ランボルギーニの超高性能なスーパーカーで北国の冬を走ると、どうなるのか。最高出力920PSを誇る「テメラリオ」を2月半ばの北海道で試すことができたので、レポートする。スタッドレスタイヤで削られた路面にテメラリオはどんな反応を示すのか!
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テメラリオの性能は異次元の領域に
2024年にワールドデビューしたランボルギーニの最新V8ハイブリッド・スーパースポーツモデル「テメラリオ」。フラッグシップの「レヴエルト」に続くランボルギーニHPEV(ハイパフォーマンススポーツカーの略)の第2弾だ。
そんなスーパーマシンで冬道を走る「テメラリオ・BULL RUN at 北海道」が2月半ばに開催された。筆者はこれまでも、何度かランボルギーニ車を使った冬季の海外試乗会に参加しているが、日本のイベントには今回が初参加。ワクワクする気持ちを抑えつつ、新千歳空港に降り立った。
テメラリオはランボルギーニが独自開発した排気量4.0LのV型8気筒ツインターボエンジンをコックピットの背後に搭載する。1万回転まで回すことができるエンジンで、最高出力は800PSだ。そこに前2基、後1基の計3基のモーターを組み合わせ、システム総合で920PSを発生するPHEV(プラグインハイブリッド)システムである。
パフォーマンスは最高速度340km/h超、ゼロヒャク加速は3.0秒を切る2.7秒。1世代前のスーパーカーを大きく上回る、最新世代らしい性能を発揮する。ランボルギーニが「Fuoriclasse」(フォリクラッセ)と呼んでいる通り、これまでとは次元が違う。技術的にもスタイル的にも傑出したクルマだ。
乗り心地は意外と(?)快適
筆者が乗ったブルーのテメラリオは、足元に「ブリザックLM005」という聞き慣れない名称のウインタータイヤを装着していた。
2025年に参加したテメラリオのサーキット試乗会では、ブリヂストンが同モデルのために共同開発した「ポテンザ」を履いていた。今回のブリザックも同様で、ブリヂストンが欧州で開発・製造する専用カスタムタイヤだ。
名称からして「ランボルギーニっぽい」このタイヤはV字シェイプのトレッドパターンを持っていて、日本のブリザックよりブロック剛性を高めに設定してあるとのこと。つまりはオールシーズンタイヤに近い性格を持つのだという。
試乗コースは新千歳空港から室蘭までを往復する約200km。当日の路面は完璧な除雪が行われた状態で、一般道のアスファルト路面は相当に荒れた凹凸が顔を出している。北海道の厳しい気温変化やスタッドレスタイヤに削られたせいだろう。雪上走行は諦め、そうした道路でのテメラリオ、さらにはブリザックの乗り心地を味わうことに頭を切り替えた。
いつものようにコンソールセンターにある戦闘機のようなスタート/ストップボタンでシステムをONにし、ステアリング左の赤い走行モードダイヤルで「STRADA」を選び、右パドルでギアを入れてスタートする。
駐車場から一般道に出るまでのスピード(30km/hまで)では、無音のモーター走行が続く。電動スーパースポーツモデルならではの不思議な感覚だ。スピードが乗り始めると、背後のV8が「ギャイィィン」と目覚める。
800PS/9,000~9,750rpm、730Nm/4,000~7,000rpm、1万回転を許容するエンジンを積んでいるが、モーターの助けもあり、制限速度で走る分には2,000回転も回っていれば十分。ムズがる事もなく、そのフレキシブルさはもう普通車並みといっていい。
連続する凹凸やちょっとした穴ボコを通過する時には、相当なショックが伝わってくると思って身構えていたのだが、全然といっていいほどテメラリオはスムーズに通過していく。「ボコン、ボコン」という音は車内に伝わってくるけれども、超高剛性のアルミスペースフレーム、サスペンション、ブリザックがミックスされた走りは、「快適」とまではいかないけれど、想像を超える良好な乗り味を示してくれたのだ。
レーシングドライバーの土屋圭市選手はテメラリオの足について、「ランボとブリヂストンが共同開発したおかげで、サスペンションとタイヤ(ポテンザ)の波長が合っている感覚がある」と評されていたが、ウインター(ブリザック)の方も同様な結果をもたらしているのだろう。LM005はディーラーオプションで手に入る(価格は聞き忘れた)そうなので、冬でもガンガン乗りたいというオーナーさん(ウラカン各モデルとレヴエルトにも対応)なのであれば、声掛けしてみてはいかがだろうか。
180度のフラットプレーン型クランクシャフトを採用し、最大ブースト圧2.5バールを誇る大型ツインターボをV8の中に抱いて1万回転を発揮するエンジンはとても魅力的だが、今回は920PSの10分の1ほどしか使っていないと思われる。
現代のクルマらしく、ちょっとルーミーになって快適なコックピットでの試乗だったが、眼前に広がる大型メーターやステアリングに取り付けられた4つのダイヤル(街中ではリフターを多用した)、背後で吠えるV8ツインターボなど、ファイティングブルの精神を忘れていないのも確か。多分、北海道初お目見えとなるテメラリオだったからだろうか、信号で並んだクルマや対向車からは、絶えず熱い視線を浴び続けた。
【フォトギャラリー】テメラリオ
ランボで雪上を走るとどうなる?
ランボルギーニは厳しいコンディションの冬の試乗会が大好きな自動車メーカーだ。残念ながら、今回の試乗会では雪上走行が叶わなかったのだが、筆者は以前、海外で行われた雪上試乗会に2回参加したことがあるので、「雪上のランボはどうなのか」をお伝えするため、記憶を呼び起こしたい。
直近の体験は、2019年12月にイタリアで開催された「クリスマス・ドライブ」。場所は「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」が行われたコルティナ・ダンペッツォから見るとひと山反対側にある、標高3,000mを超えるスキー場やイタリアアルプスの麓だった。
ランボルギーニの売れ行きがよかった世界10カ国から、1名ずつのジャーナリストが集まったクリスマス・ドライブでは、極寒でアイスバーンになった路面を「ウラカンスパイダー」に乗って走った。しかも、ランボの粋な計らい(?)で、メンバーはサンタクロースの格好をしてステアリングを握った。
「アヴェンタドール」のSモデルは強烈なシングルクラッチのシフトショックがあるので、雪の壁に囲まれた狭い凍結路を走るのには相当な緊張感を強いられたのを思い出す。ちなみに、この時のタイヤはピレリのウインタータイヤ「ソットゼロ」(0度以下、という意味)だった。
そうした雪道試乗でもビビらずに参加できたのは、2015年に米国コロラド州デンバーの高級リゾート地アスペンで開催された「ウインター・アカデミア」に参加した経験があったから。場所は雪が積もったクローズドのアスペン・モータースポーツパーク。お題は「ランボルギーニのスーパースポーツモデルで、雪道を速く安全に走るためのドライブテクニックを学ぶ」というもので、参加費はドライバーが6,995ドル、同伴者が695ドルというユーザーイベントだった。筆者はメディアとして参加した。
試乗車となったウラカンとアヴェンタドールは、ピレリ「ソット・ゼロ」に1本あたり200~300個のピンを打ち込んだ特製スパイクタイヤを装着。インストラクターは2001年シーズンにアロウズからF1に参戦していたエンリケ・ベルノルディさんという豪華版だ。
筆者のことを、当時のライバルだった日本人ドライバーの佐藤琢磨さんにちなんで「タクマ」と呼び始めたベルノルディさんは、助手席から「ガス! ガス!」(もっとアクセルを踏めっ)と叫び続け、うまくドリフトが決まると「タクマより正確だぞ」と誉めてくれた。
ウラカンでうまくいったので、アヴェンタドールで調子に乗っていたらストレートエンドで曲がりきれず、ドリフトの当て舵が遅れてコースアウト。スタッフに押してもらってすぐにコースに戻れたが、後続車の皆さんにはご迷惑をおかけしてしまった。

































