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70年代の日本車を快適に楽しみたい? ある意味、ミツオカ「M55」が最適解かも

JAN. 07, 2026 08:00
Text : 森口将之
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大手自動車メーカーの市販車をベースに、クラシカルなデザインを施した少量生産のオリジナルカーを送り出している光岡自動車(ミツオカ)。最新作「M55」(エムダブルファイブ)の2026年モデルに乗って、この会社のデザインセンスやエンジニアリングがレベルアップしていることを教えられた。

  • ミツオカ「M55」

    ミツオカ「M55」(2026年モデル、ファーストエディション)

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ミツオカのクルマづくりが変わってきた?

光岡自動車は「ミツオカ」ブランドで「ビュート」や「ガリュー」といったクラシカルなデザインのオリジナルカーを作っている会社だ。これらのクルマが、大手自動車メーカーの市販車のコンポーネントを使って生み出されていることは、クルマ好きならご存じだろう。

同社の創業は1968年。今も本社を置く富山市で鈑金塗装業としてスタートした。現在は自動車製造・販売以外に、輸入車販売代理店や中古車販売なども展開している。実は、筆者が所有しているトライアンフのモーターサイクルも、同社が経営する横浜市のディーラーで買ったものだ。

一方で、ミツオカブランドのオリジナルカーは最近、作風が変わってきたと感じる。以前はイギリスのクラシックモデルをモチーフにした車種が多かったが、創業50周年記念モデル「ロックスター」以降は、「バディ」「M55」とアメリカンテイストに変わってきているのだ。

  • ミツオカ「バディ」

    ミツオカ「バディ」

日本では輸入車の主役がドイツ車になって久しいが、それ以前はアメリカ車が「ガイシャ」の代表であり、高度経済成長期には憧れていた人も多かった。なので、イギリスのクラシックモデルより、なじみがあるのではないだろうか。

ただし、バディやロックスターがあの頃のアメリカ車をモチーフにしたと思われるのに対して、M55からはちょっと違う印象を受ける。

光岡自動車は2023年、創業55周年を記念したコンセプトカーとして「M55」を公開。市販化を要望する声が集まったことから、2024年11月に特別仕様車の「ゼロエディション」を100台限定で販売した。それから1年後の2025年11月に登場したのが、2026年モデルの「ファーストエディション」(250台限定)だ。

  • ミツオカ「M55」

同社では、M55のメインターゲットを会社と同じ「55歳前後の人たち」だと説明している。

この人たちがクルマに興味を持ちはじめたのは、1970年代前半が多かったはず。当時の日本車は、アメリカ車のデザインを参考にした車種が多かった。

具体的に言えば、「ケンメリ」の愛称で親しまれた日産自動車の4代目「スカイライン・ハードトップ」、トヨタ自動車の初代「セリカLB(リフトバック)」、三菱自動車工業「ギャランGTO」などだ。

丸目4灯ヘッドランプを奥まったフロントグリルの中に据え、エンジンフードはほぼ水平。対照的に、ルーフからリアウインドーにかけては、なだらかにスロープしたファストバックスタイルとした。こうした精悍かつ流麗なフォルムのクルマが、当時はいくつもあった。

インテリアもしっかり70'sテイスト

M55は、1970年代に憧れの眼差しを集めた日本車たちの雰囲気を絶妙に再現できていると感じた。もともとファストバックのホンダ「シビック」を素材に選んだことが大きい。

しかもフロントまわりについては、丸型4灯ヘッドランプを据えた顔だけでなく、エンジンフードを水平に近づけ、フード上のプレスラインまでそれっぽく仕上げている。リアは、上で挙げたクルマたちにも用意されていたガラスルーバー(オプション)が効いている。とにかく、雰囲気作りがうまい。

  • ミツオカ「M55」
  • ミツオカ「M55」

ブラックパネルの両端に個性的な形のリアコンビランプを配した後ろ姿も70年代っぽい。リアゲートの開口部はバンパーのすぐ上で、上面だけ開いた昔とは違うけれど、実用性の高さをありがたいと思う人のほうが多いだろう。

人によってはリアサイドの小さな三角のパネルが気になるかもしれない。シビックではリアコンビランプがサイドに回り込んでいた部分で、明るいボディカラーでは気になることもあるが、ギャランGTOにあったような黒いストライプを入れれば目立たなくなるだろう。

ベース車にシビックを選んだ結果は、インテリアにも良い影響をもたらしている。もともとインパネ全幅にわたり、1970年代のスポーティカーのフロントグリルなどに使われていたハニカムメッシュを使っているので、ちょっと懐かしい雰囲気を感じるからだ。

加えて、取材車はオプションで用意されているレザーのシートカバーを装着していた。通気孔を備えたこの表皮もまた、70'sテイストを盛り上げてくれる。

  • ミツオカ「M55」

メカニズムはシビックそのもので、パワーユニットはゼロエディションが積んでいた1.5リッター直列4気筒のガソリンターボに加えて、2リッター4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドもある。

ガソリン車のトランスミッションはゼロエディションの6速MTからCVTに代わり、ハイブリッドを含めて全車2ペダルになった。グレードはガソリン車がLXのみ、ハイブリッド車はLXと上級のEXが選べる。今回はハイブリッドEXに乗った。

  • ミツオカ「M55」

    価格は「LX」グレード:756.8万円、「e:HEV LX」グレード:811.8万円、「e:HEV EX」グレード:842.71万円

若者×ビンテージジーンズを思わせるM55

加速感はシビックそのもの。でも、つまらないというわけではない。スポーツモードを選ぶと心地よいサウンドを届けてきてくれて、けっこうスポーティーな雰囲気に浸れるのだ。

目の前のエンジンフードはほぼ水平に伸び、ルームミラー越しにはリアウインドーのルーバーが目にできる。視覚情報からも、あの時代のクルマに乗っているような気分にさせてくれる。

それでいて、東京都内の移動でも、メーター内の燃費計の数字は余裕で20km/L以上をマークしていたし、高速道路ではアダプティブクルーズコントロールを使って安楽なクルージングが味わえた。モダンカーの良さもしっかり享受できる。

M55の全長はシビックより175mm長いうえに、車両重量は30kgプラスになる。これが影響しているのか、ハンドリングはややノーズの重さを感じた。

とはいえ、この面では優秀なレベルにあるシビックのそれを、大きくスポイルしているわけではない。乗り心地はシビックと同じく硬めだが、段差や継ぎ目の通過でボディから音が出たりすることはなかった。

  • ミツオカ「M55」

いずれにしても、M55の走りはデザインとは対照的に、モダンそのものだ。

この点に違和感を抱く人は、オリジナルを探して乗ったほうがいいだろう。でも、あの時代のスポーティカーは、今はプレミアがついて高価になっているうえに、生産から半世紀が経過しているので、トラブルは覚悟しておかねばならず、部品の確保も大変だ。

さらに、当時もエアコンやパワーステアリング、ATはあったものの、安全装備はシートベルトくらいしかない。先進運転支援システムは夢のまた夢だ。

デザインはクラシカルだけれど、安全装備や快適装備は最新レベルが欲しいという人はけっこういるはず。その証拠に欧州車では、「ミニ」やフィアット「500/600」をはじめ、こうしたニーズに応えた車種が多くなっている。

それを、日本のクラシックモデルをモチーフとして生み出したのがミツオカM55だと思う。ファッションで言えば、今の若者がビンテージジーンズを履きこなしているような、本物のクラシックとはひと味違うカッコよさを感じた。

【フォトギャラリー】M55、令和の東京に出現


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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