これまでに「サイズ」「デザイン」「車内」「走り」の面から徹底的に比較してきたトヨタ自動車「RAV4」とマツダ「CX-5」。最後はまとめとして、それぞれのモデルの長所と短所をおさらいしつつ、両モデルがどんなユーザーに適しているかを考えてみた。
「RAV4」と「CX-5」の徹底比較で掲載した写真を一気に見る
完璧な出来栄えのRAV4に短所はあるのか
RAV4の強固な“ハコ”に包まれたような静かでフラットな乗り心地、スムーズな加減速とハンドリング、わかりやすい操作性や広いスペース、万全の安全性能、優れた燃費性能などは、都内の一般道や首都高を走ってみてよくわかった。
新型CX-5が今回のフルモデルチェンジで成し遂げたさまざまな進化も、RAV4では「もうとっくにやっていますよ」という感じで、それがしれっとできているところはすばらしい。世界中で売れる車種はかくあるべし、という出来栄えだが、マイナスポイントはないのかと問われれば、ないこともない。
現行型「RAV4」(6代目)の写真を一気に見る
ひとつは、「先読み」安全機能の部分と思われるが、ナビに従って交差点などに進入する少し前に、モニターが勝手に周囲の状況を映し出す画像に切り替わってしまう点だ。おそらく、設定をいじればキャンセルはできるのだろうが、試乗車では、これがデフォルトの設定になっていた。
短い間隔で右左折する時に画面がいちいち切り替わると、次に曲がる方向がわからなくなってしまうので、知らない道を走った時にはちょっと困った。また、その画面が出るたびに「ビィッ」という警告音のような音が鳴る(これもキャンセルできるのかも)ので、その度にびっくりする。
ナビの音声入力も、反応が速くなったとはいえ、認識の能力は最新のGoogle搭載モデル(例えばCX-5)に比べるとあと一歩。実際に、「東京駅に行きたい」と発声しても行き先の候補を示してくれず、コンプリートするためには「JR東京駅に行きたい」と正確な名称を伝えなければならないという場面があった。
高い販売価格(「アドベンチャー」グレードで450万円~、PHEVのGRスポーツは630万円)や手に入りにくい点も、短所といえば短所なのかも。
上質で安く、ファミリーにピッタリなCX-5
マツダにとって失敗が許されないクルマである新型CX-5は、乗り込んですぐにわかる上質なインテリアや広さが特徴。さらに走り出すと、これまでのマツダ車に多かった乗り心地の硬さが取れていて、ホッとできるほど柔らかで静かになっていた。
新型「CX-5」(3代目)の写真を一気に見る
サイズや安全性能のアップも嬉しいところ。ユーザーの意見を真摯に取り入れ、改良できるところにきっちりと手を入れていて、これまで以上に魅力的なクルマに仕上がっている。
価格面でも、400万円以上が当たり前のミドルサイズSUVの中にあって、330万円(Sグレード2WD)~430.65万円(試乗したLグレード4WD)はかなりの吸引力を持つはずだ。
短所といえるかどうかわからないが、人気だったディーゼルモデルがなくなったのは残念なところ。マイルドハイブリッド(MHEV)一択のパワートレインは燃費(14.2km/L)とトップエンドでのトルク感がイマイチだが、来年にはディーゼルの後釜となるべくストロングハイブリッド(HEV)搭載モデルが導入予定だ。
シンプルで上質なインテリアを導入した反面、物理スイッチ類をほぼなくしたことで、操作性に疑問符をつけるユーザーが出てくるかもしれない。ナビ設定や空調の調整は、Google搭載インフォテインメントシステムに音声で指示を出すことが可能だが、ちょっとした“慣れ”が必要だ。
高価でもリセールバリューが高くて安心のトヨタ車を求める人、アウトドアやレジャーでガンガン使いたい人、ロングドライブが多く燃費を節約したい人などには「RAV4」がぴったり。ファミリーユースが多くて後席を使う機会が多い人、Google機能などデジタル面の進化に興味がある人、都会的で上質かつコストパフォーマンスに優れたモデルが欲しい人には「CX-5」が合っている。
どちらもそれぞれの個性が際立ったモデルなので、使用環境に合った方を選べば満足度は高いはずだ。





