのかどうかがわかりづらいEVもある中で、ルーチェは視覚的にクルマの状態を把握することができる。

3本スポークのシンプルなステアリングの右側にはダイヤル式のマネッティーノ、左側にはEVの調整ダイヤルを配置。センターコンソールには短いスティック状のシフトレバーがある。リアラゲッジは広く、5人分の荷物がすっぽりと入りそうだ。

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F1レーサーの折り紙付き? ルーチェの走り

公開されている数値でルーチェの性能を確認すると、最高出力1,050馬力、最高速度310km/h、0-100km/h加速2.5秒、0-200km/h加速6.8秒、航続距離は530km。車両重量は2,260kg、動的重量(DYNAMIC WEIGHT)は1,800kgとなる。

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カランド氏によると、最も重視したのは運転時にドライバーが得ることができる感情=フィーリングだ。4輪独立駆動、4輪独立アクティブサスペンション、4輪操舵によるアジリティーといったシステムで気持ちのいい走りを目指した。

ステアリングのパドルを用いる「トルクシフト管理システム」についても説明があった。コーナー進入時には左パドルでトルクを下げてブレーキ操作を補助し、立ち上がりでは右パドルで更なるトルクが引き出せるとのことだ。

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サウンドはアンプを通じてエレキギターのようにキャビン内外に届ける。高速走行やパフォーマンス走行でのスロットル操作時に音が発生する仕組みだ。街中ではEVらしい静かな走行になるという。残念ながら、その“音”を聴くことはできなかった。

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ルーチェが実現した走りのすばらしさは、フェラーリの現役F1パイロットであるルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールの2人が初めて運転した映像を見て分かる通り。その速さだけでなく、大型車でありながら高速でコーナーを曲がることができる4輪操舵の操縦性能には、2人も大いに驚いていたそうだ。

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日本で予想以上のオーダーが?

冒頭でルーチェの発表時にさまざまな意見が飛び交ったという話をしたが、実は、ここ日本では思いのほか(?)好評なのだそう。逆に、本国のイタリアではそうでもないらしい……。

関係者の話によると、日本ではせいぜい20台くらい出ればOKかなと思っていたところ、すでにそれを2~3倍に達する勢いでオーダーが入っているとのこと。来日したフェラーリのベネデット・ヴィーニャ(Benedetto Vigna)CEOが笑顔で登壇し、「日本は未来を恐れない顧客が多い国」と言っていたのは、そんな理由があったのかも。価格は7,623万円からだ。

  • フェラーリのベネデット・ヴィーニャCEO

    フェラーリのベネデット・ヴィーニャCEO

実は筆者も、ルーチェの写真を見た際、そのデザインに対して脳内に「???」が浮かんだうちの1人だったのだが、実物を見たら、その考え方が180度転換したことを告白しておこう。

【フォトギャラリー】フェラーリ「ルーチェ」