プラグインハイブリッド車(PHEV)の市場を開拓した先駆者といえば、三菱自動車工業です。
2013年には世界初となる「SUVタイプのPHEV」として「アウトランダーPHEV」を国内市場に投入。同モデルはその後、世界60カ国以上で累計43万台以上が売れる人気車となりました。国内では2025年3月に累計販売10万台を突破しています。
ここのところ車種が増えつつあるPHEVですが、このクルマは何が便利で、どこがスゴイのでしょうか。PHEVはクルマが電気自動車(EV)に移行すれば消えてしまう「儚いクルマ」なのでは? なぜ小型車や軽自動車にPHEVはない? そんな基本と疑問を三菱自動車にぶつけてみました。回答してくれたのは同社広報部です。
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PHEV開発の始まりは?
――そもそも、なぜ三菱自動車はPHEVを作ろうと決めたのでしょうか?
三菱自動車:もともとのPHEV開発のスタートは、電気自動車(EV)「i-MiEV」(アイ・ミーブ、世界初の量産EV)を作った時に感じたEVの良さをもっと大きなクルマで味わいたい、家族や荷物を載せて、充電を気にせず、遠くまで走りたいという要望からでした。EVの良さというのは走りの良さ、静かで力強くて山道でもすいすい走る気持ちよさです。
これをEVで実現しようとすると、どうしてもバッテリーがネックになります。そこで、重くて大きくて値段が高いバッテリーを必要十分な分だけにして、足らないところ、電池切れやバッテリーの弱いところはエンジンで助ける、という発想で開発しました。
――PHEVの魅力って何ですか? 三菱自動車の強みは?
三菱自動車:三菱自動車のPHEVはEV由来で、日常的な通勤や買い物などでは電気だけで走ります。週末に遠出するときでも、電池がなくなったらエンジンで補うので、充電を気にせず、家族でたくさんの荷物を積んで高原や海まで走ることができます。
また、走行用バッテリーから家庭用100V電源を取り出せるので、例えば、海水浴の帰りにドライヤーが使えたり、スキー場でホットカーペットが使えたり、停まっているときでも電気が使える便利な車です。
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写真は三菱自動車の現行型「アウトランダーPHEV」。2024年10月の大幅改良を経た最新版です。こちらのモデルは日本、欧州、カナダで販売を開始しており、2026年度内にはアメリカ、メキシコ、豪州、ニュージーランド、チリなどに順次投入するとのこと。グローバル展開がさらに加速していきます
PHEVは現実的な電気自動車?
――「EVシフト」が急速に進むという見方は後退して、今後しばらくはハイブリッド車の全盛期が続きそうな情勢です。PHEVの注目度も高まっているように感じますが、今後の見通しは?
三菱自動車:もともと「EV全面移行」というシナリオは少し恣意的に感じていたので、現実的なバランスが取れてきているように思います。
EVがダメでハイブリッドがよい、というわけではなく、EVの得意なところはEVで、ハイブリッドの得意なところはハイブリッドでという風に、電動化の多様性が受け入れられてきたと思います。その中でPHEVは、EVの良さを得られてEVの弱さも補える”現実的な電気自動車“として、受け入れられていくと思います。
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現行型「アウトランダーPHEV」は「BLACK Edition」「P Executive Package」「P」「G」「M」の5グレード展開。EV走行換算距離は102km(Mグレードのみ106km)。価格は529.43万円~673.53万円です(写真は「P Executive Package」グレード)
――とはいえ、EVシフトが進むという方向性自体は変わらないものと思われますが、そうすると、PHEVはそのうちなくなってしまう「過渡期のクルマ」になってしまうのでは?
三菱自動車:クルマが完全にEVに移行してしまえば、PHEVは過渡的な乗り物だったということになると思いますが、少なくとも、内燃機関が残り続けている間はPHEVも残り続けると思います。
液体燃料のエネルギー密度はバッテリーの約180倍、体積エネルギー密度でも約50倍です。そう考えると、内燃機関のすべてがバッテリーに置き換えられるとは考えにくいのが現実です。一方で、環境課題、カーボンニュートラル社会をめざすとすると電動化は必要です。そういった意味でも、“現実的な電気自動車”としてPHEVは存在していくと思います。
――素朴な疑問なのですが、小さなクルマでPHEVを作るのは難しいのでしょうか? コンパクトカーや軽自動車にPHEVがあれば、もっと普及しそうな気がするのですが。
三菱自動車:今のところ、コンパクトカーや軽自動車でPHEVを作ることは考えていません。どのパワートレインが最適なのかは、そのクルマがどのような使われ方をするかによって決まると考えているからです。
市街地の短距離での移動がメインのコンパクトカーや軽自動車で、さらにエンジンを使って長距離を走ることができるPHEVシステムが必要かといわれると、それならばシンプルなEVシステムで十分ですし、経済合理性を考えるとハイブリッドシステムが適しているかもしれません。すべてPHEVが優れている、というわけではなく、EVはEVの、ハイブリッドはハイブリッドの優れているところがあり、それは適材適所だと考えます。








































