「東京オートサロン2026」の会場を歩いていると、銀色に輝く日産自動車の初代「フェアレディZ」に遭遇した。聞けばこのクルマ、オールアルミボディを身にまとっているのだとか……! いったい、どうやって作ったのだろうか。
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日本の名車に日本製のボディパーツを
日産が1969(昭和44)年10月に発表した初代「フェアレディZ」(S30型)は、同社の解説によると「世界の自動車史上、最も売れたスポーツカーのひとつとして」知られている。1978(昭和53)年までの8年間で、世界販売は52万台以上を記録。まさに日本を代表するスポーツカーだといえるだろう。
オールアルミボディのS30Zは、スターロード(STARROAD)が東京オートサロン2026に出展したクルマだ。説明プレートには、「S30Zは日本の名車ですが、これまでボディパーツは海外製が中心でした。今回は日本の技術を活かし、精密な金型でボディを成形。そして材質は今までにないオールアルミニウムを使用しました」との記載があった。
金型を新たに起こしてアルミのボディを成形する……かなり大変そうな作業だ。スターロードとのコラボで実際の部品製作に当たった矢作産業の担当者に話を聞いた。
矢作産業に聞くアルミボディ製作
――初歩的な質問なのですが、アルミを外から貼りつけたのではなく、金型を一から起こしてボディを作ったんですか?
矢作産業の担当者:そうです。パーツをひとつひとつ、アルミの板をプレスして成形しました。S30Zは当然、鉄で作られていました。このクルマが登場したころは、アルミは希少で、接合したり組み立てたりする技術もなかったと聞いています。量産車には不向きな素材だったんです。
――アルミボディにするメリットは?
矢作産業の担当者:アルミは錆防止や軽量化に役立ちます。
――アルミを使えば軽くなることはわかるのですが、一方でクルマ、特にスポーツカーにとっては「剛性」が大事だとも聞きます。アルミ缶のイメージからお聞きするのですが、アルミって、クルマの素材としては柔らかすぎるんじゃないですか?
矢作産業の担当者:鉄のボディを全てアルミにすると、質量は3分の1ほどまで低減できます。ただ、このクルマの質量は46%くらいの低減にとどまっています。それは、剛性を高めるために、例えば部分的に板厚(アルミ板の厚さ)を厚くするなどの工夫を施しているからです。当社の設計やエンジニアリングの技術を活用し、質量は下げつつ、剛性はベース車両比で1.5倍まで高めることができました。
――期間はどのくらいかかりましたか?
矢作産業の担当者:順番に作業を進めていったので、2~3年です。
――金型を起こしたということは、それを使えば、今後も作り続けられるということですか?
矢作産業の担当者:簡単ではないんですけど、まあ、そういうことです。今回のプロジェクトでは、トライアンドエラーを繰り返しつつ部品製作を進めることで、技術者のスキル向上と若手への技術継承につながりました。
――今後、自動車メーカーがスポーツカーを作ろうとして、どうしてもボディの一部をアルミで作りたいというような話になった場合、このS30Zを見て、「矢作産業に相談してみるか」というような話になるかもしれませんね?
矢作産業の担当者:それが、当社の収益確保につながるかもしれないですね。まずは、人材が育ったことがすごくよかったと思っています。
このアルミボディ、展示用に作っただけなのかと思いきや、スターロードの担当者に聞けば「販売も視野に入れている」とのことだった。














