世界で累計200万台以上が売れているアウディ「Q3」の新型が日本で発売となった。フルモデルチェンジは2020年以来の6年ぶり。ちなみに、電気自動車(EV)ではなくガソリンエンジン車だ。アウディのベストセラーは買って満足な1台? 試乗してきた。
新型「Q3」の写真を一気に見る
組み合わせは4種類
ICE(内燃エンジン車)の新型モデルはこれ以上製造しないと(たしか)宣言していたアウディも、現状のEVに対する逆風には抗えなかったようだ。コンパクトSUV「Q3」の新型は、ガソリンエンジン搭載車として登場した。
搭載するパワートレインは2種類。最高出力150kW(204PS)、最大トルク320Nmを発生するパワフルバージョンの2.0L TFSIエンジン搭載車(クワトロ4WD)と、110kW(150PS)/250Nmを発生するマイルドハイブリッド車(MHEV)の1.5L TFSIエンジン搭載車(FF)だ。
トランスミッションはいずれも7速トロニック。ボディ形状はノーマルのSUVタイプとスポーティーなクーペSUVタイプがあるので、合計で4種類の組み合わせとなる。価格は550万円~628万円。
今回試乗したのは110kWバージョンで、ノーマルグレードの「アドバンスト」にパッケージオプションを加えた「Sライン」仕様だ。
操作系を刷新! 運転しやすい?
新型のエクステリアは、アウディのSUVラインアップである「Q」シリーズのイメージを踏襲。フロントには細目のヘッドライトと大型の8角形シングルフレームを備える。19インチタイヤ(ノーマルのアドバンストは18インチ)を覆うブリスターフェンダーも相まって、コンパクトなボディ(全長4,530mm、全幅1,860mm、全高1,610mm、ホイールベース2,680mm)ながらもダイナミックな印象だ。
インテリアでは、11.9インチスクリーンのバーチャルコックピットプラスと12.8インチのMMIタッチディスプレイで構成するおなじみの「MMIパノラマディスプレイ」がよく目立つ。
大きく変わったのがステアリングホイール周りに統合した新形状のコラムレバーユニットだ。
右側のレバーはシフトセレクター。左側のレバーでターンシグナル、ライトコントロール、ワイパー操作を行う。操作距離の短縮と高い応答性を狙った配置だ。そのおかげで、センターコンソールの収納スペースが有効活用できるというメリットも生まれている。
室内は前後左右ともに十分な空間を確保。リアシートは前後スライド可能な4:2:4の分割可倒式で、ラゲッジは488~575リッター、最大で1,386リッター(スポーツバックは1.289リッター)を確保している。
ライティングはアウディの真骨頂
アウディが得意とするデジタルマトリクスLEDヘッドライトはQ3でさらに進化。2万5,600個ものマイクロLEDを搭載し、照射範囲を大幅に広げるとともに、4種類のライトパターン選択、出発と帰宅時に車両前方にアニメーションを投影するカミングホーム/リービングホーム機能、路面に2本のラインを投影して自車線を照射するオリエンテーションライト、車線変更時に方向指示器と連動して車線端にライティングを映し出すレーンライト、外気温が一定温度を下回ると雪の結晶のマークを投影するワーニングライトなど、新しくて楽しい、さまざまな機能を身につけた。最大30色から選べるマルチカラーのアンビエントライトは、もうお約束といえる装備だ。
アウディにエンジン車が残ってよかった!
アウディといえばこのところEVばかりの試乗だったので、久しぶりのエンジン搭載モデルをドライブすることになる。センターコンソールのスタート/ストップボタンを押すと、遠くで滑らかに「ブーン」と鳴る4気筒のエンジン音が聞こえてきて、なぜか懐かしい気分になる。
ステアリングコラム右側にある例のシフトレバーはカチリとしたクリック感があり、操作にはすぐに慣れた。どちらかといえば、左側のターン/ライト/ワイパー一体型レバーの方が使い方にちょっとクセがありそうだ。
110kWモデルの走りに関しては、直進性も加速力も全く問題なし。ドライブセレクトを使えば状況に応じてダイナミックやコンフォートなどのモード選択ができる。
低速コーナーの出口では、モーターの助けもあって1,610kgのボディがスッと前に押し出されて気持ちいい。
ちなみに、0-100km/h加速は9.1秒(150kWモデルは7.1秒)をマーク。燃費は気筒休止の直噴COD(シリンダーオンデマンド)エンジンが高効率なこともあり、WLTCモードで15.6km/Lとなっている。
中高速でのコーナリングでは、操舵感のいいプログレッシブステアリングのタッチと、縮み側と伸び側を独立して制御する2バルブ式の電子制御ダンピングコントロールが効果を発揮して、背の高いSUVモデルであってもまことにスムーズ。乗り心地は昨今のジャパニーズSUV群に比べるとちょっと硬いけれども、高品質なボディの仕上がりと走りの良さのバランス感覚は、アウディらしさをしっかりと伝えてくる。
新型Q3が多数のアシスタントシステムを搭載しているところも特筆すべき点だ。中でも駐車を容易にするためのメモリー機能(一度走行した駐車ルートを記録し、次回以降はシステムが運転操作を引き継いで駐車を再現する)とリバーシングアシスト機能は面白そう。残念ながら試乗時間が切れたため体験できずだったが、アウディジャパン広報の話では「かなり使える」機能になっているという。実際に試すと車体が少し斜めになって駐車が行われたとのことで、実は自分が斜めに停めてしまっていたことを証明した結果になってしまったのだと笑わせてくれた。
同じセグメントの国産SUVにも400万円を超えるモデルが増えてきている。Q3のベースグレード「110kWアドバンスト」は550万円だ。あとちょっと頑張れば手に入りそうな価格設定も、大きな魅力のひとつである。













































