日産自動車が日本でSUV「ムラーノ」の受注を開始した。米国生産車を日本に輸入して販売するもので、グレードは「SV」のみ、価格は796.4万円だ。過去には日本でも販売していたムラーノとはどんなクルマなのか。初代からの歴史をひもとき、現行型の特徴を見ていく。
日産ムラーノ日本仕様の実物写真を一気に見る
過去には日本でも買えたムラーノの歴史
1999年に日産のCEOに就任したカルロス・ゴーンは同年、人員削減や工場閉鎖、サプライヤー縮小を軸とした「日産リバイバルプラン」という大胆な再建策を開始した。2002年5月には、グローバル販売台数を100万台増加させ、営業利益率8%の達成、さらには自動車事業の実質有利子負債ゼロを目標とする経営計画「日産180」を発表した。
「日産180」の発表直前にあたる2002年3月の「ニューヨーク国際オートショー」で日産が発表したのが、初代ムラーノだった。同年11月には北米での販売が始まった。
ムラーノは日産初のクロスオーバーSUVである。当時の日産SUVは日本では「サファリ」「テラノ」「エクストレイル」、北米ではトラックベースの「エクステラ」と「パスファインダー」(日本におけるテラノ)というラインアップで、かなりクロスカントリー寄りだった。
ムラーノはそうした日産のSUVラインアップに新しい風を吹き込む起爆剤となったのだ。
日産の経営状態を知らせるニュースリリースには、北米でムラーノが好調であることが毎月欠かさず記載され、その勢いを伝えた。
当初、ムラーノは北米専用車種であったが、世界各国から多数のオファーがあり、グローバルにマーケットを拡大。2004年9月には日本でも発売となった。2004年時点での日産の国内ラインアップはセダンが「サニー」から「セドリック&グロリア」までの7車種、ミニバンも「キューブキュービック」から「リバティ」までの同じく7車種、対してSUVラインアップは「キックス」(当時は「パジェロミニ」のOEM)を含めて4車種と、現在からは考えられないほどセダンとミニバンの比率が高い時代だった。
初代のムラーノは「FF-Lプラットフォーム」を用いている。このプラットフォームは「ティアナ」や「プレサージュ」などの日本仕様のほか、ルノーサムスンのモデルでも採用されているが、基本的にはムラーノのほかは「アルティマ」「マキシマ」「クエスト」など北米中心モデルに使われている。
搭載されたエンジンは3.5リットルのV型6気筒が中心で、日本仕様には2.5リットルの直列4気筒も設定。V6エンジンにのみ4WDが設定された。2008年まで販売(在庫を除き、以下同)され、アメリカとカナダを合わせた初代の販売台数は約37万6,000台だった。
2007年12月のロサンゼルスモーターショーで2代目ムラーノがデビューする。初代の勢いを引き継いだムラーノは当初からグローバルモデルとして開発された。選ばれたプラットフォームは「Dプラットフォーム」で、これは先代FF-Lプラットフォームの後継に当たる。ほかの車種ではFF-Lとほぼ同じモデルに使われているが、「エルグランド」(E52)や多くのルノー車にも採用車種が拡大されている。日本での発売開始は2008年9月。
搭載エンジンは先代同様3.5リットルV6と2.5リットル直4の2種でスタートしたが、シリーズ途中で欧州向けに2.5リットルディーゼルを設定している。初代はFFを基本として4WDを設定したが、日本仕様の2代目は最初から4WDのみの設定で販売された。日本でのFFモデルの追加は2010年1月で、2.5リットルモデルにのみ設定された。2015年まで販売され、アメリカとカナダを合わせた2代目の販売台数は約40万台。
2013年の「デトロイトショー」で発表となったのが、3代目ムラーノのコンセプトモデルだ。市販仕様は2014年に北米で発売となった。この3代目については日本には正式に輸入されていない。また、欧州での販売も見送られた。
3代目モデルもDプラットフォームを採用した。搭載エンジンも従来どおりの3.5リットルV6と2.5リットル直4だが、中国市場向けには2.5リットルエンジンにスーパーチャージャーを組み合わせ、さらにバッテリー&モーターも追加したストロングハイブリッドも設定した。3代目は10年にわたって製造販売されたため、アメリカとカナダだけでも66万3,000台の販売台数を記録している。
日本導入モデルの特徴は?
今回日本に入ってくるのは、2024年10月に発表、2025年に発売となった4代目(現行型)ムラーノだ。
プラットフォームはDプラットフォームだが、かなり進化したタイプとなっているだろう。初代から使われてきた3.5リットルV6エンジンと2.5リットル直4エンジンに代わって、新しい2リットル直4エンジンを搭載している。中国市場はEV中心となっているため、現行ムラーノはアメリカやカナダなど北米を中心としたモデルとなった。言ってみれば、初代のコンセプトに戻ったような形だ。
さて、日本に導入されることが決まったムラーノ。今回のムラーノは左ハンドル仕様のまま輸入される。日本での価格は796.4万円。輸入されるグレードはSV。SVはベーシックグレードにあたり、アメリカでの価格は4万1670ドル(筆者調べ、カリフォルニア価格)から。日本円に換算すると約670万円だ。北米仕様はひとつ上に「SL」、最上位に「プラチナム」があり、各グレードの機能関連は同一で、グレード差は装備品の違いなどによるもの。
搭載するエンジンは3代目とはまったく異なり、2リットル4気筒のVCターボとなる。VCとは「Variable Compression」の略で、日本語だと可変圧縮比となる。ターボの形式かと思われがちだが、VCとターボはそれぞれ異なる技術で、これを組み合わせて使っている。圧縮比は8.0~14.0の間で可変。燃費を重視する低負荷時は高圧縮で運転、加速や登坂など高トルクが必要なときには圧縮比を落としターボで積極的に過給する。
従来、日本仕様でVCエンジンを搭載しているのはエクストレイルのみで、排気量1.5リットルのみだったが、今回のムラーノが搭載するのは2リットル版のKR20DDETだ。最高出力は245馬力、最大トルクは352Nm。使用燃料はレギュラーとなる。組み合わされるミッションは9速のATで、駆動方式は4WDのみの設定。
アメリカ仕様ではオプションとなる20インチホイール&タイヤを標準装備。プロパイロット、インテリジェントアラウンドビューモニター、12.3インチディスプレイオーディオ、運転席&助手席パワーシート、ワイヤレス充電、USBタイプC電源ポートなども標準装備となる。






















































