V型8気筒ツインターボエンジンをフロントに積むフェラーリのスポーツカー「アマルフィ」にオープンボディの「スパイダー」が加わった。
フェラーリは昔から、オープンスポーツカーを数多く手掛けてきたブランドだ。その背景を解説するとともに、アマルフィ・スパイダーの特徴を実車で見ていこう。
フェラーリにとってオープンモデルとは?
フェラーリというと、流麗なシルエットの「ベルリネッタ」(クーペ)を思い出す人が多いだろう。でも、このスポーツカーブランドは昔から、「スパイダー」と呼ばれるオープンモデルを数多く用意してきた。
現在のラインアップでも、ほとんどの車種にオープンボディを用意している。2025年の夏に日本上陸を果たした「アマルフィ」にも、予定どおり(?)スパイダーが追加となった。
ベルリネッタ(クーペ)のアマルフィはどんな雰囲気? 写真ギャラリーはこちら
なぜフェラーリはオープンモデルを大事にしているのか。それは、オープンカーの人気が根強い米国が、フェラーリにとって最大のマーケットであり続けているからだ。
これはフェラーリに限った話ではなく、ポルシェ「911」が伝統的にカブリオレを用意しているのも、米国で一定の支持があるからだ。でも、どちらがオープンカーに積極的かといえば、フェラーリのほうが上かもしれない。
1950年代には「スーパーアメリカ」や「カリフォルニア」など、米国にまつわる車名を持つフェラーリが登場している。「デイトナ」は24時間レースが行われるフロリダ州のサーキットの名前だ。しかも、これらのネーミングは21世紀に入って、復活を果たしてさえいる。
ちなみに、日本でのフェラーリの販売はどうかというと、なんと世界第3位に入っている。そのためだろう。アマルフィ・スパイダーは3月12日にイタリア本国で発表となってから、わずか13日後の25日に日本でお披露目となった。
自分にとってはまったく縁のないクルマではあるけれど、日本はそれだけフェラーリにとって重要なマーケットということなのだろう。
スパイダーとしては異例のファストバック
アマルフィ・スパイダーはV8エンジンをフロントに積み、2+2のキャビンを持つスポーツカーだ。「カリフォルニア」から続くスタイルである。
カリフォルニアと後継モデルの「ポルトフィーノ」はリトラクタブルハードトップ(金属の屋根)だったが、アマルフィの先代にあたる「ローマ」ではベルリネッタとスパイダーを作り分けることになり、アマルフィもその路線を受け継いだ。
ちなみに、現行フェラーリのスパイダーは、アマルフィ以外はすべてリトラクタブルハードトップなので、クラシカルなソフトトップ(ファブリックの屋根)を備えたオープンモデルはアマルフィ・スパイダーだけになる。
フェラーリ・ジャパンが東京都内で開催した発表会に登場したアマルフィ・スパイダーは、鮮やかなグリーンのボディカラーに目を奪われたものの、ドアより前側は、半年ほど前に発表会場で目にしたクーペと同じだ。
フェラーリ伝統の4連コンビランプをLEDを用いてスリムにし、上に可動式スポイラーを内蔵したリアビューも共通である。
ホイールは別物に見えるが、ベルリネッタではブラックだった部分がシルバーになった。スパイダーのエレガントな雰囲気には、こちらのほうが合っている。
では、オープンになったキャビンまわりはどうかというと、後方の盛り上がりが目立つ。ソフトトップを上げた姿はさらに印象的で、リアウインドーとトランクリッドが一直線でつながり、クーペと同じファストバックスタイルになっている。
先代にあたるローマ・スパイダーも似たようなフォルムだった。同モデルの雰囲気を受け継いだことがわかる。オープンスポーツカーというと、直立気味のリアウインドーと水平のトランクリッドからなるスタイルが多かったので、新鮮なプロポーションだ。
ソフトトップは5層構造でハードトップ並みの快適性が得られるという。開閉時間はわずか13.5秒で、60km/h以下なら走行中も操作可能だ。トランク容量は、屋根を閉じた状態で255リッターを確保。これらの点もローマ・スパイダーと一致している。
ソフトトップ風素材をキャビンにも展開
ローマ・スパイダーとの違いとしては、トランクリッド中央部にあった可変スポイラーが後端に移動したことに伴って、リアウインドーの直後にシート背後やソフトトップと同様の風合いを持つパネルが設けられている。
ローマ・スパイダーはリアスポイラーの部分だけが黒かった。アマルフィ・スパイダーについては、ソフトトップとキャビンやボディの連続感を出したという説明どおり、スムーズな姿になっている。リアシートのヘッドレストの盛り上がり部分も丸みを帯びて、艶やかさを引き立てていた。
インテリアはクーペ同様、ドライバーとパッセンジャーを2つの空間で包み込む「デュアル・コクピット・レイアウト」を継承している。
クーペと違うのは、ドアトリムやセンターコンソールの斜めのアクセントパネルに、ソフトトップ風のファブリックが貼られることだ。アイボリーのレザーシートともども、ブラック基調だったクーペとは一転して華やかな空間になっていた。
オープンカーで気になる走行中の後方からの風の巻き込みについては、リアシートの背もたれが電動で跳ね上がるディフレクター(特許取得)で対応している。こちらもローマ・スパイダーと同じだ。
メカニズムはクーペと同じで、最高出力640psを発生する3.9リッターV型8気筒ツインターボエンジンに8速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせ、後輪を駆動する。このエンジンが発するサウンドを光や風とともに味わえることも、アマルフィ・スパイダーの魅力になるだろう。





















