中国のBYDが日本の軽自動車規格に合わせて開発した電気自動車「ラッコ」(RACCO)を発売した。日本で最もよく売れる「軽スーパーハイトワゴン」市場に現れたEVの新星・ラッコは、補助金を使えば実質100万円台で購入可能。同カテゴリーの巨星・N-BOXも、うかうかしていられないかも?
ラッコとN-BOXの値段を比較
ラッコは背が高くて両側に電動スライドドアが付いた軽自動車の電気自動車(軽EV)。日本の軽自動車市場で最も売れている「スーパーハイトワゴン」というカテゴリーに属する新型車だ。EVの世界ではテスラと覇権を争う巨人・BYDが、日本の軽自動車規格に合わせて、クルマの土台となるプラットフォームから新造して作り上げた意欲作である。
軽スーパーハイトワゴンのカテゴリーには、ホンダ「N-BOX」、ダイハツ工業「タント」、スズキ「スペーシア」などの人気モデルが顔をそろえる。中でもN-BOXは、日本で最も売れているクルマだ。ところが、同カテゴリーにはラッコが発売となるまで、EVがなかった。日本メーカーが軽スーパーハイトワゴンEVを投入する前に、BYDが機先を制した格好だ。そもそも、海外のメーカーが日本で軽自動車を発売すること自体、今回が初のケースだという。
一般的に、EVはガソリンエンジン車よりも価格が高い傾向にある。ガソリンエンジンを積むN-BOXと比べた場合、EVのラッコにはどのくらいの価格競争力があるのか。両モデルの価格を比べてみよう。
まずはラッコから。このクルマには3つのグレードがある。最高出力64PS、最大トルク160Nm、駆動方式:FF、リン酸鉄チリウムイオンバッテリー搭載は全グレード共通。概要と価格は以下の通りだ。
200:一充電走行距離210km(バッテリー容量22.4kWh)、価格は214.5万円
300Plus:一充電走行距離320km(バッテリー容量35.84kWh)、価格は239.8万円
300Premium:一充電走行距離320km(バッテリー容量35.84kWh)、価格は249.7万円
CEV補助金15万円が使えるので、最も安い「200」グレードは実質100万円台で購入可能、ということになる。さらに、住んでいる地域によっては自治体の補助金も獲得できるので、もっと安く手に入れることも可能だ。
では、N-BOXの価格を見てみよう。N-BOXにはいろいろなタイプがあるが、「ファッションスタイル」「JOY」「スロープ」は除いて、いわゆるベースタイプのN-BOXとN-BOXカスタムの価格をチェックする。
N-BOX:FFが176.88万円、4WDが191.4万円
N-BOXカスタム:FFが199.43万円、4WDが213.95万円
N-BOXカスタム(ターボエンジン):FFが243.65万円、4WDが258.17万円
マイナーチェンジしたばかりの現行型(3代目)「N-BOX」の写真を確認
ラッコの競争力はどのくらい?
ラッコはEVだ。まだ乗っていないものの、これまでに国産のさまざまな軽EVに乗ってきた経験を踏まえ、さらにはBYDのいくつかのクルマに乗った印象も総合すると、ラッコの走りは上質かつスムーズで、ガソリンエンジン搭載の軽自動車とは比べ物にならないくらいのレベルに達しているものと想像できる。
だから、ラッコとガソリンエンジン搭載の軽自動車を比べるならば、少なくともターボエンジンのモデルでなければ不公平だ。
そうすると、ラッコはN-BOXカスタム(ターボ)に対して、十分な価格競争力を持っていると見ることができる。
ラッコはEVなので、自宅に充電環境を整えられない人には買いにくい。ホンダと比べればBYDの販売網は微々たるものだから、そのあたりが不安だという人だという人にもラッコの購入は難しいだろう。ただ、日本にはこれだけ軽スーパーハイトワゴンのユーザーがいるのだから、その中でEVがライフスタイルにピタリとくる人も、確実にいるはずだ。
クルマを使うのは買い物、通勤、送り迎えくらいで、そんなに長距離は乗らない。自宅は一戸建てなので、EV充電設備の取り付けに特にハードルはない。こういう人なら、ガソリンを入れなくても日々の移動を済ませられるEVの恩恵を十分に感じることができる。
ホンダも2028年には「N-BOX EV」を発売する方針。それまでにBYDが軽スーパーハイトワゴンEVの市場でどれだけの橋頭保を築くことができるのかに注目だ。ラッコの販売目標は年間1万台だという。




































































