「若者のクルマ離れ」どころか、今では若い人たちの間で「ヤングタイマー車」が大人気だと聞く。レトロブームの一環なのかもしれないが、本当なのか。ヤングタイマー車オーナー向けカーフェスイベントを主催したtokyo basic car club代表取締役/CEOの南部翔也さんに実際のところを聞いてみた。
ヤングタイマー車が若者を惹きつける理由
「ロマンティックカーズ」はヤングタイマー車を中心としたカーフェスだ。ヤングタイマー車とは1980年代~2000年代前半に販売されたクルマのこと。ちなみに、それ以前のクルマは「オールドタイマー車」と識別される。
イベントはクルマのスペックやグレードではなく、「なぜそのクルマを選んだのか」という個人の物語の共有を目的とし、会場にはドライブインシアターを併設するなど、愛車と一緒に過ごす時間を楽しむ企画も盛り込まれた。
イベントを主催した南部さんは、ロマンティックカーズの開催意図を次のように話す。
「昔はそれこそ、野良カーミーティングというか、夜中の埠頭や公園で溜まるみたいなことはしていましたが、さすがに今、会社としてそれをすることはできません。ただ、たとえ小さな接点だとしても、僕らとつながっている人たちが一度に集れる、ちゃんとしたコミュニティを作りたいという思いは持っていました」(以下、カッコ内は南部さん)
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現在32歳と自身もクルマ離れ世代に該当する南部さん。tokyo basic car clubのメイン事業として中古車販売を手がけるなかで、「最近は感度の高い若い方を中心にクルマを買う方が増えてきた」と感じているという
もともとクルマオタクというわけではない若年層がクルマを所有しても、クルマ仲間ができにくいという事情もあるそうだ。
「所属するコミュニティの中で、誰かがクルマを買ったからそれに影響されるみたいなことはあったとしても、もともとクルマオタクではないので、例えばどこかのオーナーミーティングに参加することは、なかなかハードルが高かったりします。そのため、クルマを購入しても、クルマ友達の輪があまり広がっていないなという感覚がありました。だったら、そういう場を僕たちが作ってやろうという思いも、イベントを企画した理由のひとつですね」
イベントの中心となるヤングタイマー車は、クルマ離れが進んでいるとされる若年層に売れている傾向が見られるという。ヤングタイマー車のどんなところが若者の心に刺さるのか。南部さんの見解は次の通りだ。
「ひとつはデザインだと思います。規制など諸々の事情があって、若い子にグッとくる新車がないというのは、各自動車メーカーもおっしゃられているところです。また、もっと古い60年~70年代ごろのオールドタイマー車になると維持が難しく、少し世界観も違ってきてしまいます。そんな事情もあって、ちょうど真ん中くらいに位置するヤングタイマー車のデザイン性や、扱いやすくて金額的にも手が届くというところが、感度の高い若い方にハマったのだと思います」
南部さんは若者のクルマ選びについてもある傾向が見られると指摘する。
「例えばY30系(セドリック/グロリア)のワゴンやバンは人気ですが、これはストリートカルチャーとのつながりがあると思います。やっぱりクルマにも、ファッション同様に山系や海系というのがあって、Y30系のバンはスケボーやヒップホップが好きな子たちがこぞって買っている感じです。特に若年層については、速いクルマや高いクルマが欲しいのではなく、自分のファッションやルーツになっているようなカルチャーとマッチするクルマを探している傾向にあるのかなと思います」
今回が初開催のロマンティックカーズでは、来場者が思い思いにコミュニケーションをとる姿が見られた。クルマカルチャーの輪が広がっていく様子を目の当たりにした南部さんは第2回、第3回と継続開催への意欲を見せる。今後の構想については、次のような話を聞かせてくれた。
「コンテンツの拡充ですね。今回で言えば、ランドクルーザーの工具を作っているトヨタのサプライヤーさんに、実際にランドクルーザーで使われていた鉄の素材を用いたプレート作り体験を出展していただきました。こうしたコンテンツは僕らで用意していますが、イベントの主役はやっぱり参加されている方々のコミュニケーションです。なので、もっと自然な出会いが生まれるような仕掛けを盛り込んでいきたいと思います」
なお、開催場所については、「一般的なカーミーティングはどこかの駐車場など、あまりロマンがない場所で開催されることが多いので、大磯のようにロマンあふれる場所でやりたいなと思っています」とのことだ。
仕掛け人が「ゴルフⅡ」を愛車に選んだ理由
そんな南部さんも、1991年モデルのフォルクスワーゲン「ゴルフⅡ」に乗るヤングタイマー車オーナーの1人だ。
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南部さんが所有する「ゴルフⅡ」の車両サイズは、全長4,050mm×全幅1,665mm×全高1,415mm。最高出力54ps(40kW)/4,500rpm、最大トルク10.2kg・m(100.0N・m)/2,750rpmの1,588cc・水冷直列4気筒OHCエンジンに5速+1速のトランスミッションを組み合わせる
「ゴルフ」は1974年に初代モデルが登場して以来、モデルチェンジを繰り返しながら現在まで生産されるロングセラーモデル。累計販売台数3,000万台以上を記録する名車だ。その2代目モデルとなるゴルフⅡは、1983年から1992年にかけて生産された。
南部さんがゴルフⅡを購入したのは今から10年前。まだ広告代理店のサラリーマンとして働いていた頃のことだという。
「当時も洋服や音楽などのカルチャーが好きでしたが、そのなかで、何かクルマが欲しいと思っていました。もともと子供の頃からクルマ好きということもあり、いろいろと見ましたが、やっぱり新車にはグッとこないし、かといって古すぎるクルマは扱えないとなって、この年代のクルマになりました」
時代背景もあり、ヤングタイマー車時代は日本車の黄金期とも重なる。そのなかで、なぜ「ゴルフⅡ」を選んだのか。
南部さんに尋ねると、「僕自身、社名に入れるくらいベーシックなものが好きということがあります。ファッションもオーセンティックなベーシックスタイルが好きで、身の回りのものもだいたいそんな感じです。それをクルマに例えると何だろうって考えた時に、世界の大衆車と言われるほど世界的に売れたクルマが自分には合っているのかなと思い、ゴルフⅡにしました」とのことだった。











