旧車が好きだ。とにかくデザインがカッコいい。だけど故障は怖いし、もし夏場にエアコンの効きが悪くなったら……考えるだけで汗が吹き出てしまう。燃費が悪いのも気になるし、最新の安全装備も付いていてほしい。

そんな、ワガママを通り越して無理難題とも言えるクルマ好きの夢を、真正面から叶えてしまうブランドがある。ご存知、「光岡自動車」(ミツオカ)だ。

これまでも「ビュート」「ロックスター」「バディ」といった数々のヒット作を飛ばしてきた彼らが、創業55周年を記念して世に放ったのが「M55」(エムダブルファイブ)。試しに乗ってみたところ……これぞまさに“無理難題”のベストアンサーじゃん!

  • 光岡自動車「M55」

    ミツオカ「M55」に乗れば、まるで映画のスクリーンの中に入り込んだかのような気分を味わえる

ほとばしる旧車感

今回、相棒に選んだのは、オプションカラー「ジョンマンゴー」に彩られたM55だ。マンゴーの実を思わせる、濃いめで落ち着いたイエロー。M55のレトロな造形に驚くほどマッチしているじゃないか。もちろん、定番の白、黒、シルバーもいい。目に眩しいほどの原色だって素敵だ。しかし、それらとは完全に一線を画す、どこかノスタルジックで深みのある色味はまさに唯一無二。たまらん……。

  • 光岡自動車「M55」

色もさることながら、その造形美は1970年代の熱狂をそのまま現代にタイムスリップさせてきたかのよう。

  • 光岡自動車「M55」
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フロントフェイスには往年の名車を彷彿させる丸目の4灯ヘッドライトと、彫りの深い格子状のグリル。言うまでもなく、M55のなかでも最もアイコニックなゾーンである。ほとばしる旧車感。こんなデザイン、今はもう見かけることないぞ……。くう~、カッケェ……!!

  • 光岡自動車「M55」
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フロントと同様、リアライトも丸みのあるデザインを踏襲。うん、レトロだ。しかし、しばらく眺めているうちに、「こうしたディテールは当時、“メカニカルで新しいデザイン”という印象の醸成に一役買っていたのではないだろうか」とも思えてくる。なんというか……“ハイカラ”なんだよな~。

  • 光岡自動車「M55」
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リアのウインドウを覆うルーバーは武骨でイカつい。そしてやはりレトロなんだけど、どこか新しい感じがする。もちろん日除けとしては実用的なんだろうけど、何よりまず、デザインとしてたまらなく格好いい。ブラック、イエロー、そしてリアライトのレッドというコントラストも美しい。いや、もはや愛おしい。

  • 光岡自動車「M55」
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アルミホイールのカラーはシャークグレーメタリック。控えめな光沢感がシックで、どことなく色っぽさも漂っている。存在感を放ちつつも主張しすぎず、車体の個性を引き立てる。まさに絶妙な塩梅だ。中心部のエンブレムも特別感がある。こういう細かいディテールの積み重ねが所有感を満たしていくんだよな~。

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ちなみに、M55のベースとなっているクルマはホンダ「シビック」だ。サイドのシルエットからわずかにその面影を感じるものの、前後マスクを大胆に作り替えたその変貌ぶりはまさに職人芸の極み。ミツオカのデザイン力にはいつも驚かされるが、これはそのなかでも究極の部類なんじゃないかというほど板についている。元からこういうクルマだったとしか思えん……。

  • 光岡自動車「M55」
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シートはハードな弾力が特徴的なレザー仕様。「ハトメ」と呼ばれる金具が最高のアクセントとなっている。往年のGTカーに採用されていたスパルタンなデザインをモチーフにしているらしいが、これもドライバーの気分をグッと上げてくれる。いくらエクステリアが格好良くても運転中は見えないので、インテリアは本当に重要。

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ビシビシ感じる街の視線!

このジョンマンゴーのM55を走らせて、新宿~青山~丸の内エリアを走ってみたのだが、走り心地はとてもなめらかで上質。さすが、最新シビックだ。普段は大きめのSUVに乗っているので、この車高の低さも新鮮だった。

かつて、「クルマは低ければ低いほどいい」と一部のクルマ好きの間で囁かれた時代があったそうだが、その意味がちょっとわかった気がする。路面がかなり近く感じるので、いつも以上に“運転している感”がダイナミックに感じられるのだ。

  • 光岡自動車「M55」

ただ、乗り心地以前に最も気になったのが、何を隠そう“街の視線”である。このM55、傍から見ると思っていた以上に刺激的なクルマだったようで、運転中についつい照れて赤面してしまうほど街中の視線が突き刺さるのだ。東京の人は最新のフェラーリやランボルギーニが走っていても割とスルーするものだが、このクルマはちょっと事情が違うらしい。

最初こそ自意識過剰かと思ったが、信号待ちの間にも歩行者が「おっ?」という顔をして立ち止まったり、振り返ったり、中にはわざわざ引き返してきてスマホを向けてくる歩行者がいたりするなど、明らかに注目されているのだ。

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格好良さ。珍しさ。派手なカラーリング。いろいろな要素が詰まった1台だが、総じて言えば“好奇心を刺激するクルマ”なのだろう。

見た目は1970年代のGTカーそのものなのに、インテリアには令和の最新メカニズムが詰まっている。足回りはしなやかで、剛性もバッチリ。当然、エアコンはガンガンに効くし、ナビも最新。安全支援システムだってフル装備されている。車内はとても静かで揺れも少なく、めちゃくちゃ快適だ。

  • 光岡自動車「M55」
  • 光岡自動車「M55」

旧車乗りが常に抱えているであろう「途中で止まったら面倒くさい」「雨の日は乗りたくない」「渋滞でのオーバーヒートが怖い」といったストレスから、M55のオーナーは完全に解放される。それでいて、乗り手の日常を映画のワンシーンの中にいざなう魔力を備えている。

旧車にロマンを見ながら、現実的な不安からも目を背けられない。そんなクルマ好きが抱える矛盾を、こうも鮮やかに解決してくれる1台はそうないだろう。ノスタルジーに浸りながら、快適さも安心も妥協しない。そんなワガママな大人のためのベストアンサーとも言える光岡自動車「M55」。ぜひ一度、実物を見てみてほしい。