三菱自動車工業が伝説の名車「パジェロ」を復活させる。パジェロ復活はどんな経緯で決まったのか。三菱自動車 執行役員 デザイン本部長の渡辺誠二さんは、「こっくりさん」という懐かしの遊び(?)を例に引きながら説明した。

  • 三菱自動車の新型「パジェロ」

    新型「パジェロ」復活の経緯は? 事前説明会で聞いてきた

新型「パジェロ」の写真を一気に見る

パジェロ復活は「ひとりでに」決まった?

三菱自動車が復活させる「新型パジェロ」とは、どういうクルマなのか。端的にいえば、ピックアップトラック「トライトン」のSUVバージョンだ。

  • 三菱自動車の新型「パジェロ」

    こちらが新型「パジェロ」のベースとなったピックアップトラック「トライトン」

トライトンをベースにSUVを作る。その線で企画が進んでいた時、三菱自動車の社内ではどこからともなく、トップダウンでもボトムアップでもない形で、「そのSUV、新型パジェロということで作ったらどうなの」というような話が持ち上がり、方向性が決まった。渡辺さんが「こっくりさん」に喩えたのは、このあたりの流れのこと。誰も指に力を入れていないのに10円玉が動く様子は、誰かが方向性を明示したわけでもなく、役員か誰かが命じたわけでもないのにパジェロ復活が「ひとりでに」決まった様と似ていたらしい。

  • 三菱自動車の新型「パジェロ」

    「こっくりさん」を例に引きながら新型「パジェロ」開発の経緯を説明する三菱自動車 執行役員 デザイン本部長の渡辺誠二さん。ちなみに「こっくりさん」というのは、複数の人間が1枚の硬貨(10円玉が主流だったような?)に指を載せて質問をすると、硬貨が勝手にテーブルの上を滑り出し、周囲に書かれた文字(あいうえお、など)をたどって答えを指し示す、というような遊びだった。オカルト的な怖さもある遊びだったため、私自身は参加したことがない

「トライトンのSUV派生車」ではなく「新型パジェロ」を作る――。そう決まってからの「社内の動きはすごかった」と渡辺さんは振り返る。パジェロを名乗るからには、往年のファンも納得させられるようなクルマを作らなければならない。そのため、トライトンに「かなり大掛かりな変更」を施して新型パジェロに仕立てたそうだ。

  • 三菱自動車の新型「パジェロ」

    新型「パジェロ」事前説明会には多くの報道陣が詰めかけ、長い質疑応答の時間も挙手が途切れることはなかった。自動車に精通する専門メディア各社もかなり大きな関心を寄せている様子だ

昔のパジェロと比べてみたい? 歴代モデルの写真を一気に見る

オフロードSUV市場に商機あり!

三菱自動車がパジェロを復活させるのは当然、ロマンを追い求めたり、ノスタルジーに浸ったりするためだけではない。「オフロードSUV市場」の盛り上がりを受けての決断だ。

  • 三菱自動車の新型「パジェロ」

    新型「パジェロ」の事前説明会で三菱自動車が示したスライド。2020年には年間370万台だったオフロードSUVの販売台数が、2030年には660万台まで伸びるというのが三菱自動車の予測だ

三菱自動車 商品戦略本部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの板垣邦俊さんによると、オフロードSUVの需要は着実に伸長している。近年は新ブランドが多数参入しており、モデル数が増え続けている状況だ。

街を歩けばトヨタ自動車「ランドクルーザー」やメルセデス・ベンツ「Gクラス」、ランドローバー「ディフェンダー」などを1日に何台も見かける今日このごろ。このタイプのクルマを欲しがる人が世の中にたくさんいることは、容易に想像がつく。

そのぶん、市場のオフロードSUVを見る目は厳しくなってもいる。クルマの先進性や質感に対する要求の水準が上がってきているのだ。

  • 三菱自動車の新型「パジェロ」

    オフロードSUV市場では競争が激化。新型「パジェロ」の品質や商品性が試される

日本での販売は7年ぶり、新モデル登場(フルモデルチェンジ)という観点で見れば20年ぶりの復活となる新型パジェロ。一昔前であれば、テレビ番組の影響もあって「パジェロ」の知名度はとんでもなく高かったわけだが、今回の新型はどのように存在感を高めていくのか。当時より強力なライバルが増えてもいるだけに、一筋縄ではいかないかもしれない。ただ、ランクルのライバルとして、新型パジェロの健闘には大いに期待したいところだ。