最初に結論:ダイソン初の電動歯ブラシは、カメラとAIで歯間を自動検知し、ブラッシングとジェットによる歯間ケアを同時に行うことで、面倒だったオーラルケアを「続けやすくする」ことを狙った意欲的な製品だ。
記事の重要ポイント:
  • Dyson CameraJetは、10万画素カメラとAI機械学習で歯間を検知し、ブラッシングしながらジェットを自動噴射する。
  • 本体タンクを満水にすると約80回の噴射が可能。200mlの給水機能付き充電ドックから約3秒で給水できる。
  • 79,800円という高価格や大きめのドックはハードルだが、歯間ケアを自動化して毎日のケアを続けやすくするという点に価値がある。

歯のケアの重要性は広く知られるようになった。しかし、歯ブラシだけでは落としにくい歯間の汚れまでケアしようとすると、フロスや水で汚れを落とす口腔洗浄器(フロッサー)など歯ブラシ以外のツールが必要。正直、手間も時間もかかって面倒という声も多い。

そんななか、オーラルケアの常識を覆す製品をダイソンが発表した。同社初となるオーラルケア製品「Dyson CameraJet フロッサー付き電動歯ブラシ」(以下、CameraJet)は、歯ブラシになんとカメラを搭載。さらに、ブラッシングと液体による歯間ケアを同時に行えるという、今までにない製品なのだ。気になる本製品を同社発表会にて実際にチェックしてきた。

  • 新製品のDyson CameraJet フロッサー付き電動歯ブラシ。左がセラミックピンク、右がセラミックウルトラブルーの2色展開

    新製品のDyson CameraJet フロッサー付き電動歯ブラシ。左がセラミックピンク、右がセラミックウルトラブルーの2色展開

歯ブラシ+ウォーターフロス+カメラを1台に

CameraJetは、電動歯ブラシと、口腔洗浄器のような液体による歯間ケア機能を行う「フロッサー」を組み合わせた製品だ。273×44×44mmという、やや大きめの本体には12.5mlのタンクを搭載。歯磨き中に歯間を自動検知して水(またはマウスウォッシュ)を噴射する。つまり、ブラッシングと歯間ケアを一度に済ませられるという、画期的な製品なのだ。

  • 本体サイズ273×44×44mm、重さはブラシ込みで230g。一般的な電動歯ブラシはほぼ150g以下なのでやや重いが、手にもつとそこまで「他製品より重い」とは感じなかった

    本体サイズ273×44×44mm、重さはブラシ込みで230g。一般的な電動歯ブラシはほぼ150g以下なのでやや重いが、手にもつとそこまで「他製品より重い」とは感じなかった

操作は本体に配置された3つのボタンで行う。搭載されているのは、最上部に電源ボタン、中央にフロッサーの自動噴射機能のON/OFFボタン、そして最下部に歯ブラシの振動レベル変更ボタンを配置。

ボタンの組み合わせによって、ブラッシングとジェットを同時に行う「オートジェット+ブラシ」のほか、ブラッシングのみ、ジェットのみでの使用ができる。ブラッシングの強さも「センシティブ」「デイリークリーン」「ディープクリーン」の3段階から選択可能だ。

  • 上から電源ボタン、ジェットボタン、ブラシモードボタン

    上から電源ボタン、ジェットボタン、ブラシモードボタン

そしてCameraJetを特徴づけているのが、ブラシヘッドの根元に搭載された10万画素のマクロカメラだ。

なんと、ブラッシング中に1ミリの口腔内カメラが、AI機械学習アルゴリズムによって処理される毎秒28枚の画像を分析し、歯と歯の隙間を自動で検知。歯間をみつけると自動的に歯の間にジェットを噴射して汚れを落とすという仕組みだ。

  • 替えブラシを外したところ。先端の穴はフロッサー用の噴射口。その下にカメラが配置されている

    替えブラシを外したところ。先端の穴はフロッサー用の噴射口。その下にカメラが配置されている

ちなみにフロッサーのタンク部には一回12.5mlの液体が入り、満タン時は約80回の噴射が可能。フロッサーに入れる液体は水のほか、対応するマウスウォッシュも利用可能だ。

面白いのが、CameraJetの充電ドックには歯ブラシ本体への給水機能があること。液体がなくなったら、本体をドックにセットしてボタンを押すだけで約3秒で給水できる。使用のたびに「タンクの蓋を開けてマウスウォッシュを補充」という手間がないのはありがたい。

  • 裏面に水タンクを配置した専用充電ドック(マウスウォッシュも可)。給水タンク容量は200mlで、満タン時は約16回の連続給水ができる計算

    裏面に水タンクを配置した専用充電ドック(マウスウォッシュも可)。給水タンク容量は200mlで、満タン時は約16回の連続給水ができる計算

  • 使用中にマウスウォッシュ(あるいは水)が切れた場合も、ドックにセットしてボタンを押したら3秒で給水。給水のたびにフタの開け閉めが必要ないのはかなり便利そう

    使用中にマウスウォッシュ(あるいは水)が切れた場合も、ドックにセットしてボタンを押したら3秒で給水。給水のたびにフタの開け閉めが必要ないのはかなり便利そう

カメラが歯間を検知、水を自動でジェット噴射

何度も書いているが、CameraJetのユニークなところは、ユーザー自身が歯間を狙う必要がないこと。ブラシヘッドの根元に搭載した10万画素のマクロカメラが、ブラッシング中に歯と歯の隙間を探し、歯間を見つけると自動的にジェットを噴射する。

発表会では、歯の模型を使って実際に歯間検知を試すことができた。ブラシを歯列に沿って動かしてみると、歯間はかなりしっかり検知している印象。歯間を見つけるたびにジェットが自動噴射され、その際には「パチン、パチン」と機械的な作動音もする。この音のおかげで、ジェットが作動したタイミングもわかりやすかった。

歯の模型を使って歯間検知を体験。歯間を通過するたびにジェットが噴射しているのがわかる

ちなみに、一般的な口腔洗浄器は使用中に水を流し続けるため、洗面台の上で口を開け、口から水を流しながら使うことになる。一方、CameraJetが1回のケアに使う液体はわずか12.5ml。ダイソンによると、カメラで歯間を見つけたときだけ少量の液体を勢いよく噴射するため、少ない液体で済むのだそう。

  • CameraJet使用中のモデルも、とくに口から水があふれることはなかった。フロッサー使用中とは思えない見た目

    CameraJet使用中のモデルも、とくに口から水があふれることはなかった。フロッサー使用中とは思えない見た目

  • タンク内部には伸縮するバルーン状の構造体があり、液体が減るにつれてバルーンが膨らむ。このためどんな角度でもしっかり水が出る

    タンク内部には伸縮するバルーン状の構造体があり、液体が減るにつれてバルーンが膨らむ。このためどんな角度でもしっかり水が出る

カメラ部分にも実用的な工夫がある。カメラの周囲にはライトを搭載しており、暗い口の中でもしっかり歯が確認可能。

一方、実機で試したところ、マクロカメラなので歯から2~3cmほど離れると映像はほとんど映らなかった。カメラ付きの歯ブラシだけに「洗面所で下着で使って大丈夫?」と少々心配になるが、これなら意図せず周囲が映り込む心配はないだろう。

  • 歯磨き中のカメラの映像。カメラ周辺にライトを搭載し、口の中を照らしながらブラッシングできる

    歯磨き中のカメラの映像。カメラ周辺にライトを搭載し、口の中を照らしながらブラッシングできる

  • ちなみに、専用アプリは口の中のどのあたりを磨いたかをリアルタイムで教えたり、前回の歯磨きで磨き残した部位を教える機能なども搭載している

    ちなみに、専用アプリは口の中のどのあたりを磨いたかをリアルタイムで教えたり、前回の歯磨きで磨き残した部位を教える機能なども搭載している

今回はCameraJet最大の特徴であるフロッサー機能を中心に紹介したが、もちろん電動歯ブラシとしての機能にもこだわっている。ブラシには硬さの異なる2種類の毛を採用するほか、ブラッシングの強さも3段階から選択可能。さらに、磨く力が強すぎると知らせる機能など、高機能歯ブラシが搭載している機能はしっかり搭載している。

  • 柔らかく凹凸に入り込みやすい緑の毛と、頑固な汚れを落とす固めの青い毛。2種類の毛を植毛した専用ブラシ

    柔らかく凹凸に入り込みやすい緑の毛と、頑固な汚れを落とす固めの青い毛。2種類の毛を植毛した専用ブラシ

79,800円の価値は? 続けやすさが最大の魅力

歯間ケアの重要性については、発表会でもかなり時間を割いて説明されていた。歯ブラシだけでブラッシングした場合、約60%のプラークは除去できるものの、約40%は磨き残されるという研究結果も紹介された。一方、ダイソンの調査によると、10人中9人は十分な頻度でフロスを使用していないという。重要なのはわかっていても、毎日の習慣にするのはなかなか難しいということだろう。

実際にCameraJetを触ってみて魅力に感じたのも、この「続ける面倒」をかなり減らしていることだ。液体がなくなればドックに戻して約3秒で給水でき、歯間もカメラが自動で探してくれる。これまで歯間ケアを面倒に感じていた人でも、「これなら続けられるかも」と思わせる工夫が随所にある。

もちろん、CameraJetの価格は79,800円。電動歯ブラシとしてはかなり高価なうえ、給水機能を備えた充電ドックも大きく、洗面台によっては設置場所に苦労しそうだ。現時点では誰にでも気軽にすすめられる製品とはいいにくい。

それでも、CameraJetを実際に見ていると、これまで「やったほうがいいけれど面倒」だった歯間ケアを、もっと日常的なものにしようという狙いはよく伝わってきた。カメラ付きというインパクトに目が行く製品だが、本当に面白いのは、こうした新しい仕組みが私たちの歯磨き習慣を変える「可能性」なのかもしれない。