スバルが販売好調なミドルサイズSUV「フォレスター」の衝突実験を報道陣に公開した。轟音と共に激しく台車とぶつかったフォレスターは、見るも無残な姿に……。スバルがフォレスターの衝突シーンを公開して伝えたかったこととは?

  • スバル「フォレスター」の衝突実験

    スバル「フォレスター」は日本一安全?

スバル「フォレスター」の写真を一気に見る

「新オフセット前面衝突」の全貌

フォレスターはナスバ(独立行政法人自動車事故対策機構、NASVA)の自動車アセスメント(JNCAP)で「自動車安全性能2025ファイブスター大賞」を受賞した。「日本一安全なクルマ」とのお墨付きを得たわけだが、スバルは実際の安全性を証明すべく、報道陣に衝突実験を公開した。

実験が行われたのは、群馬県太田市内のスバル群馬製作所にある広大な屋内衝突実験施設だ。公開されたのは「新オフセット前面衝突」で、自車と台車がそれぞれ50km/hで走ってきて車幅の50%の位置で正面衝突し、「自分の車に乗っている人がどれだけ安全か」と「衝突した相手の車に与えるダメージをどれだけ抑えられるか」を点数化するというもの。JNCAPが2024年に導入した新しいタイプの前面衝突実験で、ゼロ時安全や予防安全で防ぎきれなかった事象に対して、最後の砦として乗員を守るとともに、衝突相手も守る「相互安全」を重視したテストだ。パーツ飛散時の安全のため、立ち合い者には帽子とメガネ、長袖着用が義務付けられた。

10、9、8……テンカウントの後、静まり返った会場内には「ウイーン」という音が響き渡る。ワイヤーが台車とフォレスターを引っ張る音だ。音が次第に大きくなり、緊張感は極限状態に。その後、「ドーンッ」という大音響を発し、目の前で2台が衝突した。

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ぶつかったフォレスターは一瞬でボンネットが「く」の字に折れ曲がり、バンパーが前方にちぎれて飛散するとともに、衝撃を吸収した内部構造が剥き出しになった。車体後方が2度ほどバウンドして静止するまで、わずか2秒ほどの出来事だ。

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車体間近に近寄って担当者に解説を聞くと、高強度材を効果的に配置したスバルグローバルプラットフォーム(SGP)とバンパービームの外側拡大、さらにはサブフレームを追加したことが効果を発揮して、衝突してもクラッシャブルゾーン(エネルギー吸収ゾーン)とキャビンゾーン(生存空間)がしっかりとエリア分けされていることが証明できているという。

  • スバル「フォレスター」の衝突実験
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その証拠に、ドアノブを引っ張ってみると、ちょっとした抵抗があったものの簡単に手で開けることができた。人間の骨格や筋肉の動きに近い最新型の「THOA」(ソア、運転席と助手席のダミー人形)も、ダメージが最小限に抑えられていることがわかった。

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乗員だけでなく歩行者も守る

会場内にはそのほか、JNCAPで実際に使用した「フルラップ前面衝突」(硬いコンクリートの壁に55km/hで正面衝突する)のテスト車両を展示。こちらも、グシャリと潰れたボンネット部に対してキャビン部分がほぼそのままの形で残っており、生存空間がしっかりと確保されている状態だった。

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さらに、歩行者と自転車利用者に対する安全対策を施した、サイクリスト対応歩行者保護エアバッグを広げたフォレスターも置いてあった。

交通事故死における歩行者の割合は約4割、サイクリストは1割で、全体の約半数をこの2つが占める。サイクリストは歩行者に比べて腰の位置が高くなるため、衝突時には体がフードに乗り上がりやすくなり、Aピラーなど車両後方の部位に頭部が衝突するケースが多いという。フォレスターのエアバッグはこれに対応した形状(幅広のU字型)で展開する。これもレベル5の最高評価が与えられたポイントなのだという。

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なぜスバルは高評価を獲得できたのか

JNCAPとは、国(国土交通省)とナスバが一体となり、1995年から実施している自動車の安全性能比較評価テストのこと。事故を防ぐための新しい技術である「予防安全性能」、事故時に人を守る「衝突安全性能」、重大な事故が発生した場合に備える技術「事故自動緊急通報」の3つの項目を総合評価するもので、結果は点数や星の数でわかりやすく公表される。

フォレスターは「アイサイト」などの独自技術によって、歩行者や自転車との事故や、交差点での事故を効果的に防止する「予防安全性能」の全ての項目でレベル5のAランクを獲得。独自技術であるサイクリスト対応歩行者エアバッグを採用し、歩行者頭部保護性能試験で高い評価結果を得るとともに、後面衝突頚部保護試験や座席ベルトの非着用時警報評価試験でも高評価を得た。結果、「衝突安全性能」の全ての評価項目でレベル5のAランクとなった。

また、エアバッグが作動するような大事故の場合、自動でコールセンターに通報するだけでなく、乗員の障害予測のための情報も送ることができる緊急システムを搭載。ドライバー異常対応システムなども搭載する最新のシステムで、「事故自動緊急通報」でも高評価を獲得した。

総合評価として、スバル「フォレスター」は総得点198.3点満点中184.6点という非常に高い得点を獲得。自動車安全性能2025において唯一のファイブスター賞を受賞し、受賞者の中で最高得点を得たものに与えられる「自動車安全性能ファイブスター大賞」に輝くことになったのだ。

スバルでは、死亡事故ゼロの実現に向けて、緩むことなく技術開発と実験を継続していくと表明している。