マツダのオープンカー「ロードスター」に乗る若い女性オーナーが急増中? 近く発売となるロードスター改良モデルについての説明会で、販売の実態に関する興味深い話を聞くことができた。改良の内容も併せてお伝えする。

  • マツダ「ロードスター」商品改良モデル

    「ロードスター」改良モデルの発売は2026年9月上旬の予定。予約の受け付けは6月26日に始まっている。画像は新色「ジンクグリーンメタリック」だ。マツダの第6世代商品群で緑系のボディカラーが登場するのは今回が初めて

発売から10年で販売台数が過去最高に

マツダがロードスターの初代モデル(NA)を発売したのは1989年のこと。現行型(4代目、ND)のデビューは2015年5月だ。10年ひと昔と考えれば、NDがいかに息の長いモデルかがわかるだろう。

歴代ロードスターの販売台数の推移を比べてみると、面白い傾向が見えてくる。

  • マツダ「ロードスター」商品改良モデル

    歴代ロードスターの販売台数の推移。赤の折れ線がNDだ(画像はロードスター改良事前オンライン説明会より)

初代(NA)~3代目(NC)が発売初年度から2年目にかけて販売台数のピークを迎えているのに対して、NDは発売から10年目の2025年に初の1万台を突破し、過去最高の販売実績を上げているのだ。

発売から時間が経っても台数を伸ばせた理由は? ロードスターの国内マーケティングを担当するマツダ 国内ブランドビジネス統括本部の神田篤さんは、「7年目以降に990Sや大幅商品改良、35周年記念車といった注目モデルを立て続けに導入できた」ことがひとつの要因だと分析する。

NDロードスター販売実績の約7割を40代以上が占める一方で、若年層(20代)の販売台数は2020年から2025年までの6年間で約2倍に増加している。

若年層の中でも女性購入者に絞ると、販売台数は2020年の56台が2025年には291台と約5倍に伸長。若い女性ユーザーからの支持を伸ばしている実態が浮き彫りとなった。

20代の女性購入者に「ロードスターに当てはまるイメージ」を聞くと、“おしゃれ”“軽快”“運転を楽しめる”といった要素がセグメント平均(同じ分野の他の車種に対するイメージ)に比べて突出しているそうだ。買って満足している点としては、“リセールの良さ”“デザイン”“運転のしやすさ”“スタイルや外観”などを評価する声が多いという。

改良でNDロードスターはどう変わる?

クルマ開発本部 ロードスター主査の齋藤茂樹さんは、今回の改良のポイントとして「特別仕様車PS(ピュアスポーツ)の導入」「走りの進化と車外騒音規制への対応」「新色ジンクグリーンメタリック」の3つを挙げる。

特別仕様車「PS」の特徴

「PS」は、より走りに特化したモデルだ。

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    特別仕様車「PS」の価格は366.3万円~。特別仕様車と銘打ってはいるものの、台数や販売期間に限りがあるわけではなく、いわゆるカタログモデルとして販売を続けていくモデルだ

エクステリアはグレーのソフトトップを採用。この色、2019年モデルの特別仕様車「シルバー・トップ」以来の登場だ。

レイズ製16インチアルミホイールはブラック塗装に変更(従来はガンメタリック)。ブレンボ製ディスクキャリパー(新規設定)とのブラック&シルバーの組み合わせがスポーティーな雰囲気だ。

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    特別仕様車「PS」のインテリア。スエード調表皮のファブリックシートが特徴の「Sスペシャル」をベースに、エアコンダイヤルやエアコンルーバーのアウターリングなどをブラック化。一方、エアコンルーバーのインナーリングはシルバーにするなど、エクステリアと同様のデザイン言語を採用している

走りの進化と車外騒音規制への対応

「走りの進化」では、マツダスピリットレーシングの開発で培った技術と知見を織り込み、各部に専用チューニングを施した。

具体的には、前後サスペンションのスプリングレートを現行比で高める半面、ビルシュタイン製ダンパーの減衰力を下げることで、ロール剛性を高めながら乗り心地を改善し、よりリニアで意のままに操れる走行性能を目指した。

加えて、マツダスピリットレーシングで採用した加速応答改善制御、ヒール&トゥアシスト制御なども採用し、よりスポーティーで意のままに操れる感覚に磨きをかけたという。

「車外騒音規制への対応」は、いわゆる「車外騒音規制フェーズ3」に向けた対策だ。下手をすればロードスターならではの走る楽しさを失う可能性もあったが、マツダは今回の規制対応で新たな価値を作り込むことへのチャレンジを選択した。

具体的には、「静音タイヤ開発」「吸気系の改良」「サイレンサーの大型化」により、車外音を規制値まで下げることに成功。さらに、吸気音と排気音の音色をチューニングしたり、インダクションエンハンサーを標準化したりすることで、定常走行時の静粛性を高めつつ、加速時には車内で音が楽しめる仕上がりとした。

待望のグリーン系NDロードスターが誕生

新色の「ジンクグリーンメタリック」はファン待望の緑系ボディカラーだ。先日の「軽井沢ミーティング2026」(ロードスターのユーザーやファンが集まるイベント)でサプライズ発表され、話題となった。

デザイン本部 デザインクリエイションスタジオ CMFデザイナーの瀬能海翔さんは、工業製品に耐久性を持たせるための防錆塗料「ジンククロメートプライマー」の色や質感から着想を得たカラーだと説明する。

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    「ジンクグリーンメタリック」のNDロードスター。都市でも自然でも映えるクールな印象にするため、ブルーマイカを少し混ぜて、やや青みを持たせた色相にしているそうだ

ロードスターといえば、NAの「ネオグリーン」や「ブリティッシュレーシンググリーン」など、グリーン系は定番かつ人気のカラーだった。ところが、「魂動デザイン」を採用する第6世代商品群では、「ソウルレッド」をプロダクトブランドカラーとしたこともあってか、赤とは正反対の色相に位置する緑系のボディカラーがこれまで採用されていなかった。

つまり、「ジンクグリーンメタリック」をまとうNDは、待望のグリーン系NDロードスターと言えるのだ。

瀬能さんによれば、「ジンクグリーンメタリックの一押しコーディネーションはもちろん『PS』ですが、スポーツタン内装の『Vセレクション』など、他グレードでも選んでいただけるカラーとなっています。『Vセレクション』は往年の『Vスペシャル』を彷彿とさせる緑とタンの組み合わせになります」とのこと。どのグレードに緑を組み合わせるのかを考えるのも楽しそうだ。